POP と IMAP の違い

電子メールの受信プロトコルである POP と IMAP について解説します。基本的には IMAP での利用をお勧めしますが、最終的には、各プロトコルの特性をふまえて自分の利用環境に合った方を選んでください。

  • POP はメールを手元のデバイスに保存して管理
  • IMAP はメールをサーバに置いたまま管理
  • 複数のデバイス (PC、スマホ等) から同じメールアドレスを利用したいときは IMAP が適している
  • メールを読み書きするデバイスが1台決まっていて他にないならば POP が適している場合もある

POP について

POP とは Post Office Protocol (直訳すれば「郵便局プロトコル」) の略です。現在 (2016 年 10 月) では、POP のバージョン 3 である POP3 が一般に用いられています。

メール受信のシステムは、郵便局の私書箱のシステムに似ています。自分宛の手紙が郵便局にある自分の私書箱にいったん保管されるのと同様に、自分宛に送られてきた電子メールは、いったんメールサーバにある自分のメールボックスに保存されます。

私書箱に保管された手紙を読むには郵便局に取りに行く必要がありますが、これと同様に、POP ではユーザがメールサーバからメールをダウンロードし、手元のデバイスに取り込んで読みます。

POP

ここで、複数のデバイス (PC、スマホ等) を持っていて、その各々から同じメールアドレスを利用してメールを読み書きしたいという場合には問題が生じるかもしれません。なぜなら、POP の標準的な動作では、あるデバイスがメールをダウンロードすると、その時にサーバ側のメールは削除されてしまうからです。その後で他のデバイスからメールを読もうと思っても、サーバにあるメールボックスにはそのメールは残っていないので読むことができません。

そのような問題を解消するため、大抵のメールソフトでは、メールの取得時にサーバ側にメールを残すか残さないかを設定で選ぶことが出来るようになっています。あるデバイスがメールを取得しても、サーバ側にメールを残す設定にしていた場合は、その後で別のデバイスからもメールを読むことができます。ただし、既読・未読のチェックやフォルダへの振り分けなどのメール管理は各デバイスごとに別々に行う必要があります。

IMAP について

IMAP は Internet Message Access Protocol (インターネット メッセージ アクセス プロトコル) の略です。現在では、IMAP のバージョン 4 である IMAP4 が一般に用いられています。

IMAP では、POP とは異なり、メールをメールサーバに保存したまま管理します。

IMAP

私書箱のイメージでいうと、郵便局にある私書箱に手紙を置いたままで中身を読み、さらに私書箱の中を整理して手紙の管理もそこで行ってしまう感じです。既読・未読のチェックやフォルダへの振り分けなどのメール管理操作もメールサーバ側に記録されるので、あるデバイスから行った操作は、他のデバイスからアクセスする場合にも反映されます。

どちらを使うべきか

基本的には IMAP をお勧めします。特に、複数のデバイスでメールを読み書きする場合や、Web メールと併用する場合には IMAP で利用した方が良いでしょう。

ただし、全学計算機システムでは各ユーザがサーバ上に保存できるメールの容量には上限があります。IMAP で利用している場合、意識的に削除しない限りサーバ上にメールが溜まっていくため、容量制限を超えないように適宜メールを削除する必要があります。メールボックス使用量の確認や、他の場所へのバックアップ方法についてはこちらを参照してください。

一方、メールを読み書きするデバイスが 1 つに決まっていて他のデバイスからは利用せず、かつ、サーバ側の容量制限を気にしないで使いたい場合には POP の方が適しています。この場合にはメール取得時にサーバ側にメールを残さない設定にすると良いでしょう。

複数のデバイスから POP で利用するのはお勧めしません。その場合は、サーバ側にメールを残すようにしないと、メールが各デバイスに分散して保存されてしまいます。また、サーバ側にメールを残す場合は、IMAP で利用する場合と同様に容量制限に注意する必要があります。さらに、既読・未読のチェックやフォルダ分けなどのメール管理は各デバイス個別に行わなければならないので、それだけ手間がかかることになります。現在このようなやり方で利用している場合は、IMAP への移行を検討したほうが良いかもしれません。

POP から IMAP への移行方法

POP を使っていたが IMAP に移行したい、という場合は、まず現在利用しているメールソフトが IMAP に対応しているかどうかを確認します。(例えば、Outlook や Thunderbird ならば IMAP にも対応しています。) もし対応していなければ、メールソフト自体を変える必要があるかもしれません。

利用しているメールソフトが POP と IMAP の両方に対応していて、メールソフトを変えずに POP から IMAP へ移行したいという場合は、例えば次のような手順が考えられます。

  1. 移行したい POP アカウントを、自動的にメールを取得しないように設定する
  2. 新たに IMAP アカウントを追加する
  3. POP アカウントのフォルダから必要なメールを IMAP アカウントのフォルダにコピーするか、またはローカルフォルダに保存する
  4. POP アカウントを削除する

(参考) Thunderbird での移行例

オフラインでの利用

環境によっては、メールを手元のデバイスに保存しておき、オフラインでも読めるようにしておきたいという場合があります。例えば、使用しているデバイスが常にインターネットに接続しているとは限らない、あるいは、回線速度が遅い (または従量課金制である) 等の場合です。

POP を利用しているならば、手元のデバイスでメールを管理しているため、オフラインでのメールの読み書きが可能です。一方、IMAP を利用している場合でも、メールソフトの設定次第では、オフラインでメールを読み書きすることができます。

もし IMAP を利用していてオフラインでメールを読み書きする可能性がありそうならば、その点について設定を確認しておいた方が良いでしょう。例えば、Thunderbird の現在のバージョンのデフォルト設定では、メールを手元のデバイスにも保存しておくようになっており、オフラインでも読むことができます。詳しくはこちらのページを参照してください。