*2000/10/23--------
政府は、タウンスビル和平合意に基づき、6つの委員会を設置し、先週土曜日(10/21)に委員を任命した。(1)和平委員会はガダルカナル州知事を委員長に、その他のすべての州の知事、ホニアラ市長、メラネシア教会の関係者を構成メンバーとする。(2)復興委員会は、国家統合・和解・和平省事務次官フレッド・ガナテをリーダーに、中央省庁すべての事務次官、オーストラリアおよびニュージーランド大使館、EU、NGOの各代表者よって構成される。(3)和平監視委員会はピーター・ケニロレア卿を委員長に、男女を問わず市民の中から選ぶ。(4)法案関係を扱う実行委員会は、検事総長をリーダーに、弁護士のアンドリュー・ノリおよび多数の事務次官で構成される。(5)喪失財関係を扱う委員会は9人で構成される予定。(6)マラウ紛争を扱う政府代表団は、地方州担当大臣のナザニエル・ワエナ(首相補佐)をリーダーに、他の大臣、事務次官、元政治家、検事総長、警察長官をメンバーにする。 ホニアラ市民は現在までの約4ヶ月間、民族紛争の影響で水道の供給を満足を受けてこなかったが、11月末か12月はじめには全面的に復旧する見込みである。7月20日にホニアラ西郊のKongulai水源が武装集団に爆破されて以来、ホニアラ人口の約70%が水道の供給を受けられない状態が続いている。ひとびとは、水供給トラックや市内数カ所にもうけられた臨時の「水供給スタンド」で水を得ている。
*2000/10/19-------- IFMとMEFのメンバーが、ともにホニアラの目抜き通りをパレードした。200人以上のIFMメンバーが、今日(10/19)、ホニアラ市内にやってきて、ホニアラ中心部ポイント・クルーズにあるMEFキャンプでMEFメンバーと「歴史的な」握手を交わし合った。多くのホニアラ市民がその光景を見にMEFキャンプの周りに集まったという。あるIFMメンバーは、IFMのリーダーたちも近いうちにホニアラにやってくるだろうと語っていた。IFMは紛争中ホニアラ市内に入ることができなかったが、今回のこの行動は、先頃タウンスビルで行われた和平合意の履行に対する強い決意の現れとみられる。
MEFメンバーは、ホニアラ市内の通りをトラックに乗りながらパレードした。彼らはプラカードをもち、それには「我々はIFMメンバーを喜んでホニアラに迎え入れる!」と書かれていた。MEFメンバーの中には、IFMメンバーに対して、ホニアラ市民と握手するよう促す場面もあったという。 *2000/10/17-------- ガダルカナル島民以外の個人または集団によるガダルカナル島内の土地取得について、審査委員会がまもなく設置されることになった。先日タウンスビルで調印された和平合意に基づき、政府がマライタ、ガダルカナル両州政府との協議の上でその委員を任命することになっている。審査委員会は、1998年10月1日以前に土地取引が行われた案件についての有効性を調査する。同委員会の結論が出るまでは、非ガダルカナル人によって取得され、占有されてきた土地領域は、占有、開発、売却の対象外となる。これまでにガダルカナル島内の土地を取得した非ガダルカナル人は数千人にのぼり、彼らは1998年以来の紛争に過程でガダルカナルから追放されている。
マライタ州およびガダルカナル州は、中央政府からの権限委譲あるいは憲法改正を通じて、より自治的な行政機構に改変されることになりそうである。その改変は、それぞれの州の人々が自分たちに関係する事柄を自分たち自身で対処することを可能にするものである。タウンスビル和平合意の中には、中央政府が憲法を改正するための憲法委員会を創設し、州政府にそのようなより強い自治を可能にすることを求めている。
オーストラリア陸軍は、現在、ソロモン諸島における平和維持活動に参加する準備を整えつつある。ドウナー外相によると、オーストラリアはソロモン諸島における2つの武装組織の停戦を監視、和平を維持するための国際舞台に貢献する用意があると語った。この国際舞台は、パプア・ニューギニアのブーゲンビル島に派遣したときと同様の形態をとるという。
1998年以来対立を続け、戦闘状態にあったソロモン諸島の武装組織IFMとMEF双方の司令官は、国内を戦闘状態に陥れたことに対し、国民に謝罪した。
*2000/10/16-------- MEFスポークスマンのアンドリュー・ノリは、和平合意に基づく武装解除の一環として、MEFが築いた軍事的拠点やキャンプを撤去すると述べた。またMEFメンバーは、数日から数週間以内にホニアラから退却する予定である。
すべての銃、武器および弾薬は、タウンスビル合意に基づき、合意文書発効後30日以内に国際停戦監視チームによって回収されることになった。
*2000/10/15--------タウンスビル和平合意調印! ラジオ・オーストラリアによると、IFMとMEFは、これまで100人前後の死者を出してきた戦闘状態に終止符を打つための合意文書に調印した。ラジオ・オーストラリアのS.Dorneyによると、「20ページに及ぶ和平合意文書への調印の後、MEFの最高軍事司令官Jeremy Ruaは、IFMとMEFはこれまで流血を伴う民族紛争を展開してきたが、今、銃を置くときがきたと述べた。さらに彼は、彼の部下たちの姿は苦痛に満ちているかのようであったが、もう二度とそのような姿を見たくはない。今すべきことは自分の家に帰り、武装を解くことであるとも述べた。
*2000/10/13-------- オーストラリアのタウンスビルで行われているソロモン諸島和平会議は、和平合意文書への調印に向けて、当初予定されていた10月13日(金)までの会議期間を1日延長した。ケマケザ副首相はオーストラリアのドウナー外相にその旨連絡し、協力を求めた。和平合意は、10月14日(土)中に調印される見通しである。
*2000/10/12-------- オーストラリアのタウンスビル郊外にある軍施設で10/10(火)から続けられているソロモン諸島和平会談は、会談の終了する10/13(金)午後に和平合意文書に調印される見通しとなった。ただ、和平会談に臨む際に単一のグループを形成できなかったIFM側は、合意文書案の内容に関する議論が長引いているもよう。しかしIFM、MEF双方のスポークスマンは、調印に向けて楽観的な見通しを語っているという。
先日、ガダルカナル島南東部マラウ地区でおきた国際赤十字チームに対する襲撃事件について、マラウ地区の政治リーダー(チーフ)およびマラウ地区のマライタ人武装組織(マラウ・イーグル・フォース)のリーダーは、タウンスビルにおける和平会談の席上、そのような事件がマラウで発生してしまったことを謝罪した。そして、二度と同様の事件がおこらないことを国際赤十字に確約するとともに、犯行に加わったもにに対する厳重なる処罰を約束した。
オーストラリアのドウナー外相は、現在タウンスビルで行われている和平交渉が決裂した場合、ソロモン諸島は深刻な国内的分断状況に陥るおそれがあるという見解を示した。ドウナー外相によると、ソロモン諸島は現在社会的に瀬戸際の状態にあり、経済は危機的状況に直面している。外国人を含めて停戦監視委員会を拡大強化し、経済の建て直しをはかる必要があるという。
以下の文章は、ソロモン諸島ギゾに滞在するジャーナリスト、Duran Angikiによるレポートの抜粋。原文はhttp://pidp.ewc.hawaii.edu/PIReport/2000/October/10-12-04.htmを参照のこと。 IFM司令官のハロルド・ケケ(最高幹部の1人)は、現在タウンスビルで行われている和平交渉において締結されるいかなる合意内容も尊重する意志のないことを明らかにしている。彼によると、オーストラリアおよびニュージーランドからソロモン諸島政府とMEFに対する支援が停止されない限り、ソロモン諸島に平和は訪れない。これまで、それらの支援が政府とMEFによる罪のないガダルカナル人に対する攻撃に利用されてきたと主張する。さらに、タウンスビルでの和平交渉は、ソロモン諸島政府とMEFが国際社会に向けて発する「共同プロパガンダ戦略」にすぎないといって非難している。ケケは、オーストラリア、ニュージーランド、そして国際社会に対し、真の民主主義の原則を尊重するのであれば、ソロモン諸島政府を非難する立場をとるよう訴えた。 ケケがタウンスビルに行かなかった理由にはいくつかあるが、その一つは政府への強い不信感である。今年7月に政府は、停戦合意に調印すれば7日以内に外国の部隊がMEFの武装解除を行うという約束をしたにもかかわらず、それを守らなかったことであるという。MEFはいまだにホニアラをコントロール下におき、挙げ句の果てに犯罪行為まで続けている。ケケは、「政府は、MEFのリーダーであるアンドリュー・ノリによってコントロールされているにすぎない」と述べる。そのことは、政府が両武装集団のメンバーの帰郷にかかる費用の拠出についてもみられる。政府はMEFメンバーのマライタ島帰郷に対し、1人あたり1,000ソロモンドル(約2万円)を支給するだけでなく、交通費も免除している。しかしIFMメンバー1万人に対しては1人当たり20ソロモンドル(400円)だけであった。 ガダルカナル州政府の指導者は、タウンスビルに向かう直前のインタビューで、武装組織が和平合意に同調しない限り、現在の状況を打開することはできないだろうとのべていた。
*2000/10/10-------- 国際赤十字委員会は、これまでソロモン諸島でおこなってきたすべての救援活動を一時停止すると発表した。その決定は、現地事務所が制服着用の武装グループに襲撃され、スイス人スタッフが国外で治療を受けなければならないほどの傷を負わされた事件を受けて出されたものである。武装グループは国際赤十字が保管していたすべての救援物資を奪って逃げたという。赤十字は、人員の安全が確保されない限り、活動を再開することはないと述べる。
MEFスポークスマンのアンドリュー・ノリは、ホニアラ居住者の生活に危害を加える犯罪者にたいし、MEFは厳重に処罰すると述べた(強盗、窃盗、脅迫などを行う者に対しては、場合によっては発砲することもありうる)。
*2000/10/9-------- ケマケザ副首相と随行員一行は、オーストラリアのタウンスビル郊外にある軍施設で10/10から13日まで開催される和平会談に臨むため、月曜日(10/9)午後にホニアラを出発した。出発前にケマケザは、その会談の成功に自信を見せる発言をおこなった。会談には、IFM、MEF、ガダルカナルおよびマライタ両州政府首脳の参加も見込まれている。総勢130名になる(ガダルカナル側から26名、マライタ側から45名、それ以外は中央政府関係者など)。
ウェスタン州ムンダ空港からは、9日未明、約40人のガダルカナル関係者がオーストラリア空軍機でタウンスビルへ向けて出発した。その様子を数千人の現地住民が見守った。会談に参加するガダルカナル関係者の中には、IFM最高幹部のジョセフ・サングとジョージ・グレイも含まれているというが、先月ソロモン航空のハイジャック事件をおこしたハロルド・ケケは確認されていない)。ガダルカナル州政府からはアレブア知事も参加している。
オーストラリア政府は、今後ソロモン諸島の和平実現のための支援策として、これまでのソロモン諸島に対するさなざまな分野における援助に加え、ソロモン政府が設置する「停戦監視委員会」(Ceasefire Monitoring Council)に対し、毎月8万豪ドルを供与すると発表した。
ソロモン航空は、10/10からホニアラ−ブリスベン間の定期便を再開すると発表した。あわせてフィジー、ヴァヌアツ便も再開される。これは、ソロモン航空のボーイング737を所有するカンタス・オーストラリア航空が、ソロモン便に対する航空機使用の凍結を解除したため。
ソロモン諸島政府が10/9に予定していた台北における大使館開設を、無期限延期すると発表された。これは台北の政治情勢の不安定感から判断された措置である。
*2000/10/3-------- MEFスポークスマンのアンドリュー・ノリは、和平合意が調印されるまでMEFの武装解除を行わないことを明らかにした。ノリは、合法的かつ厳格に警察がホニアラの治安維持にあたっていると述べるが、武装解除の問題と関連して、警察がホニアラの秩序を完全にコントロールする力をもっていないとも述べている。
武装解除に関する国連使節団は、IFMとMEF双方の武装解除がソロモン諸島の法と秩序の回復と平行して行われるべきであるという勧告をおこなった。使節団のRobert Scharf団長は、政府、NGO、両武装集団の各代表と会談した後の結論として、IFMとMEFの武装解除は彼らのそれぞれのコミュニティに対する開発プロジェクトとの関係において行われるべき点を勧告に盛り込むとという。彼はこれを「開発のための力戦略」といい、コミュニティ全体にたいする利益や武装集団メンバーの社会復帰にも貢献する方法であると述べる。国連のミッションは、昨日ホニアラの援助供与組織・機関とのミーティングを行い、彼らがそのような戦略に対し援助を供与する用意がある旨の発言を行ったという(ただし、IFMとMEFがその戦略を受け入れた場合のみ)。国連としても、国連開発計画(UNDP)を通して、今後さらにソロモン諸島における活動を活発化させていく可能性を有している。
ギゾに滞在するフリージャーナリストのDuran Angikiは、MEFスポークスマンのアンドリュー・ノリが、先日Angikiが公表したホニアラの現状に関する記事の内容に対する不満から、Angikiと彼の家族を脅迫していると述べている。Angikiはその脅迫をギゾにいる人物を通じて受けたというが、ノリ自身はその事実を否定している。Angikiによると、ノリが述べた内容は、「Angikiの記事は彼と、ホニアラとギゾなどにいる彼の親族を危険に導くものであることをよくおぼえておいてもらいたい」というものであったという。Duran Angikiの記事については、本ホームページ2000/9/28を参照のこと。
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