Ethnic Tension and Coup in the Solomon Islands

−1月分(2001年)−



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*2001/1/31--------

ホニアラにあるすべての商業銀行(NBSI, ANZ, Westpac)は、2/1の店頭業務をすべて停止すると発表した。これは、1/31(水)にANZ銀行ホニアラ支店で起きた銃を所持した男による恐喝事件(銀行の建物を破壊するという脅し)を受けて、3行合同で決定した措置である。CBSI(ソロモン諸島中央銀行)とDBSI(開発銀行)もオフィスを閉鎖する。銃をもった男は、政府発行の小切手に対する支払いを銀行側が拒否したことに腹を立てて脅したという。ANZは、政府の該当口座に十分な残金がなかったため支払いを拒否したとのこと。

*2001/1/30--------

マラウ和平会談の行方は不透明である。紛争当事者(マラウ・イーグル・フォースとIFM)双方が、今後の会談に参加する意志のないことを明らかにしている。これは、先週ホニアラのチャイナ・タウンでマラウ・イーグル・フォースのメンバーがガダルカナル人に発砲した事件も含め、最近のホニアラにおける犯罪的行為の多発に関係している。

ウェスタン州政府高官は、中央政府に対し、木曜日(2/1)に予定しているSoltai Fishing Company(ソロモンタイヨーの継続会社)の設立セレモニーを延期するよう求めている。これは、ウェスタン州内の関係する土地所有集団と、州政府や中央政府との交渉時間をつくるための措置であるという。この機会に土地所有集団に対し、新企業の49%を州政府が所有することの意味を説明することになる。ムンダ周辺の土地所有集団の一部には設立セレモニーを妨害する動きもあったため、チョイスル州を訪問中のソガヴァレ首相は、急遽同セレモニーへの出席をキャンセルし、ホニアラへ戻ることになった。

*2001/1/29--------

今週木曜日(2/1)に、ソガヴァレ首相も出席して行われる予定のSoltai Fishing Company(マルハ撤退後の新会社)のオープニング・セレモニーに対し、地元ニュージョージア島ロヴィアナ・ラグーン地域の土地および資源所有集団が異議を唱えている。社がスタートする前に、土地や資源所有者がいかなる交渉ごとにも組み込まれなかったことに対する不満である。1/29(月)の午前中にムンダで土地権者たちによるミーティングがおこなわれ、政府とウェスタン州政府に対し、Soltaiの今後の操業に関する会議に自分たちを関与させるよう求めた。またそのミーティングでは、問題点として浮上したのは、ノロにある同社の施設、土地権、リーフ権、撒き餌漁場の所有権者に関する事柄である。

ウェスタン州政府は、ソロモン諸島国内において現在よりも強い自治権をもつ「州」(state)へ移行するための準備作業を継続している。州知事によると、「州」化作業は以前よりも若干スローダウンしているが、それは財政的な問題である。しかし、中央政府はすでに「州」化問題を具体的な検討課題として取り上げており、各州にその準備のための資金を配分する準備をしていると述べている。

*2001/1/25--------

ソロモン諸島政府のSnyder Rini蔵相は、ソロモンタイヨーの後を受けて設立される新会社Soltai Fishing and Processing Ltd.について、49%をウェスタン州政府の所有とすることを同州に提示する予定であると述べた。その決定は、19日(金)の閣議で了承された。その措置は、これまでソロモンタイヨーの創業以来、主にウェスタン州内で操業をしてきたという経緯を踏まえて出されたものである。詳細に関する公式の発表は、ソガヴァレ首相がノロで行われる新会社のオープニングにおいてウェスタン州政府と州民に対しておこなう。Rini蔵相によれば、ウェスタン州政府はこの政府の提案を拒否する権利も同時に持ち合わせているという。また、この決定は、政府が現在進めている州間の公平なバランスのとれた発展を目指す政策の一環としてもとらえている。

ソロモン諸島平和監視委員会は、すべての武器類が回収されない限りソロモンに対する援助機関や投資家は戻ってこないことを述べ、旧武装集団の多くがいまだに武器を所持していることを非難した。これは、同委員会委員長のPeter Kenilorea卿(初代首相)が、最近2週間で犯罪が増加しているという報告を受けて出された声明の一部である。

*2001/1/24--------

ウェスタン州議会議員のSonny Maezamaは、ソロモンタイヨーの一件やソガヴァレ首相が2月1日にノロを訪問することについて、政府がウェスタン州政府に何ら通達をしていないことを非難した。Maezama議員によると、ノロはウェスタン州の一部であり、州政府の管轄下にあることを強調している。

*2001/1/22--------

ソロモン諸島政府は、ウェスタン州ノロをベースにするソロモンタイヨー社のマグロ漁・ツナ缶製造事業を引き取る計画を、先週金曜日(1/19)の臨時閣議で了承した。これは、同社の合弁パートナーである日本のマルハがソロモン諸島から漸次撤退するプランの発表を受けておこなわれた決定である。ソロモンタイヨーはソロモン諸島投資会社(Investment Corporation of Solomon Islands)を通じて、ソロモン諸島政府が同社の過半数をシェアしている。同社は、昨年8月に、保有船が近海で武装グループにシージャックされ、労働者や資機材の安全が脅かされていた。それ以来、操業を停止している。昨年12月におこなったマルハ側との協議のなかで、マルハは、ソロモンタイヨーの現在の操業規模、国際ツナ市場の減退傾向、価格の継続的下落、そして近年のソロモン諸島における社会不安の影響にもとづいて、同社の長期的見通しについての見解を打ち出したという。ソロモン諸島のSynder Rini蔵相は、過去30年間にわたってソロモンのツナ産業に果たしたソロモンタイヨーのパイオニア的役割を十分に認識した上で、政府は、利益の期待なしにさらなる投資を合弁パートナーにもとめることはできないという見解に至ったと述べている。蔵相は、政府としては、ソロモンタイヨーの操業をソロモン諸島投資会社が管理する企業へ移管するための枠組みづくりとスケジュールづくりをおこなったと述べている。

ソロモンタイヨーは、2月1日に操業を再開する。政府は、マルハからの移管後の新しい組織構造、操業計画、再開に向けたその他の部分を最終決定するための委員会の創設を決めた。当初の操業規模は国内と太平洋地域向けに限定したツナ缶製造に集中することになる。ただし、鰹節は従来通り日本へ輸出される。

*2001/1/19--------

ウェスタン州の政治・法律作業部会の議長であるジャクソン・ピアシ(ギゾ/コロンバンガラ選挙区選出国会議員)は、ガダルカナル紛争に無関係であった国内の州は独立した国家を形成するために合同するべきであると述べた。彼は、レンネル・ベロナ、マキラ・ウラワ、テモツ各州が分離独立を求めている動きを支持すると述べる。この3州は、ソロモン諸島がイギリスから独立して22年たつにもかかわらず、依然として開発から見放されている。その他の州も自分たちの州を組織し、新しいソロモン諸島のためのプランづくりをはじめるべきであると述べている。

John Safaというマライタの男性が、ソロモン諸島からココナッツ産業を排除するよう求める発言をおこなっている。彼は、ここ数年のココナッツ産業をみると、地方ではココナッツ・プランテーションに使われている面積がかなりの広さにのぼる。それはまた、地元でのと土地紛争を誘発してもいる。土地は限られていて、ココナッツ・プランテーションは人びとの畑用の土地を奪い、コプラよりも実入りのよい他の換金作物のための土地を結果的に奪ってしまっている。ココナッツ産業がソロモン諸島で始まってから100年以上がたつが、年平均収入は4000万ソロモンドル以下である。コプラ労働は大変きついものであるが、収入はきわめて低いのが現状である。Safaは、STABEXファンドは、農民のより多くの現金収入をもたらす他の換金作物に対して使われるべきであると主張する。ココナッツは「命の木」(tree of life)と呼ばれているけれども、それはソロモン諸島民の利益になっていない。

*2001/1/18--------

約300人の元IFMのメンバーを警察の特別保安隊(Police Special Constabulary)として組織するためのトレーニング・プログラムが、金曜(1/19)にはじまる。実際のphysical trainingは来週月曜日からである。訓練は2週間おこなわれる予定。

*2001/1/17--------

ウェスタン州政府は、state government化移行問題に関して、州政府としての立場をもう一度明確にするよう、ウェスタン州ラノンガ島南部選挙区選出のThornley Hite議員に求められた。Hiteは、Reuben Liloウェスタン州知事のstate化へ向けた態度が昨年ブアラでおこなわれた全国知事会議以降先細りしていると指摘。HIteは、これまですでにstate government化のための下準備作業や州内の秩序維持に100万ソロモンドル(約2000万円)を費やしてきたことを忘れてはならないと述べ、Lilo知事に中央政府に対して、state化へ向けた費用の償還を求めていくべきと述べている。Hiteは、ウェスタン州がソロモン諸島の一部であり続けようとしているのか、それとも分離独立の道を求めようとしているのか、その立場を明確にすべきとも述べている。

マライタ州政府は、state government化問題について討議する会議を組織するよう、マライタ島クワラアエ地区のコミュニティ・リーダーに求められた。そのリーダーは、州政府が村落や教会のリーダーたちによるその問題に対する協議期間の必要性を説いた。それは、マライタにとってもっとも望ましいstate governmentの構築のために、州議会議員の作業を後援するものとなるという見方からでている。

テモツ州リーフ諸島に空港を建設する計画に対し、リーフの人びとが強く反対している。空港建設は島民が日常生活において依存している森や土地を破壊するものであり、土地はそのままの状態で維持されるべきと述べている。リーフの人びとは空港を求めておらず、彼らが真に求めているのはテモツ州都のラタからの船便の充実であるという。

IFMのガダルカナル島東部方面司令官だったGodfrey Georgeは、政府は現在の武装解除の停滞的な進捗状況について、その責任を負うべきと述べている。昨年10月に締結されたタウンスビル和平合意には、すべての武装メンバーはいかなる費用負担もなく武装解除することと、明言されている。しかし、その合意が成立して以来、政府は1日60ソロモンドルの手当を武装解除に関わる人びとに支払っていない。その手当は、武装解除の作業に関わる人びとの交通、燃料費、食料に充てられるはずのものであった。武器の回収場所の中には、山奥の僻地の含まれるため、その費用はどうしても必要なものであった。彼は、政府は武装解除がなかなか思うように進んでいないことだけを非難し、武装解除にたいして約束されたことを履行していないと述べている。

*2001/1/16--------

ソガヴァレ首相は、日曜日(1/14)にガダルカナル島中部にある金採掘事業現場(ゴールドリッジ)を訪れ、政府が操業再開に意欲を示していることをアピールした。首相は、近日中にもガダルカナル島北部のSIPL(ソロモン諸島プランテーション社=アブラヤシ農園)の現場を含め、民族紛争で操業停止を余儀なくされた大規模開発事業の現場を訪れる予定。

*2001/1/14--------

ガダルカナル島における民族紛争にかかわる問題で、現在も和平合意段階に到達していない「ガダルカナル島東部、マラウ地区問題」について、IFM、マラウ・イーグル・フォース(マラウ地区在住のマライ系住民によって組織された武装集団)、ガダルカナル州政府、ソロモン諸島政府のそれぞれの法律顧問は、最終和平合意案の作成へ向けた会合を今日(1/14)開催する。すでに先週金曜日(1/12)に、オーストラリア海軍の「トブルク」鑑内で同合意文書のドラフトを書き上げているため、その最終確認のための会合となる予定。

昨年11月期における中央政府の歳入額は約2000万ソロモンドルで、前月よりも50%上昇した。その要因は、輸入関税と飲食税などの消費税収入が伸びたためである。しかし同時に、民族紛争関係の支出もかなりの額にのぼっている。

ウェスタン州を訪れる外国人ツーリストの数が増加している。1月第1週にギゾを訪れたツーリストは30人で、主にダイバーであった。ガダルカナル島の民族紛争が激化して以来ソロモン諸島の対外的イメージが悪化し、国内で比較的多くの外国人ツーリストを吸収してきたウェスタン州は大きなダメージを受けてきた。SIBCのインタビューに対し同州の観光担当官は、ツーリズムは徐々によい方向へ向かっているというコメントを述べている。

*2001/1/12--------

ウェスタン州ヴェラ・ラヴェラ島の南ヴェラ・ラヴェラ選挙区のチーフたちが、来週月曜日(1/15)に環境問題とウェスタン州のstate government化の問題に関する討議をおこなうことになった。会議では、選挙区内における自然環境管理のための憲章や、環境に関するコンサルタントの調査レポートの検討も含まれる。環境管理の憲章は、南ヴェラ・ラヴェラにおけるエコシステムの保護と持続的な伐採の促進を目的とするものとなる。

*2001/1/11--------

首相府は、政府が新しい省を創設する準備段階に入っていることを明らかにした。それは、経済改革・構造調整省(Ministry of Economic Reform and Structual Adjustment)で、今月末に大臣の任命がおこなわれる予定。

*2001/1/10--------

先頃、東ガダルカナル選挙区選出のジョンソン・コリ議員が、彼の選挙区の開発ファンドの一部を使って日本から中古船を買い付けたことに対し、ガダルカナル北部バラスナ地区のチーフ、David Thuguvodaは称賛のメッセージをおくった。この船(MV Atebimo)は、一般の客船として主としてガダルカナル島民のために使われることになる。ガダルカナル島内に首都ホニアラへのアクセス道路が乏しいだけに、海上輸送への島民の期待は大きい。

ホニアラのJICA/JOCV事務所所長が、今月、ソロモン諸島における援助プログラムを再開するためソロモンに復帰する予定である。しかし、2000年6月の政変時までソロモンで活動していたJOCVボランティアが復帰することはない。彼らの多くはすでに任期切れとなっているか、他国へ任地替えとなり活動をはじめている。したがって、ソロモンへのJOCVボランティアの派遣が再開された場合、すべて新しい要請に基づく隊員となる。