Ethnic Tension and Coup in the Solomon Islands

−11月分(2000年)−



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*2000/11/29--------

11/29(水)に、先月のタウンスビル和平合意後最大規模の武装解除がガダルカナル島東部地域でおこなわれた。それはガダルカナルの地元村落コミュニティの主催するセレモニーの形をとっておこなわれ、国際平和監視チームのメンバーも参加した(旧IFMの司令官から武器が平和監視チームへ手渡された)。平和監視委員会のPaul Tovua議長代行によると、回収された武器類は検分、記録されたあと、完全にロックされたコンテナにおさめられ、保管されることになっている。さらに数日のうちにも、旧IFMと地元コミュニティとの共同による同様の大規模な武装解除がおこなわれる予定である。

中央政府は、先日(11/26)ホニアラのロヴェ刑務所内で武装した旧MEFメンバーに殺害された放火容疑者(旧MEFメンバー)の遺族に対し、10万ソロモンドル(約200万円)のコンペンセーションを支払うことに同意した。そのうちの6万ソロモンドルについては、貝貨(タフリアエ)5本とともに、月曜日(11/27)に警察本部でおこなわれたコンペンセーション・セレモニーにおいて支払われている。

*2000/11/28--------

Morton Sirehiti警察長官((Police Commissioner)は、先日放火容疑で拘留中の男(旧MEFメンバー)が武装した旧MEFメンバーに殺害された事件に関して、警察がその行為に対する一切の関与を否定した。長官によると、事件後警察は、Place Makersビル火災の容疑者として2人の男に注目した。そして2人は、マライタ州都アウキで旧MEFメンバーによって拘束され、船でホニアラの刑務所まで護送されたという。

*2000/11/27--------

先週金曜日(11/24)に発生したホニアラのPlacemakersビル放火事件に関与したとされる男が、日曜日(11/26)にロヴェ刑務所での拘留中に死亡した。警察の発表によると、その男は、刑務所内に押し寄せた数人の男からなるMEFの一団に両手両足を撃たれ、運び込まれた中央病院で息を引き取ったという。警察はまだその男を放火犯と断定しておらず、尋問を開始したところであった。MEFメンバーが押し寄せたとき、警察はまだその男を逮捕してもいなかった。

今年6月の政変以降、IFMがホニアラの水源を爆破したため、ホニアラ人口の約70%が水道の供給を受けられずにいたが、その状況も2〜3日のうちに復旧する見込みである。

IFM最高司令官のジョセフ・サングは、旧IFMメンバーの武器類の回収(武装解除)作業を行っており、旧IFMメンバーの所持していた武器類のほとんどが国際平和監視チームに引き渡された模様。

*2000/11/26--------

先週ホニアラ市内で発生した旧ガダルカナル州政府庁舎とPlace Makers(1階がハードウェアショップ、2階が地元のビジネスマンが所有するレストラン、3階が旧MEFスポークスマンのアンドリュー・ノリが法律事務所を構える)の放火事件について、いまだ犯人を検挙するところまで捜査は進展していない。

平和監視委員会は、マライタ島内にも4カ所(マライタ本島には北部、中部、南部の3カ所、隣接する小マライタ島に1カ所)の監視拠点を設置することを計画しているという。各所に常駐する監視員は州都アウキに常駐予定の国際平和監視チームと緊密な連携関係を維持する。

IFMガダルカナル島西部方面最高司令官のジョセフ・サングは、ガダルカナル島南部ウェザーコースト地域への船舶の乗り入れを容認すると述べた。また彼は、ガダルカナルのビジネスマンに対し、ウェザーコーストでのビジネス活動を再開するよう促した。さらに、ホニアラとガダルカナル島内2カ所の地方空港を結ぶ定期航空便を再会するための交渉をソロモン航空経営陣をおこなう用意があることも明らかにした。ジョセフ・サングは、今年9月、ガダルカナル島南部ババナキラ空港でソロモン航空の国内線をハイジャックした人物である。

*2000/11/22--------

元MEFメンバーのうちの一部の不満分子が、11月22日午後、ホニアラのセントラル・マーケットの前で、13人乗りバスに放火した。未確認の情報ではあるが、元MEFメンバーの中には同僚メンバーよりも少ない報酬しか得ていないことに不満をいだく者がいるという。この事件の発生に伴い、ホニアラ中心部の交通は、同日午後5時頃まで遮断された。MEFの元メンバーの多くが、11/22(水)、タウン・グラウンドからセントラル・ポリス・ステーションまでの間をデモ行進した。

David Fox前ホニアラ市長は、元MEFのリーダーたちに対し、元メンバーたちの最近にみられるような過激な行動を抑制し、ホニアラ市民の安全な生活を守るよう求めた。Foxは、最近の投石、抗議行動、集会は、平和の兆候さえ見られないと述べる。「2年間の紛争を経て、人びとはようやく平和を取り戻したという実感を感じ始めていた時なのに、そのような行為がまだ起こるとなると、人びとは平和は本物なのかという疑念はいだいてしまう。

オーストラリアのドウナー外相は、同国が民族紛争において懸案事項とされてきたコンペンセーションの問題について、ソロモン諸島政府を支援する用意があると述べた。その問題は、ソロモン諸島の和平を実現する上で非常に重要な事柄であると認識しているという。オーストラリアとニュージーランド両政府は、警察および非武装の軍人による監視チームをソロモン諸島に派遣する準備を進めている。しかしドウナー外相は、現在のソロモン諸島における「壊れやすい平和状態」における平和監視活動の主要な役割は、信頼の構築を支援していくことにあると語る。もし発砲事件などが起きた場合、両国はその業務の遂行を選択することはできないとも述べている。

*2000/11/21--------

MEF最高司令官のジェレミー・ルアは、マラウ問題に関わっているすべての組織に対し、現在中断中のマラウ和平協議を早急にまとめるよう求める声明を出した。ルア司令官は、マラウ協議が遅滞すると、和平プロセスそのものにも影響すると述べている。MEFは独自に武装解除プログラムを作成しており、マラウ協議がすぐにもまとまれば、MEFのマライタ島南部出身のメンバーが保持している武器類の解除は今週金曜日までに終了することになっているという。しかし、今のところマラウ問題についての協議を再開する目処はたっていない。

ソロモン諸島からの分離独立を目指しているマキラ・ウラワ州知事らの考えに対し、前マキラ・ウラワ州知事のレジナルド・ヌヌは、同州に独立を達成できるほどの産業も人材も存在しないといって強く批判した。ヌヌ前知事は、当面マキラ・ウラワ州がめざすべきこととして、インフラを整備する投資プロジェクトを策定し、州民の生活水準を改善することに導く雇用の確保をはかり、そしてソロモン諸島国の結束を強化する道であると述べた。

11月19日(日)午後5:00頃、ホニアラ中心部にある旧ガダルカナル州政府庁舎から火が出て、全焼した。紛争における緊張の高まりから、その建物は今年4月以降、州庁舎として使われなくなった。6月のMEFによるホニアラ占拠以後はMEFの司令本部として使用されてきたが、10月に成立したタウンスビル和平合意以後、MEFの撤退とともに無人化していた。警察は、MEF内部の一部の不満分子による放火とみて捜査している。

ガダルカナル州政府は、これまで、新しい州政府庁舎をガダルカナル島東部マラウ地区に建設する計画を立てていた。すでにその建設資金がアジア開発銀行からの融資でまかなうことも決定している。しかし、もともとマライタ島南部地域と文化的つながりの深い人びとが居住していた同地域では、マライタ人がガダルカナル州政府の移転に強く反対している。

*2000/11/19--------

ホニアラでおこなわれているガダルカナル島マラウ地区をめぐる和平会談が、行き詰まりをみせている。懸案となっているのは、ガダルカナル紛争の緊張度が高まっていた時にマラウ地区から追放されたマライタ人(マライタ島南部地域と親族的、言語的つながりがある)に対するコンペンセーションの問題と、マラウ地区の今後の政治的ステータスについてである。ガダルカナル州政府は、新しい州都をマラウに設置しようと考えている。これらに対し、マラウ・イーグル・フォース(マラウ地区のマライタ人による武装組織)は、400万ソロモンドル(約8000万円)のコンペンセーションを中央政府とガダルカナル州政府に求め(中央政府はこれまでに150万ソロモンドルを提示しているが、マラウ・イーグル・フォース側はその金額を拒否している)、マラウ地区を中央政府の直轄地にすることを望んでいる。

*2000/11/14--------

現在イサベル州都ブアラでおこなわれている全国州知事会議において、テモツ州、マキラ・ウラワ州、レンネル・ベロナ州の各知事が、それぞれソロモン諸島国からの分離独立の意思のあることを表明した。その会議では、地方行政システムを現在の州(province)からより自治権の強い「州」(state)へ移行することについて議論されていた。会議に同席していた中央政府地方州省(Ministry of Provincial Government)の法律顧問R.テウタオは、「3知事の発言は単に現在の州システムへの不満を表現しているにすぎず、本気で「独立」を考えてはいないだろう」と述べている。しかし、3知事は、テウタオのこの発言を否定した。マキラ・ウラワ州のNahusu知事は、「我々の行動は、州民の意思の表れであり、州民自身が真に行政に参加することを真剣に求める気持ちから出ているのである」と述べている。

中央政府は、ソロモン諸島の伝統的政治リーダー(ピジン・イングリッシュで一般に「チーフ」と呼ばれる)を、現在懸案となっている新しい行政システムの中に明確に組み込むべきであるという提案をおこなった。

*2000/11/12--------

ソロモン諸島警察部隊(Solomon Islands Police Force)本部は、近々その一部の部隊をパプア・ニューギニア国境地域へ展開させる予定であると発表した。警察のW.Akao長官補佐官は、先週末にウェスタン州都ギゾにある「ギゾ・ホテル」で起きたブーゲンビル人による銃撃事件(4人死亡、2人負傷)を受けて、国境防衛の問題が再び重要課題として浮上してきたという認識を示した。事件を起こしたブーゲンビル人は、国境を越えてソロモン諸島に運び込まれた武器類を回収するためにやってきていたが、ギゾ・ホテルに入ったところでソロモン諸島警察におさえられた。

*2000/11/9--------

武装集団によって所持されていた武器、弾薬の引き渡しがはじまった。平和監視委員会のトヴア副委員長(国会議長)は、IFMの元メンバーが自分たちの武器を司令官に引き渡し、ガダルカナル島内の特定の場所に保管しはじめたことを確認したという。MEFは、明日(11/10)午後にホニアラで開かれるセレモニーにおいて武器、弾薬の引き渡しを行う予定である。両武装集団(今となっては「元」武装集団)のこの一連の行動は、彼らが先月オーストラリアで締結した「タウンスビル和平合意」を遵守する姿勢の現れである。トヴア副委員長によると、オーストラリアおよびニュージーランドから派遣される国際平和監視チームが回収された武器類を集め、タウンスビル合意に定められている方法で保管されることになっている。

*2000/11/8--------

本日(11/8)、ガダルカナル島東部マラウ地区の和平に関する会議が、ホニアラで始まった。ガダルカナル州政府、IFM、マラウ・コミュニティ、ヴィレッジ・チーフ、マラウ・イーグル・フォース、ソロモン諸島政府の各代表者が出席した。