Ethnic Tension and Coup in the Solomon Islands

−12月分(2000年)−



・最新月 /2000年・・6月分 ・7月分 ・8月分 ・9月分 ・10月分 ・11月分
/2001年・・1月分 ・2月分 ・3〜10月分


*2000/12/20--------

12/20(水)午後、ホニアラ西部のトロピカーナ・モーテルで発砲事件がおこった。1人が負傷したが、死者はなかった。事件が起こったのはその日の午後1:00過ぎで、モーテルには300人以上のガダルカナル人(政府は特別警察隊(Police Special Constabulary)を組織するために、マライタ人以外の男性をリクルートしていた)が滞在していた。

ソロモン諸島人の法律家、Gary Fa'aitoaは、オーストラリアのドウナー外相によって出された「タウンスビル和平合意内容を迅速に履行すべき」という主旨の声明に反論している。Fa'aitoaによると、タウンスビル和平合意事項は、復興、コンペンセーションの支払い、インフラ再開発、開発活動など多岐にわたり、それらの実行には多額の資金が必要であるという。しかしソロモン政府には、それらを迅速におこなうだけの財源はない。また、最近国会で通過した不逮捕に関する新法はソロモンの法システムを基盤にしたものではなく、まず憲法の改正が必要であるとも指摘している。

*2000/12/19--------

オーストラリアのドウナー外相は、旧武装勢力に対し、彼らが所持している武器類を手放さない限りソロモン諸島における復興(再建)プログラムはありえないと警告した。これまでに旧武装勢力の武器は半数ほどしか回収されていない模様。ドウナー外相は、武装解除計画や社会秩序が回復しない限り、ソロモン諸島経済は完全に崩壊するほどの深刻な状況に至っていると述べ、ソロモン諸島国民に対し、秩序が回復されない場合の経済的影響について理解と認識の必要性を説いた。

オーストラリアのドウナー外相は、ホニアラ「1日訪問」後の記者会見において、ソロモン諸島の武装集団がこれまで所持してきた武器類の半分しか手放していない事実を指摘し、彼らがタウンスビル和平合意内容に従わないなら同国の復興・再建プログラムは凍結せざるを得ないという警告を発した。ドウナー外相は、ソロモン諸島国は現在深刻な経済状況にあり、経済を再建するためにも完全なる武装解除は必須条件と述べている。彼はホニアラ滞在中、ソガヴァレ首相、ケマケザ副首相と会談するととともに、ガダルカナル島東部地域で活動する国際平和監視チームの視察と回収された武器類の視察をおこなった。

平和監視員会のトヴア副議長によると、現在も多くの武器、とりわけ殺傷力の高い武器類が回収されず、コミュニティ内にとどまっているという。それらはかつて警察部隊が所有していたものである。

タウンスビル和平合意では、紛争に関係するすべての組織が、警察長官の指揮下でソロモン諸島警察が法と秩序の維持に責任をもつことに合意したはずである。しかし、トヴア副議長によると、多くの旧武装集団のメンバーは武器類を手放さず、その合意内容は守られていないという。

ヴァヌアツ政府は、ソロモン諸島における国際平和維持軍を支援する意思を明らかにした。それは、先週末にヴァヌアツの首都ポートヴィラでおこなわれたBarak Sope首相以下数人の閣僚とオーストラリアのドウナー首相との会談で合意されたものである。具体的には、現在ソロモン諸島で活動中の国際平和監視チーム(今はオーストラリア人とニュージーランド人で構成されている)にヴァヌアツ人を加えるというものである。

*2000/12/13--------

12/13、数百人のテモツ州出身者が、民族紛争のあおりを受けて避難した人びとに対する手当金を求めて、国家統合・和解・平和省の建物を取り囲んだ。群衆は、政府が今日テモツ州に帰郷する人びとにのみその種の手当が支払われたことに反応して集まった模様。

政府は、民族紛争中に被害にあった人びとに対するコンペンセーションについて、来年早々にも、ガダルカナル島内で財を喪失した人びとを最優先にその支払いを開始する予定であることを明らかにした。政府はいまだそのための財源を確定できないでいるが、これまでにオーストラリア、台湾、EUを含むいくつかの国々が支援の可能性を示唆している。

政府は現在、地方行政システムの中に伝統的チーフの役割を盛り込むべきであるという見方をしている。

*2000/12/12--------

中央政府のナザニエル・ワエナ地方州担当大臣は、政府がすでに地方州制度に関する独立憲法の条項を改正する方向で閣内で了承を得ていること、そしてその作業に関してホニアラのイギリス大使館(High Commission)に支援(助言)要請をおこなったことを明らかにした。これは、現在の州(province)よりも強い自治権をもつとされる「州」(state)への移行を意味する。ワエナ大臣は、「これはソロモン諸島の各州政府の大多数の意向に添うものである。一連の改憲手続きをおこなわないと、各州はソロモン諸島からの分離独立を求め出すだろう」と述べている。

ケニロレア元首相を議長とする平和監視委員会は、武装解除の期限が今週金曜日(12/15)に迫っており、武器類の所持者が速やかな回収に協力するよう、改めて呼びかけた。この期限以降の武器所持は違法行為となる。

*2000/12/8--------

木曜日(12/7)の国会において、ソガヴァレ首相は、昨今の国内事情を鑑み、国軍の創設を真剣に検討すべき時期にきていると述べた。

MEFの司令官は、12/8朝からMEFサポーターの銃器の回収作業を、警察本部の武器庫で行うと述べた。MEF非武装化委員会(MEF Demilitalization Committee)は、現在も武器を所持している者に対し、今日(12/8)までに指定場所に持参するよう呼びかけた。

*2000/12/7--------

平和監視委員会は、武装集団のメンバーだった者が自らの出身コミュニティに戻ることや、法と秩序を回復することは困難であるかもしれないという見解を述べた。同委員会のピーター・ケニロレア卿(初代首相)が12/7の記者会見でその見解を明らかにした。しかし彼は、MEFおよびIFMのスポークスマンが同委員会に、彼らが元武装メンバーたちに法に従うよう促すことを保証している。今日(12/8)mタウンスビル合意に参加した関係組織による会議が開かれ、合意内容の進捗状況について議論し、各組織はソロモンの恒久的平和の実現に努力していくことを再確認した。

ケマケザ副首相(紛争問題担当大臣)は、シドニーでおこなわれた地域の紛争解決に関する会議の席で、メラネシア諸国が土地所有システムや資源の不平等分配など共通の問題を抱えている点を指摘した。彼は、開発戦略は、国民の所有する資源から得られる富の公平な分配のために、「国民指向のテーマ」に基づいて構造化されなければならないとのべた。

*2000/12/5--------

オーストラリア政府は、さきの民族紛争によって被害を被ったガダルカナル島内コミュニティの復興に対し、100万オーストラリアドルの援助をおこなうと発表した。この援助プログラムはあくまでもコミュニティを対象にしたものであり、個人や家族レベルの援助申請には応えない。