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3. ハナハタザオの保全(ハナハタザオ保全研究グループ)

ハナハタザオ保全研究グループの活動紹介

 ハナハタザオは絶滅危惧IA類に分類されるアブラナ科の植物で、約1cmくらいの淡い紫色をした花弁が特徴です。ハナハタザオの生育地は急速に減少しており、日本では茨城県、山梨県、静岡県、熊本県の4県でのみ生育が確認されています。生育環境の改変によって今後も絶滅する可能性が高く、各地域でいま残されている個体群の保全が必要です。

 ハナハタザオはユーラシア大陸にも分布しており、日本と大陸の連続性を示す重要な種類です。日本にはハナハタザオの仲間が1種類分布しますが、大陸のハナハタザオの仲間は11種類存在し、中国・ロシア・カザフスタン・モンゴルなどのステップ地帯に広く分布しています。

 私は自分の研究フィールドである半乾燥地と自分が住んでいる茨城県は気温や降水量が大きく異なるにも関わらず、ハナハタザオは共通して分布していることに興味を持ちました。しかし、日本のハナハタザオは多くの地域個体群が絶滅してしまい、残された個体群も危機的な状況です。

 そこで私はハナハタザオの個体群維持に必要な生態的特性を明らかにすることで繁殖技術を確立したいと考えています。その技術を各地域の個体群で適応できるか検討し、まずは我が国のハナハタザオの保全を行いたいと思います。その後ハナハタザオを通じて大陸と日本の関係性や共通する生態的特性などを検討してみたいと思います。

活動の様子

国営ひたち海浜公園のハナハタザオ保全活動に参加しました。

生育状態を計測しています。

筑波大学内で生育試験を行っています。

活動実績

川田清和・大塚千尋(2023)沿岸部と山間部に生育するハナハタザオの形態比較 日本生態学会 第70回全国大会 (オンライン・仙台)
大塚千尋・川田清和(2023)沿岸部と山間部に生育するハナハタザオの栄養成長期における耐塩性比較 日本生態学会 第70回全国大会 (オンライン・仙台)

川田清和(2023)ハナハタザオが結ぶひたち海浜公園とモンゴル 環境シンポジウム 国営ひたち海浜公園、2023年6月24日