日時:2023年10月25日(水)(大会第3日)17:30〜19:30
場所:仙台国際センター会議棟(気象学会秋季大会3日目)D会場 白檀
テーマ:大気海洋結合系研究の現状と展望
趣旨:数年から数十年規模の長期の気候変動の解明には,大気・海洋双方の全球規模の理解が必要である.1980年代に本格化した人工衛星観測により全球大気の理解が進展した.そして,その約20年後の2000年に始まったArgoフロート観測により全球海洋の3次元的構造の解釈が得られるようになったことで,季節〜十年スケールの気候変動の仕組みの理解や,その予測の精度向上が次第に実現されつつある.その一方で,2023年,エルニーニョ現象が発生しているにも関わらず日本は猛暑であり,通常であれば千葉県銚子沖を東に流れ去る黒潮続流が宮城県・岩手県沖まで北上している.これは,1992年以降の海面高度計観測時代において初めての状態であり,この異常北偏に伴い三陸沖の海水温は4〜6度も上昇している.この異常昇温が日本および東北地方の気候に大きな影響を及ぼすに違いない.
このように変わりゆく気候系への予測精度の改善,およびその精緻化の実現には,現在気候を理解することが不可欠である.そこで,海洋視点を取り入れた気候研究の最前線を,国際Argo計画に携わり全球規模海洋・気候研究の第一人者である須賀教授と,やませなどの諸現象をキーワードに東北地方気候研究を展開している島田准教授のお二人から基調講演としてご紹介いただき,総合討論では今後の気候研究の展望を議論し,夢を語り合う機会としたい.
コンビナー・司会:本田明治(新潟大学)・杉本周作(東北大学)
プログラム
1. 趣旨説明
2. 須賀利雄(東北大学)「上層海洋の季節サイクルと気候」
3. 島田照久(弘前大学)「再解析・数値実験からみるヤマセと地域気候への影響」
4. 総合討論