CLIMATE LABORATORY

 climate研究室では、グローバル気候の形成メカニズムとその変動機構について、各種の気候データ解析、および気候モデルを用いたシミュレーションを通して、研究を進めています。対象としている時間スケールは、過去・現在・未来に大別されます。


(1) 現在: 今日は暑い・寒い、風が強い・弱いといった現象は、万国共通の日常会話であることは言うまでもありません。このような現象は、「変化する」気候・気象事象であることから、人々の関心も高いのですが、それではなぜ現在の「平均的な」気候(気温・風・雨など)が形成・維持されているのでしょうか。このような素朴な疑問は、実は非常に奥の深いテーマです。何故なら、現在の気候は、地球気候システムに内在する様々なフィードバックの平衡解だからです。つまり気候変動の「何故」に答えるためには、大気・海洋・陸面フィードバックを一つ一つを丁寧に説明する必用があります。それこそが、気候形成研究の真髄ともいえ、現在、当研究室で最も力を入れている分野です。

 上記の気候形成研究で得られた知見は、例年に比べて暑い・寒い/雨が多い・少ないといった、いわゆる異常気象(個人的には気候変動と認識しています)の研究に応用が可能です。これまで、本研究室では、1993年の冷夏・1994の暑夏、さらには2004年の猛暑や平成18年以降に引き続いて生じた豪雪などについて、研究成果を発信してきました。近いところでは、1999年頃から続いている「気候ハイエイタス現象」について、モンスーンの変調という視点から研究を進めています。


(2) 未来地球温暖化研究は「過去の事実に基づく普遍的な理論の探求」というこれまでの理学研究とは、将来予測という点で大きく異なっています。本研究室では、温暖化予測に関する各種の研究プロジェクト(推進費・創生プロ)に関与しています。このような研究を通して、気候モデルが抱える課題、換言すれば気候研究者が取り組むべき問題も明確になりつつあります。近年、計算機環境の飛躍的な向上により、同じ気候モデルを用いて、過去の気候再現や、異常気象などの気候変動、さらには地球温暖化予測実験が行えるようになりつつあります。つまり様々な時代を行き来することにより、地球気候システムに内在する各種のフィードバックの理解が進むことが期待されています。このような研究を通し、気候モデルの信頼性が向上し、結果として将来予測という喫緊の課題や過去の気候変動について、より説得力のある成果が得られればと考えています。温暖化研究については、やや食傷気味という声を学生から聞くこともありますが、実は、ようやく腰を落ち着けて研究できる状態になったともいえ、社会貢献という観点からも研究成果が期待されています。


(3) 過去古気候学と呼ばれる学際研究分野で、前述の「様々な時代を行き来する」という観点から、新たに研究を始めました。近未来の温暖化予測結果に近いことから、温暖化予測との対比が注目されている鮮新世(300万年前)、サハラ砂漠が緑に覆われていたとされる完新世(6千年前;気候最適期orヒプシサーマル)、さらには最終氷期最盛期(2.1万年前)など、現在と異なる気候状態がどのようなメカニズムで引き起こされたのかについて、気候モデルを用いて研究を進めています。過去1000年に目を転ずれば、中世の温暖期(10~14世紀)や小氷期(15~19世紀)など、数多くの謎が残されています。本研究室では、上記の研究を円滑に遂行するために、古気候モデリング相互比較プロジェクト(PMIP)に参加し、国際共同研究を行っています。


 個人的には、子供の頃にいだいた「風はどこからどうやって吹くの?」という素朴な出発点を忘れず、様々な時代に想いを馳せ、世界の気候・気象現象の探求を通して、地球の気候がどのようにして現在の状態になっているのか、そして我々は今後どんな時代を生きていくのかについて、研究室のメンバーとともに研究に取り組んでいきたいと考えています。

 研究の時間スケール、空間スケールは多岐に渡りますが、柔軟な発想と、それらを裏付ける理論の学習を通じて、卒業研究・修士研究・博士論文をサポートしています。どちらかというと、大きなスケールの気候現象、それも大気だけではなく、様々なサブシステム間の相互作用に興味がある、という方は一度、植田までご連絡ください。


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© 植田 宏昭 2017