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2021年度

  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2022-n33
    2022.2.22 倉橋節也
    1. 都外からの感染者流入者数はピークを迎え、夜間滞留人口は減少傾向が緩やかに続いている。これらのデータを用いて、東京都オミクロン株感染者数を対象に、リスク行動抑制・3回目接種率における新規陽性者数・重症者数の比較を行った。
    2. 感染モデルによる推定の結果、3回目接種率が2回接種者の90%であれば、感染者数は緩やかに減少していくが、80%以下に留まった場合、感染者数が再び増加する可能性がある。
    3. 効果的な感染抑制策
     陽性者数が10,000人を超えた場合、リスク行動(長時間多人数の会話・会食、高齢者接触等)を直前の週に対して20%以上抑制
     3回目接種率を2回接種者の90%以上に実施
  • 地域への新型コロナウイルス感染者流入リスクとワクチン効果の影響評価,人工知能学会論文誌,Vol.37, No.1, p. C-L42_1-9, 2022
    2022.2.14(2022.1.1) 倉橋節也
    この論文では、モバイル統計データと進化的最適化を使用したCOVID-19感染予測のための新しいSEIRモデルを提案しています。このモデルでは、域外からの流入リスクを考慮し、地域内の感染者数を高い精度で予測することができます。このモデルを用いて、札幌市への流入リスクの影響を分析し、2020年夏以降の流入が制限されていれば、11月の感染拡大は半分以下に減少した可能性があることを示しています。 また、首都圏の緊急事態宣言で求められた予防策について検討し、 個体ベースモデル得られた感染対策の実効再生産数を使用してワクチン接種とサーキットブレーカーの効果を推定しました。
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2022-n32
    2022.2.8 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の行動抑制効果・60歳未満3回目接種開始時期のそれぞれに対して、新規陽性者数・重症者数の比較を行った。都外からの流入者数、夜間滞在人口とも年明けから減少傾向は続いており、人々の抑制的行動による感染抑制効果が推察される。
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2022-n31
    2022.1.25 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の感染力・3回目接種の開始時期のそれぞれに対して、新規陽性者数の比較を行った。
    2. 夜間滞留人口が12月水準から減少しない場合、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施しても、新規陽性者数は2月下旬で最大約50,000人/日、重症者数は170〜340人/日に達する可能性がある。
    3. 夜間滞留人口が12月水準から70%まで減少すると、新規陽性者数は最大28,000人/日、重症者数は90〜180人/日まで減少する。
    4. 夜間滞留人口が12月水準から70%に減少し、高齢者第3回接種を180日以内に実施すると、新規陽性者数は最大27,000人/日、重症者数は80〜150人/日まで減少する可能性がある。
    5. 効果的な抑制策は以下 ・夜間滞留人口を12月水準の70%に抑制 ・第2回接種から180日後に高齢者への第3回接種を実施
  • 家庭内接触感染リスクの可視化 wp-2022-n30
    2022.1.25 倉橋節也
    帰宅後の接触行動によるウイルス付着量を推定した。
    1. 帰宅時の接触行動から室内の様々なところにウイルスが付着する。
    2. 通常の手洗い行動によるウイルス減少効果は低い。
    3. 帰宅後の早期の手洗いによって、室内ウイルス残量を減少できる。
    4. ハンドソープによる手洗い効果は高い。
    5. 玄関での手指消毒効果は更に高いが、手指には一定数残存する。
    6. 玄関での手指消毒と早期の手洗いの組み合わせ効果が最も高く、加えて、玄関周りや携帯品の消毒の実施が示唆される。
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2022-n29
    2022.1.19 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の感染力・3回目接種の開始時期のそれぞれに対して、新規陽性者数の比較を行った。
    2. オミクロン株の感染力を1月11日〜16日平均と同等と仮定し、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施した場合、新規陽性者数は3月上旬で約47,500人/日に達する可能性がある
    3. 夜間滞留人口を70%まで抑制すると、新規陽性者数を25,000人/日、高齢者第3回接種を180日以内に実施すると15,000人まで減少できる可能性がある。
    4. 重症者数はデルタ株比0.1で600人/日〜160人/日、0.05で310人/日〜80人/日と推定された。ただし、データが少なく参考値。
    5. 効果的な抑制策は以下 ・夜間滞留人口70%まで減少 ・高齢者へのブースター接種を180日経過後
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2022-n28_r1
    2022.1.7 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の感染力・3回目接種の開始時期のそれぞれに対して、新規陽性者数の比較を行った。
    2. オミクロン株の感染力を1月1日〜6日平均と同等と仮定し、第3回接種を全接種者に対して240日以内に実施した場合、新規陽性者数は3月上旬で約50,000人/日に達する可能性がある。
    3. 夜間滞留人口を70%まで抑制すると、新規陽性者数を28,000人/日、50 %まで減少させると16,000人まで減少できる可能性がある。
    4. 重症者数は570人/日〜290人/日と推定された。ただし、データが少なく参考値。
    5. 効果的な抑制策は以下 ・夜間滞留人口50%抑制 ・高齢者へのブースター接種を180日経過後 ・感染拡大速度が早いため、60歳未満の接種経過日数を短縮する効果は、短期的には少ない。
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2021-n27
    2022.1.5 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の感染力・3回目接種の開始時期のそれぞれに対して、新規陽性者数の比較を行った。
    2. オミクロン株の感染力が1.32倍(南ア報告)の場合、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施し、夜間滞留人口を2022年12月の70%まで減少させることで、新規陽性者数を6000人/日まで抑えられる可能性がある。
    3. オミクロン株の感染力が1.5倍(英国報告)の場合、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施し、夜間滞留人口を70%としても、新規陽性者数を13,000人/日となる可能性が推定された。
    4. 効果的な抑制策は少ないが、以下は有効と思われる。 ・60歳未満に対する経過日数180日の3回目接種実施 ・夜間滞留人口50%制限
  • オミクロン株の新規陽性者推定(東京都) wp-2021-n26
    2021.12.21 倉橋節也
    1. 東京都におけるオミクロン株の感染力・3回目接種の開始時期・接種証明制限のそれぞれに対して、新規陽性者数の比較を行った。
    2. オミクロン株の感染力が1.32倍(南ア報告)の場合、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施することで、新規陽性者数を1800人/日まで抑えられる可能性が推定された。
    3. オミクロン株の感染力が2.0倍(英国報告)の場合、第3回接種を全接種者に対して210日以内に実施およびワクチン接種/陰性証明パッケージの飲食店・イベント会場80%に実施をしても、新規陽性者数を9100人/日となる可能性が推定された。これらに加えて、第3回接種率(2回目接種者に対する第3回接種率)を100%完全実施することができれば、新規陽性者数を4500人/日まで抑制できる可能性が示唆された。
    4. 感染力が2.0倍の場合、3回目接種開始を180日にする効果は大きいが、開始時期を2月に遅らせると感染拡大を抑制できない。ただし、3回目接種速度を今年並みとした。
    5. 効果的な抑制策は以下の3点と思われる.
    ・全年代2回目接種者に対する210日以内の第3回目接種の100%完全実施
    ・ワクチン接種/陰性証明パッケージの飲食店・イベント会場への80%以上の実施
    ・180日後の3回目接種を1月中旬開始
  • 家庭内感染リスク可視化モデル wp-2021-n25
    2021.11.16 倉橋節也
    1. 外出から帰宅後の家庭内接触感染リスクを可視化した。
    2. ウイルス付着量の大多数は、正門(エントランス)・玄関付近のものに集中している。
    3. 特に、正門(エントランス)_郵便物・宅配物、玄関内_消毒剤,玄関外_テンキー,玄関内_カバン・買い物袋などが高リスクとなった。
    4. 正門(エントランス)・玄関に入る前(鍵・郵便受けなどを触れる前)の手の洗浄、外での接触頻度が高い買い物袋・スマートフォンなどの洗浄が、リスク低減となることを示唆している。
  • 人流と感染変化率との関係(東京都) なぜ感染が減少したのか wp-2021-n24
    2021.11.16 倉橋節也
    1. 2021年8月後半から感染が急減した。その理由をデータから推定し、仮説を提示した。
    2. 都内繁華街の夜間滞留人口や都外からの流入人口、ワクチン接種率を用いると、一人当たりの感染力を表す実効再生産数を精度よく推定できた。しかし、8/1までのデータで学習したモデルで8月以降を推定すると、8月中旬の感染者数を過大評価してしまった。
    3. これは、8月後半に滞留人口がリバウンドしたことをモデルが過大評価したのが原因であるが、その要因として滞留人口の質が変わった可能性がある。
    4. 8月後半以降滞留人口は増えたものの、ワクチン未接種者は夜間繁華街を避けた、あるいは感染リスクの高い行動を避けたことが、夏以降の急減要因との仮説が考えられる。
  • 人流増加・ブースター接種・接種率・接種証明制限効果の推定 (東京都) wp-2021-n23
    2021.10.5 倉橋節也
    1. 東京都における繁華街夜間人流増加率・3回目接種の開始時期・接種証明制限のそれぞれに対して,新規陽性者数の比較を実施した.
    2. 人流制限がない場合,来年1月後半以降に急速な感染拡大が予想された.主な原因として,夜間人流の増加・ワクチン発症予防効果減衰・3回目接種の遅れが推定された.
    3. 3回目接種を医療従事者と高齢者に限定した場合,年明けの感染拡大が危惧されるが,3回目接種を全年代に実施することで,感染拡大は一定程度抑制できることが示唆された.
    4. 効果的な抑制策は以下の3点と思われる. 12/1以降に接種後180日を経過した年代から順に,全年代に3回目接種を実施 3回目接種と接種証明による職場・飲食店・イベントへの入場制限 新規陽性者が1000人を超えた時点で人流制限(50%減少)
  • 宣言解除日・人流増加・ワクチン効果・ブースター接種・接種率・接種証明制限効果の推定(東京都) wp-2021-n22
    2021.9.13 倉橋節也
    1. 緊急事態宣言解除日・人流増加・ワクチン効果・ブースター接種・接種率・接種証明制限のそれぞれの設定値に対して,新規陽性者数,重症者数の推定を実施した.
    2. ワクチンの感染抑制効果減衰を仮定すると,ブースター接種とワクチン接種証明による職場・飲食店・イベントへの入場制限の組み合わせが最も効果があることが示唆された.
  • 人流増加・ブースター接種・接種率アップ・接種証明制限効果の推定 (沖縄県) wp-2021-n21
    2021.9.6 倉橋節也
    1. 13時の繁華街滞留人口が感染増減に強い影響を持つ 県内繁華街(那覇市国際通り、石垣島美崎町)の時間帯別滞留人口および県外からの流入人口で実効再生産数を統計的推定をした結果、13時と19時の繁華街滞留人口、県外からの流入人口および感染者流入が有意となり、中でも短期的には13時繁華街人口増減が強い影響を持っていることが示された。

    2. 13時繁華街滞留人口が1.4倍に増加すると2022年春に感染拡大のリスクがある 現在のワクチン接種では、接種180日以降の予防効果減衰リスクが回避できず、2022年1月から4月にかけて600名を超える感染拡大の可能性がある。

    3. ブースター接種・ワクチン接種率向上によって感染者数を一定程度抑制可能 3回目のワクチン接種と、若年者のワクチン接種率向上(75%)によって、来春以降の感染拡大を一定程度抑制(440名)できるが、流入リスクや滞留人口増加(1.4倍)の影響で完全な感染終息は難しい。

    4. ブースター接種に加えて、ワクチン接種証明の活用が効果的 職場、飲食店、イベント会場へのワクチン接種証明による入場制限を実施することで、感染拡大を効果的に抑制できる可能性がある。全体の60%以上が接種証明を活用できれば、来春の感染者数は70名程度に抑制できる。
  • 人流・ブースター接種・接種証明の効果推定(東京モデル) wp-2021-n20
    , 2021.8.31 倉橋節也
    1. 19時の繁華街人流が8月末水準を維持できれば、9月以降陽性者数は減少する

    2. 19時の繁華街人流が5月〜6月水準まで戻ると、12月以降に重症者数が急増する

    3. ブースター接種は中長期的に有効

    4. ワクチン接種証明の活用は短期的にも有効
  • 人流抑制効果の推定 wp-2021-n19
    , 2021.8.15 倉橋節也
    1. 19時の繁華街滞留人口が感染率に強い影響を持つ

    2. 19時の繁華街滞留人口を40%減少させると陽性者数が90%減少する可能性がある

    3. 勤務定時終了後の繁華街立ち寄りをできるだけ控え、早期帰宅が重要

    4. ワクチン効果減衰の影響が予想される
  • 7/12緊急事態宣言の効果 -陽性患者、重症者、入院者推定- wp-2021-n18_r1
    , 2021.8.4 r1 (2021.8.3 r0) 倉橋節也
    1. 7/12緊急事態宣言の効果をシナリオ推定 7/12以降の東京都の第4次緊急事態宣言効果、第2次宣言(2021/1)相当の効果 の2つのシナリオで、新規陽性患者数と重症入院患者数(東京基準)を推定した。

    2. 現在の第4次緊急事態宣言相当では、15,000名を超える新規陽性患者が発生 2021年7月の第4次緊急事態宣言の効果は少なく、9月初旬の新規陽性患者は1日あたり15,000人(週平均)を超え、重症入院患者数も最大で1,200人前後となる恐れがある。

    3. 第2次緊急事態宣言相当まで抑制できても、10,000名を超える新規陽性患者が発生 2021年1月の第2次緊急事態宣言と同程度まで抑制できたとしても、9月上旬に新規陽性患者は1日あたり10,00名(週平均)を超え、最大で760名程度の重症入院患者が発生する恐れがある。

    4. 抑制シナリオ案:8/9〜8/22まで臨時一斉休業実施で、陽性者7,000人まで抑制可能 非常事態の医療危機が目前であり、 飲食店の時短やアルコール提供休止要請に加えて、行動変容を促すために、 2週間の臨時夏季休業、企業のテレワーク率70%以上、長距離移動(10kmなど)の自粛、4人以上の外出自粛など、都民全体で痛みを分かち合う行動により、 新規陽性患者数を7,000人、重症入院患者数を540人まで抑制可能。
  • 7/12緊急事態宣言の効果 -陽性患者、重症者、入院者推定- wp-2021-n17
    2021.7.27倉橋節也
    1. 7/12緊急事態宣言の効果をシナリオ推定 7/12以降の東京都の緊急事態宣言効果、第2次宣言相当(2021/1) 、第3次宣言相当(2021/4)の3つのシナリオで、新規陽性患者数と重症者数(東京基準)、入院者数を推定した。

    2. 現在の第4次緊急事態宣言相当では、3100名(週平均)を超える新規陽性患者が発生 2021年7月の第4次緊急事態宣言の効果が8月上旬まで継続した場合、新規陽性患者は1日あたり3100名(週平均)を超え、8月中旬には最大で300名前後*の重症患者が発生する恐れがある。*ピーク値。

    3. 第2次緊急事態宣言相当では、2600名を超える新規陽性患者が発生 2021年1月の第2次緊急事態宣言と同程度の効果の場合、8月上旬に新規陽性患者は1日あたり2600名(週平均)を超え、8月中旬には250名*の重症患者が発生する恐れがある。

    4. 第3次緊急事態宣言相当では、1200名程度の新規陽性患者が発生 2021年4月の第3次緊急事態宣言と同程度の効果の場合、8月初めに新規陽性患者は1日あたり1200名(週平均)に達し、その後減少するが、8月初めには160名*の重症患者が発生する恐れがある。
  • 7/12緊急事態宣言の効果およびワクチン接種加速のシナリオ分析 wp-2021-n16
    2021.7.21倉橋節也
    1. 7/12緊急事態宣言の効果をシナリオ推定
    7/12以降の東京都の緊急事態宣言効果を、第2次宣言相当(2021/1) 、第3次宣言相当(2021/4)、 第3次宣言相当+ワクチン接種加速の3つのシナリオで、新規陽性患者数と重症者数(東京基準)を推定した。

    2. 第2次緊急事態宣言相当では、2100名を超える新規陽性患者が発生 2021年1月の第2次緊急事態宣言と同程度の効果の場合、8月上旬に新規陽性患者は1日あたり2100名を超え、9月初めには210名の重症患者が発生する恐れがある。現在の人手からは、こちらに近い状況と思われる。

    3. 第3次緊急事態宣言相当では、1200名程度の新規陽性患者が発生 2021年4月の第3次緊急事態宣言と同程度の効果の場合、8月初めに新規陽性患者は1日あたり1230名に達し、その後減少するが、9月初めには210名の重症患者が発生する恐れがある。2022年4月まで感染は続く可能性がある。

    4. ワクチン接種加速および39歳以下接種によって、秋以降の感染抑制が可能 8月15日以降のワクチン接種速度1.2%/日に加速し、15-39歳の接種順位を上げる (15-39歳 0.7, 40-64歳 0.3)ことで、秋以降の感染抑制効果が高くなり、2022年3月で終息する可能性がある。
  • オリンピック22万人来場およびデルタ株年齢別ワクチン効果推定 wp-2021-n15_r2
    2021.7.6倉橋節也
    1. オリンピックによる感染拡大をシナリオ推定
    7/1までの東京都の感染者数から、オリンピック開催に伴い、22万人の新たな人口流動が発生すると想定して感染拡大を推定した。従来型+アルファ株変異種とデルタ株において,6/21以降のワクチン接種を1%/dayで行い,緊急事態宣言解除後の規制を7月11日まで継続した場合のシナリオ推定を行った。

    2. 都外からのオリンピック来訪者が50%の場合、感染者は400名程度増加 オリンピックでの都外からの来訪者が全日程で50%(×22万人)の場合、感染者は400名増加し1850名*、重症者ピークも69名となった。新規感染者数が700名を超えた時点で、 無観客として2021年1月の2次宣言相当の制限を実施し、300人で解除した場合、新規感染者数が900名、重症者も最大47名となった。

    3. デルタ株の拡大が最大のリスク インド由来のデルタ株変異種が、6月6日に都内市中で10名存在した場合、8月末に6600人程度の新規陽性者の発生と重症者が200名となるリスクがある(9月以降も増え続ける)。これに対して、新規陽性者が1週間平均で700名を超えた時点で、第3次緊急事態宣言(1次と2次の緊急事態宣言の中間相当)を実施することで、感染者のピークは1300名程度、無観客で1070名程度に抑制できる可能性*がある。
    *これらは、2020年7月以降の東京都の感染状況をベースに試算しており、オリンピックによる行動変容の緩みのリスクは考慮していない。

    4. 64歳以下年齢別優先接種のリスク デルタ株が拡大する状況で、1) 40-64歳優先(3:1)、2) 64歳以下平等、3) 15-39歳優先(3:1)とした場合、 3)の15-39歳優先接種は10月以降の感染拡大リスクがある。2)もしくは3)が推奨される。

    r1: 6/24までのデータを更新し、デルタ株年齢別ワクチン効果推定を追加
    r2: 7/1までのデータに更新し、デルタ株感染のモデルを実検出数に合わせて更新
  • オリンピックおよびデルタ株の感染推定 wp-2021-n14_r2b
    2021.6.14, r2: 2012.6.16 倉橋節也
    1. オリンピックによる感染拡大をシナリオ推定
    オリンピック開催に伴い、34万人の新たな人口流動が発生すると想定して感染拡大を推定した。東京都での従来型+N501Y変異種において,ワクチン接種を実測数と今後0.8%/dayで行い,6月21日に緊急事態宣言を解除した場合と、解除せずに緩和した規制を継続した場合、そして関係者全員がワクチン接種をした場合のシナリオ推定を行った。

    2. 都内への来訪者が全日程で休日並みの15%の場合、感染者は90名程度増加 来訪者全員がワクチン接種する場合と比べて、都外からの来訪者が全日程で年末休日並みの15%(×34万人)の場合、感染者は93名増加し1660名程度、重症者ピークも60名程度となった。これに対して、緊急事態宣言を全面解除せず緩和した規制を継続した場合、感染者は最大で790名程度、重症者ピーク40名程度に抑えられた。

    3. デルタ株の拡大が最大のリスク インド由来のデルタ株変異種が、6月1日に都内市中で10名存在した場合、最大で55000人程度の新規陽性者の発生と重症者ピーク1940名となるリスクがある。これに対して、新規陽性者が700名を超える7月末に、第4次緊急事態宣言を実施することで、感染者のピークは1000名程度に抑制できる可能性がある。
    *これらは、2020年6月以降の東京都の感染状況(実効再生算数)をベースに試算しており、その当時の都民の緊迫した行動変容(外出自粛)や保健所や店舗による迅速なクラスター対策などが効果を発揮したことを 前提としている。
    r1: 誤記訂正, r2b: 都外からの移動リスク効果を改訂(未感染者、潜伏期間感染者を追加)他
  • 沖縄での緊急事態宣言とワクチン接種効果推定 wp-2021-n13
    2021.6.8 倉橋節也
    1. 沖縄県の3月から12月までの感染者数と重症者数をシナリオ分析
    3月1日から6月4日までの県内の新規陽性者と県外からの感染者流入推定値を用いたSEIRモデル(感染数理モデル+AI最適化)を構築し、 0.6名/日の精度で15歳〜39歳、40歳〜59歳、 65歳以上の3つの年代内および年代間での感染推定モデルを構築した。ワクチン接種0.8%/dayの速度で,新規陽性者数のサーキットブレーカー効果を推定した.CB効果の減少率は,2020年8月の緊急事態宣言発出時の効果と同等とした。2021年6月5日以降の実効再生産数の推移は同年4月15日以降、2021年8月以降は昨年と同等とするシナリオを設定した。

    2. 緊急事態宣言を解除した場合、7月以降に感染拡大が発生する可能性がある
    N501Y変異種(アルファ型)の感染力が強いことから、5月24日からの緊急事態宣言を6月20日で解除した場合、7月以降に再び感染が拡大し、最大で600人を超える新規感染者が発生する可能性がある。感染者数に対するワクチンの効果は限定的であり、若年層、成年層への早期のワクチン効果は見込めないことが要因と考えられる。一方で重症患者数のピークは大幅に減少し、20名程度に抑制できる効果は見られた。新規感染者数に対する効果的な抑制戦略は、強力なサーキットブレーカーであり、発動を新規感染者200人とした場合、感染者数ピークが約300人、同150人で約240人、同100人で約140人まで抑制できる効果が見られた。

    3. 一般向けの接種は年代別に中年層を優先する必要性は低い
    高齢者向けのワクチン接種と並行して中年層(40歳〜59歳)へ優先接種するよりも、青年層および中年層への同時並行接種、あるいは青年層優先接種の方が効果が高く、9月以降の新規陽性者数を2割以上抑えられる可能性が示唆された。一方で、サーキットブレーカーが効果的に適用された場合は、ワクチン接種の年代別接種効果はほとんど差異がない。

  • 第3次緊急事態宣言およびワクチン接種の効果推定 wp-2021-n12
    2021.5.24 倉橋節也
    1. N501Y変異種の拡大予測と2021年4月25日からの緊急事態宣言の効果を推定
    東京都での従来型,N501Y変異種(東京都の変異種分析結果から,拡大速度を推定)において,ワクチン接種0.5%〜1.1%/dayで,新規陽性者数1000人サーキットブレーカーを発出する効果を推定した.CB強度は,第4波を実測値から2020年4月の緊急事態宣言と2021年1月の緊急事態宣言の中間と推定し,第5波以降は,第一次の緊急事態宣言と同等とした.また,CBを解除する感染者数について,100人の場合を推定した.

    2. 緊急事態宣言解除の延長は、重症患者数抑制に一定程度の効果がある
    解除日を6/1とした場合と6/22にした場合を比較したところ、その後のリバウンドを遅らせる効果はあるが、次に来る新規感染者数はそれほど変わらない結果となった.若年層、成年層への早期のワクチン効果は見込めないことが要因と考えられる.一方で、重症患者数のピークを110人から80人程度に抑制する効果は見られた.新規感染者数に対する効果的な抑制戦略は、第1次緊急事態宣言並の強力なサーキットブレーカーであり、発動を500人〜800人、解除を100人〜200人、期間は40日〜60日間程度で効果が見られた.

    3. 8月以降の重症患者数はワクチン効果が期待できる
    高齢者向けのワクチン接種によって、8月以降の重症患者数は大幅に抑えられる可能性が高い.また、成年・若年層へのワクチン効果は、0.8%/日であっても11月以降になる可能性があり、年内の感染予防策は引き続き必要となる.なお、本シミュレーションでは、変異ウイルスはN501Yのみを対象としているため、重症化率が高い変異ウイルスや免疫回避効果などについては、今後注視する必要がある.
    2021/5/26 6/22解除追加改訂
  • 第3次緊急事態宣言の効果推定 wp-2021-n11
    2021.5.2 倉橋節也
    1. N501Y変異種の拡大予測と2021年4月25日からの緊急事態宣言の効果を推定
    東京都での従来型,N501Y変異種において,ワクチン接種0.5%/dayで,緊急事態宣言の効果と新規陽性者数1000人サーキットブレーカーを発出する効果を推定した.
    2. 緊急事態宣言解除は5/26以降を推奨
    解除日を5/12とした場合,解除後すぐに感染者数が急増し,最大で1500人の新規感染者,120人の重症患者数(人工呼吸器を必要とする重症患者病床数)となる可能性がある. 5/26を解除日とした場合でもすぐに感染者は増加し始めるため,2週間〜1ヶ月以内に新たな行動制限が必要となるが,次のピークを20日間程度遅らせることができる.その時の行動制限を700人開始100人解除とすれば,最大1000人程度のピーク2回に抑えることができる.
    3. 重症患者数の減少のために制限解除時の人数が重要
    解除日の新規感染者数を100人程度にすることで,その後のピークを20日間程度遅延させることができ、ワクチン接種が始まっている高齢者の重症化を防ぐ効果が高くなる.
    2021/5/5 N501Y拡散モデル改訂
  • ワクチン接種速度・サーキットブレー カー強度の効果比較 wp-2021-n10_r1
    2021.4.20 倉橋節也
    1. サーキットブレーカーの強度とワクチン接種効果を推定
    東京都での従来型,N501Y変異種,N501Y+E484K変異種(4/2時点で10名の変異種ウイルス感染者がいた場 合)において,ワクチン接種0.5%/dayで,新規陽性者数1000人と500人でサーキットブレーカーを発出する 効果を推定した.CB強度は,2020年4月の緊急事態宣言,2021年1月の緊急事態宣言のそれぞれで実施した. また,CBを解除する感染者数について,CB開始と同等,500人,100人の場合を推定した.
    2. サーキットブレーカー解除時の感染者数が重要
    N501Y変異ウイルスで,新規感染者数が1000人でサーキットブレーカーを開始し500人で解除した場合,最 大2000人規模の波が11月までに3回発生するが,新規感染者数が500人でサーキットブレーカーを開始し100 人で解除した場合,最大800人規模の波が10月までに2回の発生に抑えられる可能性がある. N501Y+E484K変異ウイルスでも,ほぼ同様の結果となった.
    2021/4/21 凡例追加
  • 年代別ワクチン優先年齢接種の効果推定 wp-2021-n09
    2021.4.20 倉橋節也
    ワクチン接種における年代別並行接種戦略( 60歳以上:59歳以下の同時 接種比率)の効果推定を行った.
    ・従来型ウイルス感染では, 10:0の場合に重症者数の最大値が最小となり, 0:10の 場合に新規陽性者数の最大値は最小となった.
    ・英国型変異ウイルス感染では,ワクチン接種率0.5%で6:4,0.75%で8:2,1.0%で 10:0の場合に重症者数の最大値は最小となり,0:10の場合に新規陽性者数の最大 値は最小となった.
    ・感染拡大に対してワクチン接種速度が相対的に遅い英国型変異ウイルスの 場合, 60歳以上:59歳以下*の同時接種比率を8:2〜6:4にすることも 選択肢となりえる.
    *介護/高齢者/福祉施設職員,高齢者同居家族,クラスター発生施設/地域,保育園/幼稚園/学校教職員,その他 高リスク者などを優先接種対象に追加

2020年度

  • COVID-19変異種感染者予測(東京都) ワクチン接種速度・サーキットブレーカー・優先年齢グループの効果比較 wp-2021-n08_r1
    2021.3.30 倉橋節也
    東京都での英国変異種ウイルスの感染者予測を行った結果,3/21時点で10名の英国型変異種ウイルス感染者がいた場合,0.5%/日のワクチン接種だけでは第5波の感染拡大が防げないが,サーキットブレーカーの機動的発動と,59歳以下を少なくとも10%以上優先接種グループに追加できれば,感染拡大防止に有効であることが示された.以下の組み合わせ対策が推奨される.
    ・ワクチン0.5%/日・サーキットブレーカー発動1000人・59歳以下の10%を優先接種追加*
    ・ワクチン0.5%/日・サーキットブレーカー発動500人
    ・ワクチン1.0%/日・サーキットブレーカー発動1000人
    *医療従事者(人口の4%相当)に加えて,介護/高齢者/障害者施設従事者,高齢者同居家族,クラスター発生施設,その他高リスク者/同居者などを優先接種対象に追加(人口の6%相当).
    2021/4/21 凡例修正
  • ワクチン接種・サーキットブレーカーの効果推定 東京都の感染者予測 wp-2021-n07
    2021.3.25 倉橋節也
    2021年3月21日緊急事態宣言解除後の感染予測とワクチン接種の効果を予測した.予測期間は2021年3月から11月とし,人口流動を考慮したSEIRモデルとAI技術(進化的最適化)を用いて,感染モデル推定の最適化を行うことで,2.6名/日の精度で,60歳以上と59歳以下の2つの年代および年代間での感染者数推定が可能となった.このモデルで将来予測を行った結果,昨年6月以降の状況が再現した場合に,5月の第4波の感染拡大が発生することが示された.また,ワクチン接種の効果は7月以降に現れるため,第4波に対して過度にワクチン接種効果に期待することは危険であることが判明した.新たに重症者数推定モデル,サーキットブレーカー効果の推定を追加した..
  • 変異種の感染予測とワクチン接種の効果推定 東京都の感染者予測 wp-2021-n06_r2b
    2021.3.8 倉橋節也, r1 2021.3.11, r2 2021.3.16, r2b 2021.3.20
    新型コロナウイルス感染症において,緊急事態宣言解除後の感染予測と,ワクチン接種の効果を予測した.予測期間は2021年3月から11月とし,人口流動を考慮したSEIRモデルとAI技術(進化的最適化)を用いて感染モデル推定の最適化を行うことで,2.6名/日の精度で60歳以上と59歳以下の2つの年代および年代間での感染推定が可能となった.人口流動に伴う感染者流入リスクを一部考慮することで,市中感染者の滞留と加速度的な感染拡大現象が一定程度表現できるようになった.このモデルにおいて,昨年6月1日以降と同じ都民の行動変容(≒実効再生産数)があったとしてシミュレーションを実施した.
    1) 英国型変異種の感染予測とワクチン接種効果を推定 東京都での英国変異種ウイルスの感染者予測を行った結果,3/21時点で10名の英国型変異種ウイルス感染者がいた場合,6/1以降に0.3%/日のワクチン接種では,第5波の感染拡大が防げないこと,0.5%/日であれば,感染拡大を防ぐことができることが示された.
    2) 南ア・ブラジル型変異種の感染予測とワクチン接種効果を推定 東京都でのブラジル型変異種ウイルスの感染者予測を行った結果,3/21時点で10名のブラジル型変異種ウイルス感染者がいた場合,6/1以降に0.3%/日のワクチン接種では,第5波の感染拡大が防げないこと,0.5%/日であっても,10000人を超える感染拡大が発生することが示された.
    3) 年代グループ間の感染率推定 本モデルを用いて、時系列の陽性確認者数から60歳以上と59歳以下の年代グループ間の感染率を推定した結果、 60歳以上グループが59歳以下グループから感染する割合は0.504、59歳以下グループが60歳グループから感染する割合は0.100となり、約5倍の差が生じていることが判明した。
    4) 追跡ワクチン接種の効果推定 現状の集団ワクチン接種に対して、 COVIT-19に対する追跡ワクチン接種の効果を個体ベースモデルでシミュレーション分析した。その結果、追跡ワクチン接種の効果は、集団ワクチン接種に比べて効果は限定的ではあるが、感染発生後の対策において、ワクチン接種数が大幅に少なくて済むことが示された。
    2021.3.11 r1: ブラジル型はファイザー社製ワクチンの効果が低下しない可能性が示されており、その条件を追記
    2021/3/16 r2a: 3/14データに更新,年代間の感染率推定,ワクチン接種時期の変更,追跡ワクチン接種の効果を追記
    2021/3/20 r2b: 変異型予測モデルの設定として、5月末までの抑制条件を追記
  • ワクチン接種・サーキットブレーカーの効果推定 東京都の感染者予測 wp-2021-n05_r2
    2021.3.4 倉橋節也, r2 2021.3.21
    2021年3月21日に予想される緊急事態宣言解除後の感染予測とワクチン接種の効果を予測した.予測期間は2021年3月から11月とし,人口流動を考慮したSEIRモデルとAI技術(進化的最適化)を用いて,感染モデル推定の最適化を行うことで,2.6名/日の精度で,60歳以上と59歳以下の2つの年代および年代間での感染者数推定が可能となった.このモデルで将来予測を行った結果,昨年6月以降の状況が再現した場合に,5月の第4波の感染拡大が発生すること,宣言解除時の感染者数を100名以下とし,外出会食の4人制限をすることで,感染拡大を大幅に緩和できることが示された.また,ワクチン接種の効果は7月以降に現れるため,第4波に対して過度にワクチン接種効果に期待することは危険であることが判明した.人口流動に伴う感染者流入リスクを一部考慮することで,市中感染者の滞留と加速度的な感染拡大現象が一定程度表現できるようになった.
    r1:流動人口の修正に伴いモデル改訂
    2021/3/21 r2: ワクチン接種実績および予定を3/20時点の厚労省情報に基づいて変更
  • 緊急事態宣言解除後のワクチン接種モデル wp-2021-n04_r1
    2021.2.26 倉橋節也,
    新型コロナウイルス感染症において,緊急事態宣言解除後の感染予測と,ワクチン接種の効果を予測した.予測期間は2021年3月から11月とし,SEIRモデルとAI技術(進化的最適化計算)を用いて,感染モデル推定の最適化を行うことで,2.6名/日の精度で,高齢者と若年〜成人の2つの年代での感染者推定が可能となった.このモデルで将来予測を行った結果,昨年6月以降の状況が再現した場合に,5月の第4波の感染拡大が発生すること,宣言解除時の感染者数を100名以下とし,外出会食の4人制限をすることで,感染拡大を大幅に緩和できることが示された.また,ワクチン接種の効果は,7月以降に現れるため,過度にワクチン接種効果に期待することは危険であることが判明した.(r1: 誤記修正)
  • 外出・会食モデル wp-2021-n03
    2021.2.16 倉橋節也,
    新型コロナウイルス感染症の感染予測に関して,週末などの外出および会食によって感染が発生するリスクを評価した. 首都圏近郊の町を対象に,若年者 220人・成年者 768人・高齢者 360人が住む1348人の町をモデル化した.この町には単身・夫婦・夫婦子供・母子/父子家庭があり, ある日1名の感染者が発生したとした.住民は週2日,自分の n人の友 達からランダムに選んだm人と外出し会食する中での感染を分析した,ただし,すべてのイベントは中止、職場学校の接触は通常の1/5 に制限されているとした.結果として,いつもの4人での外出に限定し,正面での会話・会食を避けることでリスクは半減することが示された.
  • 地域への感染者流入リスクと新型コロナウイルス感染の影響評価(Preprint) wp-2021-n02_r2
    2021.1.25 倉橋節也, 矢嶋耕平, 永井秀幸(筑波大学), 横幕春樹, 雪島正敏, 豊岡祥(NTTデータ数理システム)
    本論文では,新型コロナウイルス感染症の感染予測に関して,モバイル統計情報と機械学習を用いた,流入リスクを考慮した新たなSEIRモデルを提案する.本モデルによって,地域における精度の高い感染者予測が可能となり,札幌市と東京都での推定を行った結果では,1.2 人/日という高い予測精度を示すことができた.こ のモデルを用いて,札幌市への流入リスクの影響を分析し,夏以降の流入者数を制限できていれば,11 月の感染 拡大は半分以下に抑えることができた可能性があることを示した.また,首都圏の緊急事態宣言で呼び掛けられている感染予防策について検証をおこなった.そして,東京近郊市街地を対象とした個体ベースモデルから得た感染予防策の実効再生産数減少率を用い,SEIR モデルでの 1ヶ月後予測を行うことで,飲食店の時短強化よりも飛沫防止策の徹底やテレワーク,イベント制限などとの総合的な対策が大きな効果を示すことを明らかにした.
  • 内閣官房AIシミュレーションPJT報告会:地域における感染予防策 wp-2021-n01
    2021.1.25 倉橋節也, 永井秀幸, 矢嶋耕平, NTTデータ数理システム
    内閣官房AI・シミュレーションプロジェクト報告会(2021.1.25)で報告したスライドです.これまでの報告内容の総集編となっています.
  • コロナウイルス感染拡大リスクを軽減させるための観光地:妙高モデル slide-2020-n08
    観光地:妙高モデル(まとめ) slide-2020-n08b
    2020.11.20 倉橋節也, 永井秀幸,
    観光客観光地の感染予防策効果を比較するために,妙高市を対象として感染モデルを構築した.妙高市の人口構成等は,国勢調査などの統計表から機械学習で真の人口構成を推定した「合成人工データ」(関西大学 村田研究室)を使用し,世帯構成,年齢構成,就労状況,通学状況,産業構成などを詳細にモデル化した.住民の約1割は観光などのサービス業に従事しており,ホテルや,ツーリストスポット,ショッピングモール,ナイトスポットなどで働いてる.このモデルでは,首都圏などから定期的に流入する感染した観光客による,地元住民の感染プロセスを模擬した.実験から,観光業に従事する感染リスクの高いスタッフ向けの優先PCR試験や接触確認アプリ,また高齢者の地域活動の感染予防が有効であることを示した.
  • 地域経済と両立する観光地でのCOVID-19感染予防策の検討 wp-2020-n07
    2020.11.16 倉橋節也, 永井秀幸,
    2019年〜2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染プロセスを個体ベースのモデルで実装し,観光地に対する複数の感染防止対策の有効性を比較する.モデルでは,合成人口データを利用し,実際の長野県の町の1/5モデルを構築した.ここでは,3200人の仮想住民エージェントが9つの町に住んでおり,オフィスや学校に通勤したり,店舗を訪問したりしている.また,住民の約1割は観光業に従事しており,ホテルや,ツーリストスポット,ショッピングモール,ナイトスポットなどで働いしてる.このモデルでは,首都圏などから定期的に流入する感染した観光客による,地元住民の感染プロセスを模擬する.実験により,個々の感染防止対策を単独または部分的に組み合わせても,大きな効果が出ないこと、一方,観光客向けの優先PCR試験や積極的なサーベイランス(追跡調査や接触確認アプリ)が有効であることを分析した.
  • 観光地における新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防策 slide-2020-n06 r2
    2020.7.25(初稿 2020.6.5)倉橋節也,永井秀幸,
    本概要報告では,新型コロナウイルスの感染プロセスをエージェントベースモデルに実装し,観光地における感染予防策の比較を行った.人口合成データを利用して,実在する観光地の1/5モデルを作成し,観光関連スタッフに対するウイルス検査や濃厚接触者の追跡調査による効果について検証を行った.その結果,従業員向けの定期的ウイルス検査と接触確認アプリの有効性が明らかとなった.
  • 新型コロナウイルス(COVID-19)における感染予防策の推定
    2020.5.1 倉橋節也, 人工知能学会論文誌, 35 巻 3 号 p. D-K28_1-8,
    本報告では,新型コロナウイルスの感染プロセスをエージェントベースモデルに実装し,一般の市民や企業,学校などにおいて対策が可能な予防策の有効性についての比較検討を行った.モデルでは,1120人の仮想的な住民エージェントが通勤通学および店舗等への訪問を行い,新型コロナウイルスの感染リスクに晒されている状態を模擬した.実験の結果からは,個々の感染予防策(時差通勤,テレワーク,学級閉鎖,接触率低減,発熱後自宅待機)を単独あるいは部分的に複合して実施しても,大きな効果は得ることができないことが判明した.一方で,複合的な対策を実施した場合は, 死亡者数や1日当たりの最大の重度入院者数を大きく減少できることが確認された.重度の入院者数を減少させることは,医療崩壊を回避し,死亡者数を減少させることにつながると考えられる.
  • Estimating effectiveness of preventing measures for COVID-19 wp-2020-n05
    2020.4.21 Setsuya Kurahashi
    This paper implements the infection process of 2019 Novel Coronavirus Diseases (COVID-19) in an agent-based model and compares the effectiveness of multiple infection prevention measures. In the model, 1,120 virtual residents agents live in two towns where they commute to office or school and visiting stores. The model simulates an infection process in which they were exposed to the risk of transmission of the novel coronavirus. The results of the experiments showed that individual infection prevention measures (commuting, teleworking, class closing, contact rate reduction, staying at home after fever) alone or partially combined them do not produce significant effects. On the other hand, if comprehensive measures were taken, it was confirmed that the number of deaths, the infection rate, and the number of severe hospitalised patients per day were decreased significantly at the median and maximum respectively.
  • 新型コロナウイルス (COVID-19)における都市封鎖の効果推定 wp-2020-n04 r1
    2020.4.10 (初稿 2020.4.4) 倉橋節也
    新型コロナウイルスに対する複数の都市封鎖策シナリオを策定してそれらの効果の比較を行った.実験では12種類の都市封鎖シナリオ比較実験行い,その実験結果から,封鎖策の強弱と開始時期によって,感染拡大の抑制効果が大きく異なり,感染拡大が予想される場合に,できるだけ早期に強力な都市封鎖策を実施することが,結果的に短期間の封鎖で感染拡大を抑制できることを示した.

2019年度

  • 新型コロナウイルスにおけるウイルス検査率と検査待機日数の影響推定 wp-2020-n03 r2
    2020.3.26 (初稿 2020.3.23) 倉橋節也
    新型コロナウイルスのPCR検査法に代表されるウイルス検査の検査率と検査待機日数の影響についての比較検討を行った.20種類の検査率比較実験と36種類の検査待機日数比較実験を行った結果から,軽症者の受診率の増加とウイルス検査率の増加および検査待機時間の短縮は,軽度入院者数の増加につながる一方,感染拡大を防ぎ重篤患者数を減少させる効果があることが推定された.これらから,無症状の場合でも,広くPCR検査を実施する効果が感染予防に有効であることが示唆された.
  • 新型コロナウイルスへの感染予防策とイベント開催の影響比較 wp-2020-n02 r2
    2020.3.26 (初稿 2020.3.23) 倉橋節也, 永井秀幸
    新型コロナウイルスの感染プロセスをエージェントベースモデルに実装し,一般の市民や企業,学校などにおいて対策が可能な予防策の有効性についての比較検討を行った.モデルでは,1120人の仮想的な住民エージェントが通勤通学および店舗等への訪問を行い,新型コロナウイルスの感染リスクに晒されている状態を模擬した.実験の結果からは,個々の感染予防策(時差通勤,テレワーク,学級閉鎖,接触率低減,発熱後自宅待機)を単独あるいは部分的に複合して実施しても,大きな効果は得ることができないことが判明した.
  • 新型コロナウイルスへの感染予防策の比較 wp-2020-n01 r1
    2020.3.6 (初稿 2020.2.25) 倉橋節也
    新型コロナウイルスの予防策の有効性について,Agent-based model(Individual-based model)を用いて比較検討を行った.実験の結果から,網羅的な対策を実施した場合は, 死亡者数が中央値において最大で 25.0%,感染属度が中央値において最大で 58.4%,1 日当たりの最大の入院者数が最大で 61.3%減少することが確認された.

2015 - 2020 : 感染症関連論文一覧 (査読付きジャーナル論文,査読付き国際会議論文,学会発表)