木曜セミナー科学特別セミナー 日程表

筑波大学 科学分野

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木曜定時のセミナー(15:1518:00

赤:木曜以外授業期間外

 

2023年度

 

        111日(木)16:4518:00 計算科学研究センター国際ワークショップ室

講演者:斉藤和雄(気象業務支援センター/東京大学大気海洋研究所)

タイトル:気象研究所/気象庁での数値モデル開発

要旨:講演者が気象研究所/気象庁で携わった気象庁非静力学モデル(JMA-NHM)を中心とする数値モデル開発について話題提供します。

 

        1019日(木)13:4518:00 総合研究棟A110

講演者:倉持将也(地球科学学位P

タイトル:温位座標に基づく中高緯度直接循環の3次元構造の解明と気候変動解析への適用 Understanding the Three-Dimensional Structure of the Extratropical Direct Circulation on Isentropic Coordinates and Its Application to Diagnoses of Climate Variations

講演者:佐藤拓人(計算科学研究センター)

タイトル:都市内の境界層乱流に関する数値モデル研究 - 流入乱れ生成法と乱流長さスケールの改良 - Numerical Modelling Study on Boundary-Layer Turbulence in Urban Areas - Improvement of inflow turbulence generation methods and turbulent length scale

講演者:浅野裕樹(地球環境科学専攻)

タイトル:複雑な地形が山越え気流に及ぼす力学的効果に関する研究 The dynamical effect of complex terrain on airflows over the terrain

講演者:茅場聡子(地球科学学位P

タイトル:将来的なエネルギーと自動車の変遷が呼吸器系酸化ストレスを誘導する大気汚染物質濃度に及ぼす影響 Potential Impacts of Future Energy and Vehicle Transition on Air Pollutants Concentrations Inducing Respiratory Oxidative Stress

 

2022年度

        314日(火)10:3012:00 理科系B107

講演者:村上裕之(プリンストン大学)

タイトル:GFDLの気候モデルを用いた人為起源の気候変動が熱帯低気圧と極端降水に及ぼす影響に関する最新研究

要旨:過去40年で温室効果ガスの排出が加速しており自然災害の発生頻度が世界中で増加している。人為起源の気候変動が熱帯低気圧やそれに伴う極端降水の変化に及ぼす影響が示唆されている。しかし過去40年間という短い期間で観測の不確実性、自然変動の影響、気候モデルの低解像度を考慮すると、人為起源の地球温暖化がそれらの極端現象に影響を及ぼしているのか観測データから検出するのは困難である。よって高解像度の気候モデルを用いてラージアンサンブル実験を用いるのが有用である。本講演ではGFDL気候モデルによるラージアンサンブル実験を用いた2つの研究結果を紹介する。前半では過去40年間における人為起源の気候変動が全球熱帯低気圧の存在頻度分布に影響に関する研究を紹介する。後半では深層学習を用いて人為起源の気候変動が日本の極端降水に及ぼす影響を調べたので紹介する。また、自分のキャリアパスを振り返り、民間企業と研究職との違い、どのような経緯で海外において研究職をすることとなったのか、海外生活でのメリット・デメリット、日本とアメリカの違いなどを共有する予定であり、学生にとって役立つ情報となれば幸いである。

 

        221日(火)16:4518:00 総合研究棟A211

講演者:山田広幸(琉球大学)

タイトル:台風の航空機観測

 

        1110日(木)15:1516:00 オンラインで実施

講演者:釜江陽一(環境科学学位P

タイトル:オホーツク海海氷面積の急変動をもたらす大気循環場の特徴

要旨:オホーツク海では冬季に広い範囲で海氷に覆われる。オホーツク海海氷密接度分布の変動について、従来はデータの時間解像度の問題から、月ごとの特徴や季節平均分布の年々変動に関する調査が行われてきた。本研究では、高解像度大気・海洋再解析データをもとに、日々の変動に注目し、海氷密接度の急激な変動をもたらす大気循環場の特徴を調査した。1993/94冬季から2018/19冬季までを対象に、海氷密接度の減少が4日以上続く事例21事例を抽出すると、合成解析により北日本の北東側を中心とした地上の低気圧、その北側の高気圧と、オホーツク海に吹き込む東風偏差が得られた。海氷密接度の減少が始まる4日前にアラスカに存在していた地上の高気圧偏差はアリューシャン列島上に移動し、発達しながら北海道の東海上を通過する低気圧はオホーツク海海上に東風偏差をもたらす。海氷減少の7日後には、アリューシャン低気圧の指標である北太平洋指数が負となる傾向も確認された。

 

2021年度

        1122日(月)15:0016:00 オンラインで実施

講演者: NGUYEN Thanh Hung(持続環境学専攻)

タイトル:An Assessment of the Long-term Impact of Socio-economic Development on the Air Quality Using Numerical Models in Hanoi, Vietnam(長期的な社会経済発展がベトナム・ハノイ市の大気質に対する与える影響の数値モデルを用いた評価)

 

        98日(水)15:1516:30 オンラインで実施

講演者:高谷康太郎(京都産業大学)

タイトル:テレコネクションの力学

要旨:大気循環の長周期変動には、ある特定の空間パターンが複数存在することが知られており、これらのパターンを「テレコネクション(遠隔影響・遠隔結合とも)」と呼ぶ。良く知られているテレコネクションとしては、北大西洋振動(NAO)、太平洋・北アメリカ(PNA)パターン、ユーラシア(EU)パターン、西太平洋(WP)パターンなどを挙げることが出来る。テレコネクションは気候変動に大きな役割を果たしており、例えば極東の冬季気候の変動にはEUパターンやWPパターンなどが大きな影響を与えている。テレコネクションの存在は、空間的に遠く離れた領域の大気循環変動に相関があることを示唆しており、従って、半球規模の大気循環変動を理解するには、テレコネクションの解明が必須である。

このようにテレコネクションは、長周期大気循環変動の重要な要素の一つであるのだが、それに関する研究は、それが気候に与える影響や、またはテレコネクションパターンの統計的な抽出などに関するものが多く、テレコネクション自体の力学的メカニズムの議論は十分に尽くされたとは言いがたい。そこで、本研究では、新しい解析手法を用いてテレコネクションの力学の解明に挑む。まず、「位相依存性のないエネルギー変換」の導出の概要、およびその有用性について解説する。その後、この「位相依存性のないエネルギー変換」を解析に適用し、テレコネクションの形成と維持の力学的メカニズムについて議論を行う。

 

        527日(木)16:4518:00    オンラインで実施

講演者:加藤輝之(気象研究所)

タイトル:「日本で集中豪雨をもたらす線状降水帯と名付けられた準停滞線状降水システム Quasi-stationary band-shaped precipitation systems,named senjo-kousuitai, causing localized heavy rainfall in Japan」 Kato, T., 2020: J. Meteor. Soc. Japan, 98, 485-509, https://doi.org/10.2151/jmsj.2020-029, 2020.

要旨:タイトルに示した論文(下記に日本語要旨を示す)の内容だけでなく、線状降水帯の名称およびJRA-55を用いた線状降水帯が発生しやすい大気条件の発生頻度推移についても話題提供する。

日本語要旨:

日本では3時間積算降水量200mmを超える集中豪雨がしばしば観測され、過酷な地滑りや洪水をもたらす。そのような事例は主に、日本語で「線状降水帯」と名付けられた準停滞線状降水システムによってもたらされる。線状降水帯は次々と発生する発達した対流セルが列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50300 km程度、幅2050 km程度の強い降水をともなう雨域として定義される。線状降水帯の形成過程としては主に、暖湿流がほぼ停滞している局地前線に流入することで、対流セルが前線上で同時に発生する破線型と、下層風の風上側に新しい対流セルが繰り返し発生し、既存のセルと線状に組織化するバックビルディング型の2つに分類される。

本研究では、線状の降水システムについての過去研究のレビューに加えて、線状降水帯の数値モデルによる再現性および線状降水帯の発生しやすい条件について調査した。2014820日の広島豪雨の事例では、対流セルの形成・発達過程をおおよそ再現できる少なくとも水平解像度2kmが再現には必要であったが、その内部構造を正確に再現するには水平解像度250500mが必要であった。2qのモデルは10時間前の初期値を用いることで広島の事例を量的に再現したが、予想された最大積算降水量は初期時刻が線状降水帯の発生時刻に近づくにつれてかなり減少した。この減少は過度の下層乾燥空気の流入が新たな積乱雲群が発生する領域を移動させたためであった。

線状降水帯を診断的に予測するために、線状降水帯の発生しやすい条件を過去の集中豪雨事例における大気環境場から統計的に構築した。500m高度データをベースに判断する下層水蒸気場を代表して、(1)大量の水蒸気フラックス量(> 150 g m-2 s-1) と自由対流高度までの距離が短いこと(< 1000 m)の2つの条件を選択した。ほかの4つとして、(3)中層(500hPa700hPa)の相対湿度が高い(> 60 %)、(4)ストームに相対的なヘリシティで判断する大きな鉛直シア(> 100 m2 s-2)、(5)総観スケール(700hPaで空間400 km平均)の上昇流場で判断する上昇流域と(6)700850hPaに度々みられる暖気移流を除外するための平衡高度が3000m以上の条件を選択した。

 

        513日(木)16:4518:00    オンラインで実施

講演者:加藤輝之(気象研究所)

タイトル:気象庁の業務紹介と大気大循環からメソ対流系との出会い

要旨:気象庁では昨今の顕著現象の激甚化に対処するため、昨年度10月から次長級ポストとして新たに気象防災監を置き、内部部局を改編した。新たに設置した情報基盤部では、情報通信業務だけでなく、数値予報や気象衛星に関わる業務を担い、大気海洋部では、観測・予報に関わる業務を集約し、気候情報や海洋情報についても発信する。

気象庁の業務は昭和27年に施行された気象業務法で規定されており、具体的には、気象、地象、地動及び水象の観測並びにその成果の収集及び発表、気象、地象及び水象の予報及び警報とそれら関する情報の収集及び発表、地球磁気及び地球電気の常時観測並びにその成果の収集及び発表、以上の事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表が任務であり、大気、海域、陸域を包括的に扱っており、国民の身近な業務を行っていることから責任感を持って遣り甲斐がある仕事内容である。講演では、室長として統括業務をしていた観測システムと2030年までの気象庁での課題について簡単に触れる。

講演者のことをメソ気象の専門家と捉えている方がほとんどだと思われるが、スタートは気象大学校時代に行った気象学に基づく理論的研究で、卒業後もしばらくはロスビー波伝播にともなう大気大循環研究を行っていた。この研究で博士論文を取得しようとして東京大学の当時新野宏助教授に相談に行ったところ、メソ気象で取得するように依頼され、「Numerical study of the formation and maintenance mechanisms of a rainband inducing a heavy rainfall」と題したタイトルで学位論文を1998年に提出した。さて、大気大循環からメソ気象の専門家になった経緯は多々あるが、1つは大学校卒業後、1年間気象観測船に乗って海上気象観測業務に従事したことである。この船は季節により天気予報に重要となるデータを取得するために日本周辺の海に出ていた。考えてみてください。そのような領域ではとても海が荒れる。すなわち、身を持ってメソ気象を感じ取ったことになった。それからしばらくして、気象研究所に異動になり、数多くの野外観測に関わるとともに、JMA-NHMと呼ばれる非静力学モデルの開発に従事し、多くの経験を積むことができた。それらの話の一部に加えて、2010年以降、気象庁内で取り組んできた予報官の技術向上に向けた挑戦について話題提供する。

 

        422日(木)16:4518:00     オンラインで実施

講演者:唐木達郎(地球科学学位P

タイトル:宗谷暖流の前線構造の形成過程について

要旨:前線構造は一般的に異なる水塊(あるいは気団)の境い目に生じる。ところが北海道オホーツク地方沖を流れる宗谷暖流の前線構造はそうではない。この不思議な前線構造の形成過程の描写を、大陸棚斜面に沿った季節水温躍層の沈み込みという観点で試みた。その結果、鉛直混合が宗谷暖流の前線形成過程の本質であること、そしてそのとき卓越するのはシアー乱流であり、(これまで重要と考えられてきた)自然対流はほぼ寄与しないことが分かった。このとき季節躍層はバネを引っ張るのと同じ要領で斜面下方へ沈み込む。こうして沿岸域に蓄えられた位置エネルギーは海洋のどこで解放されるか、これについても議論したい。

 

        48日(木)16:4518:00    全体ガイダンス(内部向け:オンラインで実施)

 

2020年度

        219日(金)16:4518:00     計算科学研究センター国際WS

講演者:前田修平(高層気象台) 

タイトル:高層気象台の100

 

        18 (Thu) Feb 16:4518:00      Online (Zoom)

Speaker: Sam Sherriff-Tadano (University of Leeds)

Title: Millennial time-scale climate and AMOC variability obtained from a Japanese climate model and its driving mechanism

Abstract: Reconstructions from ice cores and ocean sediment cores reveal that the climate and Atlantic Meridional Overturning Circulation (AMOC) varied frequently on millennial time-scale over the glacial period. This climate variability, known as Dansgaard-Oescger cycles, is characterized by an abrupt warming of Greenland and a gradual cooling over Antarctic. Despite its importance on understandings of the evolution of human beings and geochemical cycles, the driving mechanisms of DO cycles remain elusive. In this talk, we will first review the driving mechanism of this climate variability, which was proposed previously. Furthermore, from an analysis of intrinsic oscillation of AMOC obtained from a Japanese comprehensive climate model, we will discuss a new driving mechanism of the climate variability.

 

        929日(火)16:4518:00     オンラインで実施

講演者:杉本周作(東北大学) 

タイトル:夏季気候に及ぼす黒潮大蛇行の影響

要旨:黒潮は20178月に大蛇行流路に遷移し、3年が経過した今も継続中です。大蛇行となったのは200405年以来12年ぶり、大蛇行が3年以上継続したのは197580年以来、実に40年ぶりです。

この間、高解像度データが開発され、大気モデルを駆動する計算機環境が劇的に向上しました。そこで、本セミナーでは、最新のデータをもとに解明された大蛇行に伴う本州南方の海面水温分布に関する新しい描像を紹介し、この大蛇行に伴う水温変化が太平洋沿岸都市、とくに関東地方の気候に及ぼす影響についてお話します。

 

        730日(木)16:4517:30     オンラインで実施

講演者:釜江陽一(環境科学学位P

タイトル:令和27月豪雨時の水蒸気輸送に対する遠隔影響

要旨:20206月から7月にかけて、中国南東部から日本にかけて停滞し続けたメイユ・梅雨前線の影響により、各地で豪雨に見舞われた。長江や球磨川で起きた洪水により、それぞれ140名、60名を超える人命が失われた。本州の広い範囲では728日現在でも梅雨明けが宣言されておらず、記録的な大雨と寡照の影響で農作物の価格が高騰するなど、私達の生活に大きな影響を与えている。

この令和27月豪雨とそれに関連した異常天候の要因の一つとして、熱帯の海面水温の偏差パターンによって持続した、大量の水蒸気輸送を挙げることができる。全球再解析データを用いた解析や、過去の統計をもとに、熱帯を発端とする遠隔影響について紹介する。

 

        79日(木)16:4518:00     オンラインで実施

講演者:石井正好 (地球科学学位P/気象研究所)

タイトル:地球環境監視と予測のための地球システムモデルの開発と応用

要旨:英国のリチャードソンが数値シミュレーションによる天気予報を試みたのが1920年頃になります。この計算は手計算で行われ結果は失敗となりましたが、大規模な計算が可能であるなら、実際の大気変動と同期した計算が行えると考えました。これは「リチャードソンの夢」と参照される、数値予報の原型と位置付ける小話として有名ですが、それから100年が経過して、大気や海洋のモデルが実用されていることはもとよりそれらの需要は益々高くなってきました。良いモデルをどのように開発していくかについての論点はさまざまありますが、モデル出力データの利活用や官学連携をキーワードにした地球システムモデル開発について話題提供します。学生のみなさんには、研究や卒業後の社会活動において、ツールとしてモデルにどのように関わればよいのかについてのヒントを提供したいと考えてます。

 

        64日(木)16:4518:00     オンラインで実施

講演者:梶野瑞王 (地球科学学位P/気象研究所)

タイトル:エアロゾル粒径分布の重要性:直径0.1, 1, 10 μmはどれだけ違うのか

要旨:エアロゾルは直径1 nmから10 μmまで4桁、質量にして12桁の広がりを持つ。質量濃度の観点からは、10 nmオーダーまでの粒子は重要ではないため、0.1 μmオーダーより大きい粒子の存在が重要となってくる。しかし、一言で0.1, 1, 10 μmと言っても、直感的に違いが分かりにくいかもしれない。本講演では、エアロゾルの環境動態、という面において、これら粒径の違いがどれほど大きなインパクトを持つのか、という点について、エアロゾル動力学、福島原発事故由来の放射性粒子、ヒト気道沈着の3つの面から簡単に整理したい。

 

        430日(木)17:0018:00    オンラインで実施

講演者:中村祐輔 (アイソトープ環境動態研究センター)

タイトル:中小規模都市における都市気候と観測的研究

要旨:国連の人口統計によれば、1950年に30%程度だった都市圏人口は、2050年には70%程度にまで達すると予測されています。これにより都市では緑地の減少、建物の増加、人間活動の活発化などが発生し、それに起因して都市特有の大気状態である「都市気候」が形成され大きな社会問題となっています。そこで本セミナーでは、私がこれまで取り組んできた、中小規模都市におけるヒートアイランド現象や都市境界層の詳細構造に関する研究成果を紹介します。また、その他にもこれまで参加・協力してきた観測的研究についても紹介する予定です。

 

        430日(木)16:3017:00    全体ガイダンス(内部向け:オンラインで実施)

 

 

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問い合わせ先:

世話人:釜江陽一(生命環境系 環境科学学位プログラム)

E-mail: kamae.yoichi.fw (at) u.tsukuba.ac.jp

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