研究内容

環境ストレス下における植物-内生微生物間相互作用の生態化学的解明

 植物内部に生息する内生微生物の中には、植物のストレス耐性を増強させる種が存在する。 本研究室では、重金属ストレス環境における植物と内生微生物の相互関係の解明を、野外観察と化学分析、組織解剖学的解析により試みている。 内生微生物との相互作用を介して植物の適応能力を高めることで、環境ストレス耐性植物の利用に向けた基礎的知見の獲得を目指す。

重金属環境に自生する植物における内生微生物の機能

 鉱山跡地や早池峰山には重金属に対して耐性があると考えられる自生種が生息する。 自生植物の耐性や重金属蓄積メカニズムに関与する内生微生物の機能解明を行っている。 本研究室で明らかになっている内生微生物の機能は以下のようなものがある。

1. 植物の重金属解毒物質の産生誘導
2. 植物における重金属過剰吸収抑制
3. 重金属解毒物質の産生
4. 植物ホルモン産生
5. 無機栄養元素の吸収促進

 また、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故の結果、調査地土壌において放射性セシウムが確認された。 そのため、植物体内での放射性セシウム蓄積についても解析を行っている。


学生さんへ一言

 自然界における植物や微生物の機能は、人間の想像を遥かに超えており、いつも驚かされます。 野外調査、内生微生物の分離、二次代謝産物や無機元素の分析には、多くの忍耐力を必要としますが、未知の研究を一緒に切り拓くことができればと思います。