海洋では、物質循環の主役は微生物です。植物プランクトンによる一次生産物が生態系を支え、動物プランクトンや細菌などが有機物の分解・変換・輸送を担っています。さらに彼らの営みは、揮発性有機化合物(VOC)を介して、海洋内部だけでなく大気や気候にも影響を及ぼしています。有機物の「質(分子レベルの違い)」と「量」に着目し、炭素循環の実態とその環境応答を明らかにすることで、地球環境変動の理解に貢献することを目指しています。
特に、炭素循環の定量評価と、VOCを介した海洋―大気相互作用に焦点を当てて研究を進めています。
- 海洋における炭素隔離機構の解明(ブルーカーボン)
植物プランクトンが固定した炭素が、溶存有機物(DOM)としてどのように変換・蓄積されるかを定量的に評価し、海洋が大気中CO₂を長期的に隔離する仕組みを明らかにします。
- 海の変化は大気をどう変えるのか?VOCがつなぐ海と気候
海洋酸性化によって、微生物や海藻が生成・分解する揮発性有機化合物(DMSやハロカーボンなど)の量や組成がどのように変化するかを解明し、気候システムへの影響を評価します。
- 海洋プラスチックが生み出す新たな微生物生態系
海洋に流入しているプラスチックの量は、年々増え続けています。ひとつの有機物源としての海洋プラスチックと、海洋プラスチック表面に形成される特異な微生物群集「Plastiphere」に着目し、有機物循環やVOC生成などの新たな物質循環プロセスへの影響を明らかにします。