海洋・湖沼など水圏の表層において植物プランクトンの光合成により生産された有機物の一部は植物プランクトン自身の呼吸により消費されるとともに、動物プランクトン・バクテリアなどの従属栄養生物群集により分解され無機化される。また残りの有機物は沈降粒子として表層から中・深層へと輸送される。有機物はこの様な生産・分解・輸送の諸過程を通して、水圏の物質循環の主役を演じている。 有機物は構成する元素、元素の結合状態、また分子量の違いなどにより、多様な構造を持っている。また、その構造の違いを反映して生体内での機能を異にしており、さらに従属栄養生物の分解作用に対する安定性にも大きな違いが認められる。このため、水圏の物質循環における有機物の動態を解明するためには、単に量的な評価だけではなく、質的な評価を合わせて研究を進める必要がある。 この様な考え方の基に、主として以下の研究を実施している。