英語教育評価論 |
|||||||||
2012年度(2012.4月〜)月曜4限 英語教育論の授業で発表されたレジュメを載せています。 |
|||||||||
1学期 ■5月7日 担当:S.H. ※授業で議論された内容は「? 」として追記しました。 1.1 第二言語とは?習得とは? n 第一言語
(first language: L1) O 人が生まれて最初に接する言語。母語(mother
tongue)。自然にマスターする。 n 第二言語
(second language: L2) O 第一言語の後に接する言語すべて。意識して学習する。 n 第二言語と外国語
(foreign language: FL) の使い分け O 外国語としての英語
(English as a foreign language: EFL) O 本書では「第二言語」はより広い意味でとらえられ「外国語」と区別していない。 n 習得
(acquisition) と学習 (learning)
の違い O 「習得」は特に意識しなくても自然に手に入れる無意識なプロセス。 O 「学習」は一生懸命意識的に勉強すること。 ※Krashen
(1982) はこの二つを全く異なるものであり、学習によって得られた言語知識は習得された知識に変化することはないとする非インターフェイスの立場をとった。 1. 2 近年のSLA研究興隆の理由 n これまでの外国語教育が十分な成果をあげていないから。英米文学や英語学を研究分野としていた教員が一般的であった。 n 心理言語学や認知言語学などの隣接科学の発達により、人の認知・学習システムについての研究が進展したから。 O これまで、第二言語習得や処理の研究は教育の方法論開発のためのハウツーにかかわる分野だとみなされてきた。 O しかしここ数年来、第二言語における心理言語学的な研究や認知科学的な研究(第一言語の研究では既に取り組まれていた言語処理システムに関するものなど)が飛躍的に進んできた。 1. 3 SLA研究の種類:仮説検証型と仮説探索型 n 仮説検証型の研究 O 一般に実証研究
(empirical studies) と称され、実験的研究 (experimental
study) ・量的研究 (quantitative
study) と呼ぶこともある。心理学において採用されている方法をほぼそのまま踏襲した、実験を用いた科学的な研究方法。 O 仮説検証型の研究のためのステップ @ 先行研究の調査 A 研究目的
(research objectives) の設定 B リサーチクエスチョン
(research questions) の設定 ?リサーチクエスチョンはYes / Noで答えられる疑問文でもWhat等疑問詞で始まるものでもよい。 C 研究仮説
(research hypotheses) の列挙 ?research hypothesisの違い (1) 形式の違いは、前者が疑問文の形で後者の疑問文ではない形。 (2) ある程度「こうなるのではないか」と結果が予測できるような時はresearch hypothesesで提示し、はっきりと仮説が立てられない場合はresearch questionsを立てる。従って、どちらか片方を提示すればよい(もちろん両方提示している研究もある)。 D どんな研究方法でA〜Bを立証するかの検討 E 実験の参加者
(participants) の検討 ?participantsは「参加者」もしくは「協力者」と記述し、「被験者」という表現は避けるべきである。 F 実験素材
(materials) の決定 G 手続き
(design) ・手順 (procedure)
の決定 H 実験結果に対する分析方法
(analysis) の決定 I 結果
(result) ・考察 (discussion)
・結論 (conclusion)
の展望に関する考察 n 仮説探索型の研究 O 量的研究に対して、質的研究
(qualitative study) と呼ばれる。 O 仮説探索型の研究になるケース (a) 先行研究が全くあるいはほとんど存在しない。 ?この場合、先行研究なしの仮説検証型研究にもできる。 (b) 仮説を立てるだけの根拠に欠けるため仮説が成り立たない (c) 実験を実施しても必ずしも仮説の証明にならない。 (d) 被験者数が決定的に不足しているため、統計検定にかけられない。 (e) データが統計検定可能なタイプのデータではない。 ※(d)(e)の場合でもノンパラメトリック検定を用いれば検定可能な場合もある。 O この型の研究で用いられる手法は日記・ポートフォリオ・インタビュー・発話プロトコル法などがあり、変化のプロセスが観察できる。 1. 4 本書の趣旨と対象とする研究のタイプ n この本が対象とするのは、仮説検証型のタイプ。 【参考文献】 白畑知彦・冨田祐一・村野井仁・若林茂則. (2009). 『英語教育用語辞典』. 東京:大修館書店. 【本書と授業の感想】 この本では、第二言語と外国語の区別を明確にしないということであったが、ESL環境とEFL環境では英語の学習環境が動機づけやインプット量など異なる点もいくつかあり、そういった学習環境の違いが研究結果に反映される可能性もあるだろう。したがって、論文を読む際には実験参加者の置かれた学習環境にも注目し、それが日本人EFL学習者にも適用できる研究であるかどうか検討すべき場合もあるのだろうと感じた。 また授業で、「自分の関心のある事項を研究なさっている先生方のホームページを参照する」、「博士論文は細かく記述されており、とても参考になる」、「実証研究の型はほとんど決まっているので知っていると読みやすい」など、論文の探し方や読み方に関して有益なアドバイスをいただけたので、これから先行研究を読み込んで研究課題を絞り、自分が面白くて有益だと感じられる研究ができるようにしたい。院生は論文を書くことが社会貢献に結びつくと思うので、その責任が果たせるよう熱心に研究していきたい。
Step2 先行文献をいかに読んでテーマを設定するか ■2-1文献はどのようにして集める? 以下の3種類の読者を想定する (A)第二言語習得がどのようなもので、具体的にどのようなテーマで研究できるのかわからない (B)おおざっぱな研究テーマは決定しているが、先行研究成果がわからない (C)先行研究がわかったが、その中で特に関心のある実証研究や関連のある実証研究をさらに探したい 2 読者(A) ・第二言語習得に関する入門書、概説書を読む ・第二言語習得の中身に立ち入った選書をする →○技能別(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング) ○内容別 普遍文法ベースの第二言語習得研究 クラスルーム内第二言語習得研究 CALL(computer assisted language learning) ・大学図書館、国立国会図書館、地域の公共の図書館、amazon.co.jp、amazon.comなどで検索 2 読者(B) ・これまでの研究成果のレビュー論文(review article)を読む →研究テーマを絞り込む ・専門雑誌には2通りの論文がある ○新たなオリジナルな実証データを掲載・・・実証研究論文 ○先行研究にどのようなものがあり、どのような経緯を経て、現時点でどこまでのことがわかってい るかを詳しく跡づけた論文・・・レビュー論文(review article) サーベイ論文(survey paper) ・a review〜、a survey〜などの語句とともに研究テーマが出現するレビュー論文を探し出す →○心理言語学領域 The
Oxford Handbook of Psycholingustics.(Oxford University Press) ○第二言語習得領域 Doughty, C.J.and Long. M.H.(eds) The Handbook of Second Language Acquisition(Wiley-Blackwell) Ritchie, B.W The New Handbook of Second Language Acquisition ○リーディング領域 Israel,
S.E.,and Duffy,G.G.,(eds) Handbook of Research on Reading Comprehension ○主要な海外の第二言語習得関係の雑誌 ○文献データベース LLBA(Linguistics & Language Behavior
Abstracts) →無料閲覧、有料ダウンロード 2 読者(C) ・最近の実証検証論文を探す ・国内外の雑誌、国内外の講演・発表 ・LLBAなどのデータベース、雑誌の既刊号の掲載論文 学会のプロシーディングス(proceedings)、学会事務局から購入、 講演者のホームページから無料ダウンロード ・「これはっ!」と思う論文の研究方法の一部、かなりの部分を模倣する(追試する) →○始めて論文を書く場合には有益 ○研究目的、仮説、実験方法などが同じでも、被験者(参加者)が全く違えば別の研究になる ・実証検証論文に必要な形式・体裁や、英語表現を参考にすることができる →同一の表現を使用するのは盗作(剽窃) ■2-2文献はどのようにして読む? 2 読者(A):入門・解説書 ・次の点を考慮して読む @著者のはしがき(preface)や、序(introduction)を読んで書物の目的を理解する A目次(table of contents)をみて、全体の構成を把握する B一冊あるいは各章を読むおおよその目標時間をメモする C詳細に読む部分と、とばし読みする部分を区別する D詳細に読む部分では、パソコンを使ってメモする ・入門・概説書としてすぐれたもの Grabe,
W.and Stoller,F(2001) Teaching and
Researching Reading.Edinburgh Gate : Pearson Education. 2 読者(B):レビュー論文 ・先行する実証研究についての論評、内容をつかむ ・研究成果の現状(state of the art)をつかむ ・次の点を考慮して読む @読者(A)の5点と同じ Aできるだけ最新のレビュー論文(刊行後5年以内) B批判的に読む ・すぐれたレビュー論文 Clahsen,H.and
Felser,C(2006)Grammatical Processing in Language Learners.Applied Psycholinguistics 27 : 3-42 2 読者(C):実証検証論文 ・論文内容の要約データベースを作成する →○自分自身で引用しやすい要約フォーマットをつくる(引用の限度5行程度) ○どんな目的を持って、どのような実験をしたら、どのような結論が得られたかを簡潔にまとめる ○自分自身のコメントを記録する ○Wordなどのワープロソフトで、1論文1ファイルにし、PDFファイルに変換しておく ・実証論文の形式(フォーマット)、構成(organization)を念頭におく ・一般的な構成 (1)概要(abstract) →論文全体の趣旨、200〜300語程度 (2)研究の背景(background) →先行研究成果をうけた当該研究の位置づけを説明
(3)研究の目的(purpose) →検討課題(research question)やそれに対する仮説(hypotheses)を含む (4)研究方法(method and procedure) →(a)被験者(subjects)、参加者(participants) (b)刺激材料(materials) (c)研究デザイン(experimental
design) 従属変数(dependent variable)、独立変数(independent variable) (d)手続き(procedure) (e)データの分析方法(data analysis) (5)結果(results) →平均値(mean)や標準偏差(standard
deviation:SD)などの数値、表(table)やグラフ(figure)、 t-検定(t-test)、分散分析(analysis of variance:ANOVA)、多重比較(multiple
comparison)などの統 計検定結果 (6)考察(discussion) →「結果」で示された数値から何が言えるか (7)結論(conclusion) →「考察」からいかなる結論が導けるか (8)今後の展望(further study) →問題点の整理と、次回研究の留意点 (9)引用文献一覧(references) (10)付録(appendix) ・論文サンプル Webb,S.(2008)Receptive and
Productive Vocabulary Sizes of L2 learners. SSLA 30:79-95 ■2-3研究テーマの設定方法は? 2 言語テスト備えているべき条件 (a)妥当性(validity)・・・研究する意味・価値があるか (b)信頼性(reliability)・・・客観的な実証データが得られるか (c)実行可能性(practicability)・・・データ収集が実際に可能か 2 研究テーマをダウンサイズする 2 実行可能なリサーチプランを考える 2 いいリサーチプランの条件(お茶の水女子大 故・佐々木嘉則氏) @やっている本人が「面白い」「有意義だ」と思える A研究を通じて新しい技術や理論が学べる B修了後の研究活動の基礎になる C将来の就職につながる D実用上の価値がある E学問的に価値が高い(分野の発展に貢献する) F結果を学会や専門雑誌で発表できる Gどんな結果が出ても、報告価値がある H現有の機材や予算と所定の期間内で遂行可能である ■まとめ・感想 ・ 論文の形式や結果の分析のしかたを身につけなければ、と思っていたが、それよりもまず大切なこと、「先行研究の探し方」「論文内容の要約データベースの作り方」「より具体的なテーマの見つけ方」などを理解す ることができた。 ・ この章をまとめてみて、論文作成への漠然とした不安がかなり減ったような気がする。少し、論文を書く ことへの楽しみも出てきたので、他の章も熟読し、自信をもって取りかかりたい。 ・ リサーチプランの作成や結果の分析には統計的な処理技能が深く関わっていると思うので、授業でも実践 的に学び、論文に生かしたい。
■授業後の取り組み 2 p.32〜の記述に習い、論文のコメント付き記録用要約を書いてみました。 O 検索方法 “a survey of English leaning at
elementary school in Japan” O 論文 Daniela Nikolova (2008) English-teaching in elementary schools in
Japan : a review of a current government survey. Asian EFL Journal Vol.10.
Issue1. Article12 O 要約 (a)研究の目的 日本のこれまでの英語教育の歴史をふり返り、最新の調査と社会情勢に基づく公立小学校にける英語教育 に批判的な示唆を与える。また、小学校英語活動の問題点を可能な限り解決し、根本的な英語教育課程の改訂を示唆する。 (b)研究方法 @日本の英語教育の歴史から考える A公立小学校の英語活動を分析する B今後の課題と可能な取り組みを考える (c)結論 @1853年の開国時、2通りの英語学習方法があった。1つめは、「正確な発音」と「意味」を重視する方 法、2つめは、「意味」のみを重視する方法だったが、後者の学習者方が理解度が高かった。1921年に
Harold E. Palmerが、Oral and Direct methodを提唱したが、戦時中敵国の言葉ということで採用れなかった。1970年代には、「実践的アプローチ」と「理論的学習」の議論が続いた。1990年代に入り、 国際化の流れでCommunicative
Approach やCommunicative Language Teachingに変化し始め、まず、高等学校で採用された。2002年には、「英会話」や「国際理解」の授業が、公立小学校にも紹介された。また、同年「21世紀戦略構想」により英語教育の質の向上が言われ、これまでの成功しなかった教授法 (reading, writing中心)は廃止され、他の技能
(listening, speaking) の比率を高め組織された。 A調査結果 「英会話や国際理解の授業を行っているか」→37.7%が行っている、 年1回が37.3%、月1回が34.3% 各自治体の予算等の理由で全国的にばらつきがある 「英会話や国際理解の授業に関する満足度」→児童:満足71.5%、嫌い14.3% 学級担任:導入に積極的90.3%、消極的5.9% 「英語が好きな理由(6年生)」→歌やゲームができるから74%、英語が読めるから44.6%、 外国人の先生と話せるから40.6% 「英語が嫌いな理由(6年生)」→上手に読めないから46.8%、 英語の時間を他教科の発展学習に当てた方かよいから43.3%、 友だちや外国人と適切に上手に話せないから37.1% 「将来も英語の学習をしたいか(6年生)」→学習したい64.7%、学習したくない22.5% 「将来も英語の学習をしたい理由(6年生)」→英語の読み方を学びたいから62.7%、 外国人と英語で話したいから51.2%、 友だちと英語で話したいから49% 「小学校英語活動のねらいは、子どもたちが英語への抵抗を克服したものになっているか」 →《6年生の保護者》そうなっている77.7%、ほぼそうなっている16.9% 《教師》 そうなっている67.1%、ほぼそうなっている27.4% 「小学校英語活動のねらいは、子どもたちが外国人とコミュニケーションする上での積極的な態度や意欲を養うものになっているか」 →《6年生の保護者》そうなっている50.9%、ほぼそうなっている35% 《教師》 そうなっている57.7%、ほぼそうなっている34.7% B文部科学省は、香港などアジアの国々を参考に、native とnon-native教師の連携を取り入れるべきで ある。また、現代の生活様式と日本の伝統の社会的特性の両方を、教育内容に組み込むべきである。外 国語の特徴をつかみ、異文化への柔軟な態度を育むには、特に小学校第6学年という年齢が適している。 ・英語活動の時数を全国的に統一すること ・児童が楽しみながら学習できるような教科書をつくる →教科書としての効果をしっかり調査してつくる、readingやwritingについても扱うことを視野に入れていく ・英語や外国人とコミュニケーションすることに前向きな若い教員を学級担任にあてる ・英語学習の環境を整え、教師や保護者の願いを汲みながら、readingやwritingの初歩的な内容も扱 うことも考えていく。 小学校の英語活動は、社会的な理解、教師支援、教育課程の扱いなどまだまだ議論が残っている。教師 が外国語を教えたり、児童が外国語を学んだりする上での建設的な態度を養うために、厳しい意見も取 り入れていかなければならない。 (d)コメント ・現在、週1単位時間で、教科としては扱われていない外国語活動ではあるが、日本の英語教育の歴史、 学校の現状、児童、教師、保護者の感情、英語教育の理論、近隣諸国の英語教育の現状など、様々な議 論を経て現実のものとなった、重みのあるカリキュラムである。 ・学習指導解説書では、「書くこと」「読むこと」は原則として扱わないとされている。指導者として、中 学校の単なる前倒しでないにしても、「書くこと」「読むこと」を何らかの形で取り入れてもよいのでは ないかという考えがあった。外国語活動が実施される前に、すでにこの議論がなされていたことを知り、 今後の外国語活動の展開が気になるところである。 ・生涯にわたって英語に親しみ、生活のあらゆる場面で活用していくためには、学習の初期に「英語が嫌い」な状況にしてしまうことが最も避けなければならないことである。現場の教師としてもそこが一番気がかりであり、中学校、高等学校へとつなげてくにあたり責任を感じるところである。筆者が述べる、「学習者のためになる厳しい態度、学習内容」というものをさらに具体的に調べていきたい。 担当:A.S. Step 3 リサーチプランをいかに作成するか (2) 検討課題 ・検討課題 (research questions)…研究方法、特に実験のデザインや収集データを念頭に置きつつ、具体的に記述し、列挙するもの。 ・研究仮説…検討課題の一つ一つに対して、研究の背景で記述した内容から一定の予測を付与するもの。 例1) パラディグマティク・シンタグマティク語彙リンク研究 @語彙判断テストの解答において、シンタグマティクな判断課題とパラディグマティクな判断課題では、どちらのほうが誤答数(number of error responses)が高いか。 A語彙判断テストでの解答時間において、判断課題のどちらのほうが正答の場合の反応時間(reaction time)が短いか。 ※検討課題は、5w1h形ではなく、yes/noに還元できる書き方の方が良い。 例2)音読が英単語の偶発的学習に与える効果 @英文を音読するトレーニングと、黙読するトレーニングでは、どちらのほうが英文中の新出単語の定着率が高いか。 A再認型の単語テストを実施した場合、音読と黙読のトレーニングではどちらのほうが新出単語の定着率が高いか。 B再生型の単語テストを実施した場合、音読と黙読のトレーニングではどちらのほうが新出単語の定着率が高いか。 (2) 仮説 仮説…既に設定した検討課題に対する実験開始時点での予測を与えるもの。ただし、先行研究のレビュー結果から自然に導けないもの、全く記述していない勝手な予測は×。 例1) @語彙判断テストの成績においては、シンタグマティクな判断課題のほうが、パラディグマティクな判断課題よりも誤答数が少ない。 A語彙判断テストへの解答時間においては、シンタグマティクな判断課題のほうが、パラディグマティクな判断課題よりも正答の場合の反応時間が短い。 →紙ベース(paper-based)で実施された先行研究 (Shimamoto, 2005)より 例2) @全体としては、音読の方が黙読よりも、偶発的な語彙習得が生じやすい。 A再生型の方では、音読の方が黙読よりも定着率が高いが、再認型のテストでは両トレーニング間の定着率の差は見られない。 → 研究成果 (門田, 2006: 門田, 2007)より導かれる。 3.4 研究方法はどう書く? (1) 被験者(参加者) 近年は、参加者
[participants]という言い方が定着している。 ◇必要な情報 @どのような被験者か A参加人数は何人か B第二言語のレベル(TOEICのスコアなど) C男女の内訳 D海外留学の有無 E年齢構成 (2) 実験材料 実験において被験者に提示する言語刺激のこと。 例)パラディグマティク・シンタグマティク語彙リンク研究 ・ターゲット語 (target words)30語、先行刺激としてプライム語 (prime words) 2種類 @ターゲット語とパラディグマティクな関係にあるかないかの判断するためのプライム語 Aターゲット語とシンタグマティクな関係にあるかないかの判断するためのプライム語 (3) 研究デザインと手続き ・従属変数と独立変数を記述している部分が研究デザイン ◇従属変数 分析1:パラディグマティク・シンタグマティクな語彙判断の成績 (誤答数) 分析2:語彙判断の反応時間 (ミリ秒:msec.) ◇独立変数 判断課題の種類 →1要因(2水準)の被験者内(within-subject)実験計画 すべての被験者が両方の診断を行うというような実験順序を固定すると、学習効 果 (learning effect)といわれる慣れの現象が生じるため、半数ずつ実験順を入れ 替えるという操作が必要。 (4) データの分析方法 (data analysis) 実験で収集したデータに対し、どのように集計し、統計検定を行うかという見通しを述べる部分。 例) 平均値を出し、記述統計を算出する。 平均値の差が有意であるか検定し、対応ありのt-検定を実施する。 (5) 研究予定 (schedule) その後の予定を大まかに記し、いつ頃までに実施するかを考えていく。 @実験材料の準備 A被験者 (参加者)の確保 Bデータの収集 Cデータの集計・統計処理 D学会発表の予定 E論文執筆の予定 (6) 参考文献一覧 (references) …研究の背景の箇所で取り上げた文献で、主に入門・概説書、レビュー論文、実証研究論文などが対象になる。インターネットで情報の検索・収集をした際、webサイトのアドレスも掲載。 →APA (American Psychological Association)発行のスタイルマニュアル (APA manual)に従うのが一般的。 リサーチプラン本文に記述出来なかった実験刺激などがある場合、付録 (appendix)を使って詳細に記述すると良い。 ■コメント 検討課題の書き方について、この本ではyes, noに還元できるような書き方を薦めるとあった。しかし、実際に受講者全員がそれぞれ調べてみると、yes,
noには還元できないような書き方をしている論文や研究が多々ある。何を研究で調べたいのかによって書き方は変わってくるので当然だと思うが、論文を読む読者の視点に立てば、yes, noで答えられるような検討課題のほうが、端的にわかりやすいというような利点があると思われる。 参加者については、participantsと書くか、subjectsと書くかで、これも論文や研究によって異なっていたことがわかった。また、APA 6th Editionでは‘participants’として規定している(APA 6th Edition, pp.17-18)。修士論文など、自分で論文を執筆する際は、participantsで統一したほうが良いだろう。 研究立てや、論文執筆の際、データを分析することはもちろん重要だが、上記で述べたような研究の柱となっている部分をしっかりと構築することも重要だと思う。 5月21日 担当:R.F. Step 4 心理言語学的SLA研究データにはどのようなものがあるか (pp.65-81) 4.1 正答数データ n 正答数は正答率、または誤答数(満点−正答数)のデータにすることもできる。パラメトリックな統計検定実施が可能。 u 「パラメトリック検定」:統計学で用いられる検定のうち、対象なる母集団の分布について、パラメーターを設けて行われる検定。母集団が正分布していることを前提とする。ex) t検定、分散分析、ピアソンの相関係数など (1) クローズテストデータ(closed test data)/ クローズ法 n 英文から機械的にn番目毎に単語を削除していき、各ブランクを推測させる、空所補充テスト。 n 門田(1985) ・クローズテスト解答の際に、リーディングにおけるディコースレベルの情報処理(英文全体の意味内容)の必要性を検証。sequential cloze(通常のクローズテスト)とscrambled cloze(空所付き英文を文単位でばらばらにし、アトランダムに並べたテスト)を比較。(p66,67の例参照) ・採点法:正語法(解答がテキスト中の単語と同一でなければならない) 適語法(文脈から意味・文法的に可能な回答であれば正答) ・統計的検定:独立変数=クローズテストの種類・採点法 2要因(2 sequential cloze/scrambled cloze・2 正誤法/適語法)の分散分析 a(1) 正誤法で採点すると、sequential clozeとscrambled cloze間の平均値は有意差がない (2) 適語法で採点すると、sequential clozeのほうが、scrambled clozeよりも有意に正答数が多い n 門田(1990) ・論説文と物語文で比較すると、正誤法・適語法の採点法でsequential clozeがscrambled clozeを上回った。クローズテストのテキストタイプが、論説か・物語かという「形式スキーマ」が影響するという考察。 ・論説文では、読み手の、内容についての知識(「内容スキーマ」)の有無が影響する。 (2) 記憶域データ (memory span data) n 記憶域データ:短期記憶、ワーキングメモリの範囲を測定したデータ ・言語運用の際、言語情報を知覚・処理し、記憶するプロセスを実行している。処理・保持する容量であるワーキングメモリには個人差がある。 ワーキングメモリの個人差を測定する方法とし、リーディングスパンテスト、リスニングスパンテストがある。 n 門田(1994) ・英文聴解と読解の保持・再生を比較 英文(計26文・最長文30音節)を視覚提示と聴覚提示し、英文筆記(英文そのもの)と意味筆記(和訳)の筆記再生をした。 正しく筆記再生された最長のセンテンス内の音節数を算出した結果、視覚提示が聴覚提示を英文筆記・意味筆記ともに上回った。 a日本人英語学習者はリスニングよりもリーディングのほうが、記憶・再生が得意。 4.2 プロトコルデータ プロトコルテータは、パラメトリックな統計ではなく、質的データの一つ。 (1) 発話プロトコル(think aloud protocols) n 「発話プロトコル」とは、心理学の内観法をもとに、認知システムを数量化しない手段で観察する試みとして、被験者に直接話させる方法 n 参加者が自身の認知プロセスを内観し、実況報告する。問題解決や意識的な操作が必要な課題が適していて、意識せず自動的に遂行できる課題は適さない。 n Yoshida(1997) ・rational cloze(作成者の基準をもとにテストを作る) テストに解答する際のストラテジー(方略)について発話プロトコル法を用いて検証。(p.74,75参照) ・発話プロトコルデータから、音読、文法知識、推測、自己モニターなど様々なストラテジーを利用したことが分かった。 ・発話プロトコルデータは自身の認知過程を第三者にモニターしてもらうトレーニングとしても有効。 (2) 筆記プロトコル n 「筆記プロトコル」とは、リーディング(リスニング)の言語理解を量的に測定する手段で、リーディング後、理解・記憶している内容をできるだけ筆記・再生してもらうタスク。通常は母語で行う。 u 処理と保持のトレードオフ:ワーキングメモリには容量制限があり、その制限内で処理資源を「処理」と「保持」に割り当てなければならないため、「処理」と「保持」はトレードオフの関係にある。 a多く筆記再生できることは処理操作の円滑さを示し、読解力が高い指標となる。 筆記再生 n 実施法:一定時間に英文パッセージを読み、その後十分な時間の中で英文の内容を日本語で覚えているだけ筆記する n 留意点:1. 筆記時、英文は参照しない 2. 内容の要約ではないため内容にあったことを余分でもすべて筆記する 3. 文の形で筆記する n 答案採点 ・事前に英文を、命題または節によるアイデアユニットに分割する。(p.78, 79参照) ・信頼性保持のために、2名以上の採点者が採点し、採点の相関をとることが必要。 ・長所:妥当性が高い @読み手が英文を新内でどのように表象しているか特定できる。 A選択問題では出題者が意図した箇所の理解度のみが測定できるが、筆記プロトコルでは受験者の読みの実態を把握できる。 a妥当性が高い ・短所:信頼性が低い可能性 @ 受験者の再生結果のみが測定対象になる。 A アイデアユニットへの分割がうまくできず、客観的規準が形成できない場合がある。 B 複数の採点者間で異なる結果になる可能性がある。 参考文献 白畑知彦, 他. (1999). 『英語教育用語辞典』.東京:大修館書店. 卯城祐司 (編). (2009).『英語リーディングの科学?「読めたつもり」の謎を解く』.東京:研究社. 担当:Y.Y. Step 5 実験実施とデータ集計をどのようにして行うか (pp.152-168) 心理言語学的な実証的SLA研究で扱う実験をどのように実施するか、またいかにデータ収集し、集計するかの方法論が第5章で述べられている。 5.1 被験者をいかに集めるか 研究テーマが決まり、研究の目的・方法が決まり、研究手法まで決まった次の段階で、被験者(subjects)・参加者(participants)をどのように探しだし、集めるか検討する必要がある。 ・データ収集のため、非常勤でも授業は担当していることが推奨される。 →生徒に実験協力者になってもらうことができる。 →研究対象が第二言語(英語)の学習・教育の場合、実際に教鞭を執っている方が研究テーマについて問題意識や観察眼が養える。 実験協力者の募集には ・掲示板を利用した広告 ・携帯電話の利用 ・チラシ 等を利用し、以下の点に注意して告知される 1.
実験者がいかなる立場で、どのような目的の実験をどういう方法で依頼しているのか明確にすること。その際、大学院の研究科に所属しているときには、研究科名、研究室名、指導教員名も記述しておいた方がよい。 2.
いつ・どこでどのような形で実施するのか、可能な日時・場所・方法をきちんと伝え、調整すること。 3.
データ収集時の安全上の問題が全くないこと、また実験協力者の承諾など(informed consent)を得ること。将来のさまざまなケースを想定すると、できれば所定のフォームをつくり、了解した旨の署名をしてもらうことが望ましい。この時、研究成果を発表する際には、個人名は公開しないことを確認しておく必要がある。 (pp.
154-155に実例) ・チラシにはQRコードをつけるなどして実験者にコンタクトが取りやすいよう心掛ける。 また、勧誘の際には明確な趣旨を述べる必要がある。 ・実験には時間的余裕がある人を選ぶべき。 ☆昼休みに教室で2,3人で食事している学生にも依頼しても断られる可能性が低い。 ・了承を得たら、その場ですぐにアポイントを取る方が良い。 ・実証研究では実験協力者が最低限30名程度必要。 ・特にパラメトリック検定(e.g. t-検定・ANOVA)を使う場合30名が目安になる。 ・実験参加者がどうしても集まらない場合(実験協力者が特殊・コストがかかるなど)、ノンパラメトリック法を用いるか、条件が当てはまる場合のみそのままパラメトリック検定を行う。 ノンパラメトリック検定を利用する場合 ・等間隔性保証されない順序尺度データや母集団の正規性が仮定できないケースに利用。 ただし、このケースでもパラメトリック検定と同様、母集団からのランダムな標本の抽出が前提となる。 カイ二乗検定、U-検定、スピアマンの順位相関などが代表例 等間隔性が保証されるケースなど、パラメトリック検定が使われるべきケースでノンパラを行うと、統計上の誤りが発生する可能性があるので注意が必要。 参考 *コルモゴロフ―スミルノフ検定やシャピロ―ウィルク検定などの正規性検定を用いて標本が正規分布するか確認する作業が必要となる場合もある。 **これらの正規性検定は、「変数は正規分布に従う」という帰無仮説が設定されるのでp> .05に当てはまる場合、帰無仮説を保留し、正規分布であることを仮定する。 ヒストグラムなど、視覚的な確認も行う必要がある。 パラメトリック検定を利用する場合 間隔尺度データの前提(正規性の条件など)が明らかになっている、 a)
無作為抽出 b)
母集団の分布が正規分布していること c)
母集団の分散が等しい 場合、実験協力者の人数が少数であっても利用可能である。 ・実験協力者の数が1、2名とごく少数の場合、事例研究(ケーススタディ)として研究を行う。 5.2 実験実施上の留意点 ・実験実施の際は、早めの準備を心掛ける(PCの起動やソフトの立ち上げ等)。 ・実験協力者には課題に集中してもらうことが必要なケース、音声データを収集する場合は静かな場所を確保する(教室や会議室)・ ・アンケート等の場合は喫茶店等で構わない。 ・実験協力者と2人だけで実験を行う場合には、緊張を与えないために、雰囲気づくりが必要。 ・PCを使って実験を行う場合は、口頭説明を省くためにPC画面上で説明を行い、サンプル問題で実験の要領をつかんでもらうことも必要。 ・概要等の説明の際には、「実験協力者の立場」になって丁寧かつ簡潔にPC画面上で解説するべきである。 ・1つの説明画面に多くの解説(情報)を詰め込みすぎないよう、フォントサイズは16pt以上にするべきである。 ☆P159に実験協力者と1対1の対面形式で実験を実施した際のサンプル指示文とCALL教室で一斉実験を行った際の指示文が例示されている。 ・実験協力者用の指示文の作成は、実験協力者の立場になって、どのような情報をどのように伝えるか注意を払う。 5.3 データ集計の実際 ・SPSSなどの統計ソフトに最初からデータを入れず、最初はexcelにデータ入力することを推奨。 ・横列にテストの問題番号など、縦行に実験協力者名や番号等を記入する。 ・Excelで作成したデータをSPSSなどに読み込ませ、そこから統計を行う。 「L2レキシコンにおけるシンタグマティクおよびパラグマティクネットワークの検討」におけるデータ処理方法におけるデータ集計の実例(p. 161-167) ・正答率と反応時間のデータを収集。 ・CALL教室において実験を実施。 ・実験協力者1人1人がそれぞれのペースで指示文を読み、それにしたがって単語のネットワークに関するテストを行った。 ・実験協力者ごとのexcelテキストファイルが試験終了後、自動的に表示されるように設定され、実験協力者の氏名と実施日時とともに、p. 163のようなデータが表示される。 ・この実験ではテスト項目以外に、実験要領の説明を正しく操作したか確認するために、説明画面のページ送りをする時間が何msec.であったかについてもデータ出力している。 ・練習問題の結果がどうであったか示す工程も実験中に組み込み、それに対してのフィードバックを与えている。 ・フィードバックを与えることは、実験協力者の実験要領への正しい理解を裏付ける点で重要である。 ・p.165、図43のように空白行が実験結果に挿入されることもままある。 ・オリジナルデータファイルには研究に不要なデータが多くまじっているので、不要なデータ行は削除する。 ・その際、excel上でソートを行うことで容易に行うことができる。 ・不要な情報の削除が済んだ後、実験協力者ごとに各項目の集計(e.g. 誤答数や反応時間)を全実験協力者のデータに対して行う。(参照 p.167) ・実験協力者の名前(もしくはID)を縦の行に、データの種類を横の列に明記する。この際、それらの情報は1列目、1行目に提示するようにする。 ・こうしてできたexcelファイルを保存し、SPSSへ読み込ませると、1行目、1列目の項目が統計検定のための変数として表示されるようになる。 補足 データ収集の際には、信頼性の問題があるものの、インターネットを活用した方法もある。 ・survey monkey (http://jp.surveymonkey.com/) 簡単な質問紙調査を作成、収集するには有用。ただし、被験者には結局お願いするか、自分のホームページやブログ、facebookなどを利用して告知する必要があるため、被験者が本当にターゲットに当てはまるのか、といった問題がある。 ・Amazon mechanical turk(https://www.mturk.com/mturk/welcome) Amazon.comの運営するサイト。必要な情報を登録した後、被験者に質問紙に答えてもらうことができる。この場合、アマゾンギフトカードを謝礼として被験者に配ることができるので、被験者集めには使いやすい。 担当:H.W. STEP 6 学会発表をどのようにして行うか ◆ 6.1 結果から結論・考察をいかに導くか 一般的なアドバイスは難しいが、参考例として門田の「L2レキシコンにおけるシンタグマティクおよびパラディグマティクネットワークの検討[1]」の結果と検討を挙げる。 結果:@誤答数について。シンタグマティク判断のほうがパラディグマティクな判断よりも若干多いが、統計的に有意な差はなし。A反応時間について。シンタグマティクな判断はパラディグマティクな判断よりも反応時間が遅く、統計的有意。 結論:「日本人英語学習者(大学生)にとって、単語のコロケーションに関する知識は、語と語が意味的に似ているかというパラディグマティクな知識よりも不十分でその検索も遅い」 考察:「単語と単語が類義語関係にあるか否かは、それぞれの語の意味(和訳)がわかれば、おおよその判断はできるが、特定の単語と単語がコロケーションの関係にあるかどうかは単語の意味(訳)を覚えていても訳に立たないのではないか。言い換えれば、多読・多聴などの方法で大量の言語インプットを処理する・理解する体験を通じて、そういった知識は身に付くのではないか。」 hw: 結果・結論・考察に対応する英語は、それぞれ results/outcomes、conclusion、 analysis??? 結果は実験等の結果で数量や有無など、結論は実験結果の解釈もしくはRQに対する答え???、考察は発展的な解釈??上記の「言い換えれば」以下は実験とは無関係。 ◆ 6.2 発表学会・研究会を選ぶ いろいろなレベルの学会や研究会がある。国際学会や米国や欧州内の学会、国内の全国大会、地区大会(支部大会)、学会内のspecial Interest group (SIG)など。 学会:未発表の内容のものを報告する 研究会:学会のような制限なしで、互いの勉強のための集まり hw: 過去に研究会で発表したものと同一の研究(たとえば同一のタイトル)を別の学会で発表することは可能か??? ある学会で発表した研究と同一、酷似、あるいは類似している研究を別の学会で発表することは可能か??? 下記学会の詳細(入会申し込み、大会の開催時期など)はそれぞれのウェブページを参照すること。 (1)外国語教育関係 <国内> ・全国英語教育学会(The Japan Society of English Language Education: JASELE) ・大学英語教育学会(Japan Association of College English Teachers; JACET) ・外国語教育メディア学会(Japan Association for Language Education and Technology: LET) ・全国語学教育学会(The Japan Association for Language Teaching: JALT) ・日本語教育学会(The Society for Teaching Japanese as a foreign language) <海外> ・AILA(Association Internationale de
Linguistique Applique) ・TESOL(Teachers of English to the Speakers of
Other Languages) (2)第二言語習得関係 <国内> ・言語科学会(Japan Society for Language Sciences: JSLS) ・日本第二言語習得学会(The Japan Second Language Association: JSLA) ・ことばの科学会(Japan Society for Speech Sciences: JSSS) <海外> ・AAAL(American Association for Applied
Linguistics) ・SLRF(Second Language Research Forum) ・AMLaP(Architecture and Mechanism for Language Acquisition
and Processing) ・IRA(International Reading Association) (3)言語学・音声学・心理学関係など ・日本英語学会 ・日本言語学会 ・日本音声学会 ・日本音声学会 ・言語処理学会 ・日本心理学会 ・日本認知心理学会 ・日本認知科学会 ・日本高次脳機能障害学会 ◆ 6.3 発表プロポーザルを書く 学会で発表するには、まず発表プロポーザル(proposal)を書いて発表申し込みをする。多くの学会ではプロポーザルの審査がある。 参照例は pp.181-184 ・paper submission:口頭発表、poster
submission:ポスター ・発表が関係する領域(general
research area of presentation)例:b. cognitive
processes and effects, g. Linguistic
analyses ・発表要約(summary) ・発表概要(abstract) hw:業績としては口頭発表>ポスター ??? その後、受諾or 拒否の連絡を受け取る。 申し込みの時期と方法、大会の時期と発表方法、学会誌への投稿の時期と方法などを事前にチェックすること。 ◆ 6.4 学会発表(口頭発表)のノウハウ 研究分野や発表学会によっても発表の方法は異なる。 高次脳機能障害学会などでは、発表者はスライドセットを用意して、大会関係者が操作する。英米文学や英語学の学会では発表者は配布資料(ハンドアウト)を配布する。第二言語習得研究の学会ではパワーポイント(power point: PPT)と配布資料を使う。 (1)PPTの準備 各スライドのフォントサイズは大きくとる(最低20 point以上)。1つのスライドに何でもかんでも詰め込みすぎないよう情報量に注意する。図表、イラスト、写真などの工夫をする。不要なアニメーションや効果音はなくてよい。 (2)配布資料の作成 PPT形式で印刷する場合は、「印刷対象」は「スライド」のままでプリンタの「プロパティ(プリンタ設定)」1ページに何枚割りつけるというレイアウトを設定すると無駄な余白がない資料の作成ができる。 (3)発表原稿の有無 門田は、事前のリハーサル(練習)は十分に行うが、読み上げ用の原稿は用意していない。読み上げ用の原稿を用意すると、ひたすら音読に集中してしまうこともありうるため。 [1] syntagmatic links: 語彙のネットワークにおいて、この語とこの語はいっしょに使えるが、ある別の語とある別の語はいっしょに使えないといった横の関係を指す。コロケーション。 paradigmatic inks: 類義語・反意語・関連語や上位・下位範疇などの関係を指す。 |