電力市場のモデリング・予測とヘッジ

筑波大学 ビジネスサイエンス系
山田 雄二

風力や太陽光等再生可能エネルギー電力を卸電力取引所で取引する際,発電事業者は気象予測から将来の出力を推定して入札量を求める.また,卸電力取引所における買い手側小売事業者も,将来の需要を予測し入札を行うのであるが,電力需要は気温等気象条件に大きく依存する.さらに,卸電力取引所における取引価格も,総需要や供給予備力の影響を受けるなど,電力市場には様々な不確実性が存在する一方,株式等金融資産と異なり,電力は貯蓄して将来受け渡すことが困難であるため,全ての取引が予測と計画ベースで行われる.本研究プロジェクトは,このような電力市場におけるモデリングや予測,および関連する損失マネジメント手法を,実験・シミュレーション・理論の各側面から構築を目指すものである.特に本研究発表では,その中でも電力市場における取引リスク分析や入札戦略を検討する上で重要な役割を果たす需要・供給関数の推定問題に焦点を当て,部分的な観測情報に対して統計的手法である一般化加法モデルを適用し,卸電力価格の需要・供給関数を推定する手法について紹介する.

参考文献
[1] 山田, 牧本, 高嶋, 後藤, ''媒介変数表現に基づくJEPXスポッ ト電力供給・需要関数の推定,'' JAFEEジャーナル第15, pp. 64-93, 2016.  (download from Tsukuba repository)
[2] 山田, 牧本, 高嶋, ''一般化加法モデルを用いたJEPX時間帯価格予測と入札量-価格関数の推定,'' JAFEEジャーナル第14, pp. 8-39, 2015. (download from Tsukuba repository)