データ分析からモデルベース政策形成・戦略立案へ

筑波大学 ビジネスサイエンス系
倉橋 節也

日々,多くの重要な社会・経済政策が決定されている.これらの政策は,これまでの経験や,実施された政策によって発生したデータに基いて議論が行われ意思決定されている.近年では,より厳密なデータ解析に基づいた政策形成として,エビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policy Making)と呼ばれる手法が注目され,統計的な処理によって多くの画期的な成果をもたらしてきている.しかし,これらの手法は,必然的に過去のデータに基づいているため,近似した事象の比較ができる場合を除けば,新たな政策や経営戦略に対する評価を行うことは困難となる.この課題に対し本講演では,モデルに基づく政策形成(Model-Based Policy Making)を提案する.この手法は,データサイエンスおよびエージェントモデルを基盤とした社会シミュレーション技法・シリアスゲーミング手法を使用する.ビジネス分野においては,帰納法としてのビジネスデータ分析と,演繹法やアブダクション法としてのビジネス戦略立案をつなぐものとなる.適用事例として,都市動態モデル,感染症リスクモデル,知識学習モデル,異常予測モデルなどを紹介する予定である.

Keywords: Model-based policy making: urban dynamics, infectious disease, knowledge learning, abnormality prediction