葦アレルギー


クラリネットやオーボエなど、多 くの木管楽器は葦でできた「リード」の振動によって発音します。葦は天然材料であるため、無害だと思われていますが、天然 材料だから安全とは限りません。
奏者の中には、葦に対してアレルギー反応を示す人がいます。その方たちは、楽器を吹くたびに、唇や口の周りがひどく荒れます。「練習のしすぎかな?」と 思っていたけれど、あまりにひどいので皮膚科を受診したら「アレルギーだった」という場合もあります。

contact dermatitis due to reed

普段から「葦を 口に含む」人が少ないことから、リードを原因とするアレルギーはあまり認知されていません。また、その詳しい原因(葦に含まれるどのような成分がアレル ギーを引き起こす のか)もわかっていません。ただ、「アセチル化」という処理をすることで、アレルギー症状がかなり改善されることがわかっています。

葦 リードのアセチル化
アセチル化とは、葦や木を無水酢酸と反応させ、そこに含まれる水酸基をアセチル基に置換する処理です。処理によって吸湿性が低下し、寸法安定性や耐朽性 (腐りにくさ)が向上するため、屋外で使われる木材などに広く使われています。また、安全性が高いため、管楽器部材のような口に触れる用途にも向いて います。


残念ながら、葦のアセチル化についてはほとんど研究例がありませんが、オーボエのリードをアセチル化することで、アレルギー症状がほとんど収まった例があります。

当研究室では、葦アレルギーを持つ奏者の協力を得て、アセチル化によるアレルギー抑止効果を検証するとともに、小規模な工房でも実現できるような簡便な処理方法を開発中です。


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