Research 

Last updated 2011.3

主にメゾスコピック超伝導体、カーボンナノ構造についての実験を行っています。
現在、研究メンバーを募集しています
(4年生、大学院生、ポスドク)。

メゾスコピック(ナノ構造)超伝導体における新奇超伝導状態の観測と制御

サイズが1ミクロン程度かそれ以下のいわゆる「メゾスコピック超伝導体」では、巨視的サイズの超伝導体では見られない新しい超伝導状態が現れることが理論的に予言されています。
我々は、微小トンネル接合を用いた独自の実験方法で、この超伝導の性質を明らかにしています。

解説記事

構成員
神田晶申(数理物質科学研究科、准教授)


旧メンバー
黒田隆 (2011年数理物質科学研究科修士)
初見慎也(2010年数理物質科学研究科修士)
古堅亮(2008年数理物質科学研究科修士)
但野紅美子(2005年自然学類学士)
清水夏美(2005年自然学類学士)

共同研究
Prof. Peeters (アントワープ大学(ベルギー))
Prof. Milosevic (アントワープ大学(ベルギー))
林正彦准教授(秋田大学)

最近の主な成果
- 渦糸の巨視的量子トンネル、渦糸反渦糸対生成を示唆するデータを観測(黒田物理学会(2010年春))
-  メゾスコピック超伝導体の渦糸状態の電流印加による制御に成功(PRL(2009),初見修士論文(2010))
- 「1次元渦糸」と呼ばれる新しい渦糸を観測(PRB(2007)、古堅卒業論文(2006))
- 磁場の大きさに依存する超伝導揺らぎを観測(投稿準備中、2007春物理学会(神田))
- メゾスコピック超伝導体の渦糸状態の試料形状・サイズ依存性の解明(PRB(2006)、清水・但野卒業論文(2005))
- 巨大渦糸状態をはじめて観測(PRL(2004), PRB(2005), 各種雑誌、新聞に記事) 
サイエンス誌記事へのリンク

ナノカーボンデバイス(とくにグラフェン)の電気伝導

近年、炭素でできたナノ構造が世界中の注目を集めています。炭素原子が筒状に並んだカーボンナノチューブは究極の1次元構造として、物理、化学、工学(応用)のさまざまな視点から研究が行われています。物理、とくに電子デバイスの視点では、ナノチューブはその巻き方で金属・半導体のいずれかになる点、朝永-ラッティンジャー液体状態という通常の金属とは異なる電子状態を形成する点で大変興味深い物質です。
一方、最近グラファイト1層(グラフェンという)や数層のグラファイトに電極を接続するとても簡単な技術がイギリスのグループによって見いだされました。グラファイトは大変高い電子密度、移動度をもち、さらに薄膜にすることで電界効果が期待できるので、将来の電子デバイスに応用できるはずです。これまで、高価な半導体から作り出していた電子デバイスが、きわめて安価なカーボンのみから作り出せるかもしれないのです。
このような背景のもと、我々は2001年度から多層カーボンナノチューブの電気伝導に関する実験を始め、2006年度からはさらにグラファイト超薄膜、グラフェンの研究を開始しました。

構成員
神田晶申(数理物質科学研究科、講師)

友利ひかり(数理物質科学研究科、大学院生D1)
豊田行紀(数理物質科学研究科、大学院生M2)
貫井洋佑(数理物質科学研究科、大学院生M1)

旧メンバー
後藤秀徳(博士研究員)
田中翔(2011年数理物質科学研究科修士)
佐藤崇(2007年数理物質科学研究科修士)
森木拓也(2007年数理物質科学研究科修士)
長井超星(自然学類学士)

研究プロジェクト
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(CREST)

「ナノ界面・電子状態制御による高速動作有機トランジスタ」(代表:塚越一仁 NIMS−MANA主任研究員)
共同研究
塚越一仁(NIMS)
宮崎久生(NIMS)
小高隼介(東工大、NIMS)
青柳克信(東工大、立命館大)
岩佐義宏(東北大金研)
林正彦(秋田大)
吉岡英生(奈良女子大)

最近の主な成果
- 多層グラフェンにおける近接効果超伝導電流の特異な振舞の原因を解明(投稿準備中)
- 単層グラフェンにおける超伝導近接効果の精密測定に成功(投稿準備中)
- 単層グラフェンへの化学修飾とその伝導測定に成功(長井卒業論文(2009))
- グラファイト超薄膜におけるスピン伝導機構を解明(APL(2008))
- グラファイト超薄膜における超伝導近接効果とその電界効果を観測(世界初)(佐藤修士論文(2008)、森木修士論文(2007)、論文多数)
- グラファイト超薄膜において、メゾスコピック伝導(普遍的コンダクタンス揺らぎ、弱局在)を観測(Physica E(2007)、2006秋物理学会(森木)、森木修士論文(2007))
- 低抵抗の多層ナノチューブ/金属接合の形成に成功(2006秋物理学会(佐藤))
- 多層ナノチューブで見られる朝永-ラッティンジャー液体的振る舞いの起源を解明(PRL(2004))

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