Chapter 7 Learning-oriented assessment in the
classroom
7.1 The nature of classroom learning-oriented
assessment
「assessment(評価)」という用語は単なるテストというよりも、教室内の活動全体を指している。
評価のサイクルは、performance – observation-interpretation-feedbackである。
評価の基本的な役割は、学習の促進である(評価の波及効果)。
【評価のサイクル】学習が促進される
教師→→→→→生徒⇔⇔⇔⇔⇔生徒
評価 評価
評価サイクルには様々な段階がある。
Willian
(2006)は評価サイクルには次の3つの段階があるとしている (Table 7.1)。
Table 7.1
Formative assessment cycles (adapted from William 2006)
Type |
Focus |
Length |
Long-cycle |
Across marking periods, semester, years |
4 weeks to 1 year or more |
Medium-cycle |
Within and between teaching units |
1 to 4 weeks |
Short-cycle |
Within and between lessons |
5 seconds to 2 days |
生徒と教師のそれぞれの役割について
①生徒の役割・・・・自律した学習者になること。自分を客観的に評価できる力を身につけること。
②教師の役割・・・・学習のための環境づくりを適切に行うこと。
7.2 Domain-specific and generalisable learning
skills
社会構成主義的な学習の観点→学習とは個人的な成長の過程である→学習スキルに影響を与える。
Learning Oriented Assessment(学習中心主義の評価)
7.3 Learning-centered and content-centered
activities(学習中心の活動と内容中心の活動)
Learner-centered activities |
Content-centered activities |
学習は教師と生徒のコミュニカティブなやり取りから生まれるものである。 |
内容中心の活動は、学習におけるtransmission modelと密接な関係にある。 |
学習者中心の活動は、Can Doリストや習熟に応じた評価に焦点を当てている。 |
意識的な学習や言語形式の操作などに焦点を当てている。 |
社会構成主義の考え方に基づいている。 |
現実世界での活動よりもカリキュラムの達成度を重視している。 |
7.4 Classroom evidence of and for learning
教室内を中心とした学習 (classroom-based learning) の機能や形式とは何か?
・LOA (学習中心主義の評価)のタスクを行う過程で学習者に素早くフィードバックを与えること。
・LOAタスクの結果を評価する時の教師と生徒による批評や振り返り。
・教育課程の目標に対する達成度をモニターすること。
・CEFLのレベルなどのようにパフォーマンスに対して評価を与えること。
・学習者に対する公式的な評価(TOEICなど)を認識すること。
・学習者に動機づけを与えること。
・LOAを有効化すること。
7.4.1 Evidence for learning
教室内での学習にevidenceを与えること=feedbackを与えることに似ている。
①教師と生徒が振り返りをする ②パフォーマンスを改善していくこと
Evidenceとは何か? (feedbackと読み替えてもよいかと思います)
→学習者中心の活動と教科中心の活動の両方にとって必要なこと。
7.4.2 Evidence of learning(学習における痕跡・証拠・フィードバック)
evidence of learning とは?
①学習者により良い学習を促すために教室(授業)にフィードバックを与える。
②学習における成功体験は、さらなるモチベーションアップにもつながる。
③個人学習にしても協働学習にしても「記録」をきちんと残しておくこと→評価につながる。
④CEFLやCan-doリストは学習を「視覚化」することができる。
⑤CEFLなどの外部評価は、生徒の学習歴を表すものになる(日本だと英検など)。
7.5 Learning-oriented assessment: An
ecological model
評価についてまとめると以下のようになる。
①外部試験などの大規模テスト(日本では英検/TOEIC/TOFEL/GTECなど)
②教室内での評価(日本だと興味・関心・態度など観点別評価など)
③学習志向の評価(教科そのものに対する評価)
【学習の本質とは何か?】
①学習は社会的なコミュニティの中で促進される。
②学習は個人の成長に関与する。
③言語学習とは、目的を持った言語の使用(つまりコミュニケーションをしたいなど)に関与する。
④タスクは言葉のやり取りや触れ合いなどのようなオーセンティックなものでなければならない。
⑤evidenceは実際の教室内でのやり取りから生まれるものである。
7.6 In summary
Learning-oriented
classroomの特徴をまとめると以下のようになる。
①教室内でのインタラクションの本質とは何か?
→ パフォーマンス➡観察➡評価➡フィードバック という評価サイクルを指す。
②生徒の役割・・・自分自身の学習をきちんと行うこと
教師の役割・・・学習におけるインタラクションを促すこと。
③学習のインタラクションは「足場架け」や「適切なタスクの選択」などの要素で促進される
④言語とは意味伝達に必要なものである。
⑤(学習の)習熟とは、フォーカス・オン・フォームなどの活動と組み合わせることによって促進されるものである。
⑥教室内でのタスクに携わることは、本来的に備わっている動機づけに関わるものである。
タスクとは、相互作用をもったオーセンティックなものであるべきである。
⑦言語的な熟達度とは、目に見える形でのスキルとして認識されるべきである。
⑧学習とは、個人的な成長として考えてもよいかもしれない。それが、学習スキルの発達にもつながるかもしれない。