2017.3.3. SLAA研究会 輪読資料

教育研究科修士1年 T.S

 

Weigle, S. C. (2002). Assessing Writing. New York: Cambridge University Press.

 

 

 

 


CHAPTER THREE  Basic considerations in assessing writing

n この章では、言語に関する評価の中でも特にライティング評価に焦点をあてる。

n チャプター2でのライティングモデルは、主に母語におけるライティングモデルを示している。

すなわち、ライティング活動を通じての言語の習得や発達を示したものではない。

n この章では、言語テストという観点からライティング評価について論じていく。

n この章で論じていく基本的な枠組みは、Bachman and Palmer (1996)に依るものである。

@テストの目的      A言語パフォーマンスと実際の言語使用との関係 

Bパフォーマンス評価   Cテストの有効性

 

Test purpose: making inferences and making decisions

n Bachman and Palmer (1996)は、言語テストには2つの目的があると指摘している。

n 1の目的は、言語能力についての推測である。

n 2の目的は、推測に基づいた決定をすることである。

n 人間の言語能力を直接、観察することはできないため、テスト問題に対する受験者の反応をデータとして使用する。そのデータから、言語能力を推測するのである。

n 言語テストの基本として、3種類の推測の観点がある。

3つの観点とはproficiency(熟達度)・diagnosis(分析)・achievement(到達度)である

n 「熟達度」は、入試や言語プログラムのレベル分け、学習課題の免除などに使用される。

n 「分析・診断」は、学習者の個々の弱点などについて、各々のニーズに合わせた指導をするために主に教師によって使用される。

n 「到達度」については、個人または集団が目標に対して、どの程度のレベルに到達しているかを示すものであり、言語に関するグレードや個人の昇進、教室での教授レベル修正などに使用される。

n Bachman and Palmer (1996)が指摘しているように、言語能力について推測に基づいた重要な側面というのは、high-stakesに基づいた決定であるのか、またはlow-stakesに基づいた決定であるのかということである。

n hish-stakes decisionsは、大学入試や奨学金など個人の生活やプログラムに強い影響を持っている。

n low-stakes decisionsは、言語プログラムのレベル変更など、比較的影響が少ないものである。

言語テストの目的とは、言語能力をどのくらい有しているかの推測であり、その推測に基いて言語能力を決定することである。言語テストの観点として、@熟達度 A分析 B到達度 が挙げられる。

 

 

 

 

 


Language use and language test performance

n 言語能力によって意味されるものは何かを明確に規定することが、言語テストにとって重要である。

n テストしたい能力を「構成概念」とし、これはテストを形成する上で最も重要なものの一つである。

n 言語テストにとって、構成概念を定義することは、現実世界での言語使用においてどんな要素が含まれているのかを決定することでもある。

Language knowledge

<言語知識>

◯語彙知識   ◯形態論知識と統語論知識  ◯音韻論の知識

<テクスト形成知識>

◯結束性の知識 ◯修辞学の知識 あるいは 会話の構成

<機能的に関する知識>

◯観念化機能の知識(話し手の経験すなわち意味内容を伝達する働きをもつ)

◯操作的機能の知識  ◯発見法機能の知識  ◯想像的機能の知識

<社会言語学の知識>

◯方言の知識  ◯言語使用域の知識  ◯成句表現の知識  ◯文化的引用の知識

 

Strategic competence

 ◯評価  ◯目標設定  ◯プランニング  ◯コントロール

言語テストにとって何を測りたいのかを明確にすることが重要であり、それが「構成概念」と呼ばれるものである。構成概念は、言語が実際にどのように使われているのかを検証することである。

 

 

 

 

 

Writing as performance assessment

n パフォーマンス評価という用語は、現実世界での言語使用の場合と、現実世界の使用を想定した場合の言語使用のどちらでも使われている

n パフォーマンス評価は、伝統的に行われてきたペーパーテストとは異なるものである。

n ライティングテストは、多肢選択式問題とは反対に、現実世界でのライティングを含むものである。つまり、現実世界に則した評価である。

n ライティングにおけるパフォーマンス評価の焦点がどこにあるのかというと、まず与えられたタスクの目的を満たしているかどうかということである。(正確性は別問題である)

(例)説得を求めるライティングタスクの場合は、読み手を説得できれば成功である。

   謝罪の手紙を書くライティングタスクの場合は、読み手が許す気持ちになれば成功である。

n 言語能力や言語知識というのは、タスクを成功させる一部に過ぎないかもしれない。

(例)もしもパーティーまでの道のりを説明するタスクがあったとして、言葉で書かずに正確に地図だけ

書いたとしても、それはタスクの成功を意味する。つまり、タスクの成功には言語能力以上の知識が必要である。

n 上記の意味においては、McNamaraが指摘するように、パフォーマンステストは、言語テストとは一般的に考えられないのである

n パフォーマンステストのもう一つの解釈は、タスクを達成できたかどうかではなく、言語使用そのものにあるという。つまり、言語使用を引き出すために使われたタスクが現実世界に則したものであるように見えるが、実際の目的は、言語の熟達度を測るものだということである。言い換えれば、テスト受験者は、タスクを上手く成功かどうかよりも、言語的側面に関心を持っているということである。

 

言語テスト

言語使用

タスクの成功