学習指導要領改訂案(2017年2月14日公表)について
n 小学校で2020年度、中学校で21年度から全面実施する次期学習指導要領。
n 小中とも、各校の判断で18年度からの移行期間に先行実施できる。
n 文科省は3月15日まで、改定案への国民の意見を募集し、年度内に指導要領を告示する。
以下朝日新聞(2017年2月15日)より抜粋
小学校学習指導要領改定案
外国語活動・外国語
ポイント
n 小学校3・4年から「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を週1コマ(年間35単位時間)導入し、外国語に慣れ親しむ。
n 5・6年からは段階的に文字や定型文を「読むこと」「書くこと」を加え、外国語科として教科化し、成績評価する。
n 小中の学びを接続するため、語彙や表現などを繰り返し学習して児童生徒の発信力を高める。
目標
n 外国語で「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」を通して、日本語と外国語の違いに気づき、コミュニケーションを図るための基礎的な技能を身につける。身近で簡単なことについて、自分の考えや気持ちを伝える基礎的な力を養う。外国語の背景にある文化に対する理解を深め、他者に配慮しながら主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
主な内容
n 3・4年→日本語と英語の音声の違いに気づくなど、「聞くこと」「話すこと」を通してコミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育てる。
n 5・6年→アルファベット文字や単語などの認識、日本語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴、語順の違いに気づくなど、「読むこと」「書くこと」を加えた資質・能力を育てる。3〜6年で「600〜700程度の語」を意味が理解できるように、または話したり書いたりできるようにする。
中学校学習指導要領改訂案
外国語
ポイントと目標
n 小中高を通じて、「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」の5つの領域別に目標を設けた。
n 中学では、日常的な話題や身近な話題について互いの考えや気持ちなどを即興で外国語で伝え合う活動を重視する。
n 授業は外国語(英語)で行うことを「基本」と記した。
主な内容
n 具体的な課題を設定し、学習した語彙、表現を実際に活用するようにする。「読むこと」には、電子メールなどから必要な情報を読み取る活動を追加した。取り扱う語彙数は、これまでの1200語程度から1600〜1800語程度に改める。
アクティブ・ラーニング
n 「アクティブ・ラーニング」という言葉は使わず、「主体的・対話的で深い学び」という表現に。
n 文科省は「アクティブ・ラーニングという言葉が非常に多義的で、概念が成熟しておらず、法令には使えない」としている。
n 今回の指導要領改定に向けた16年12月の中教審答申では「授業改善の視点」と位置付け、「形式的に対話型を取り入れた授業や特定の指導の型を目指した技術の改善にとどまるものではない」と説明されている。
授業時間数の確保(小学校)
n 小学校では新たに教科化される英語の授業時間を確保するため、多くの学校で時間割編成に苦心している。
n 主な解決策としては@夏休みを削る、Aモジュール学習を行う、の2つである。
n モジュール学習は1回10分〜15分程度の帯時間を利用して、1時間目が始まる前の時間や、昼休み後の5時間目が始まる前の時間に行われる学習である。通常45分で1時間とする授業を、15分×3回で1時間分と数える。
n 15分という時間は、英語に慣れていない児童にとっても“集中力が持続しやすい”などの利点がある。
n モジュール学習は担任の先生にとっても授業の流れをより一定のパターンで構成しやすく、主活動の中身を入れ替えるだけのシンプルな授業案で、児童にとって効果的な授業の実施が可能であるといわれている。
n ただし15分という短い時間で繰り返し教えて内容を定着させるには、計画的な授業実施が不可欠である。
n またそれまで朝学習などで行っていた他の教科の補習(漢字練習・計算練習など)をどこで行うかも問題となっている。