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2019年度 応用言語学特講Ⅰa |
4.Ethnography and Case Study
An Overview of Ethnographic
Research
Ethnography in L2 Writing
Research
An Overview of Case Study
Research
Case Study in L2 Writing
Research
4.エスノグラフィーとケーススタディ
4.1 social turnの成立
Social turn
・成立して約20年の新しいL2ライティングの研究分野。
・言語を習得する上での社会的な過程と文脈の学習に焦点を置いている。
(e.g., Ortega, 2012; K. Richards, 2009; Swain & Deters, 2007;
TESOL, 2014)
・テキストを、社会的または政治的に重なり合った複数の文脈の中で書かれ知識の共同構築が強調されたものとみなす。
SLA研究の歴史の変遷
認知→社会的な枠組み
テキストそのもの→文脈
→エスノグラフィーとケーススタディの誕生
4.2.1エスノグラフィー研究の概要
目的 |
行動や信念、人間社会やコミュニティーのpractice(実践)を記述する。 |
性質 |
・質的(定性的)研究。emic(内的観点から構造を捉えようとする手法)。 ※データ分析の手法も側面に持つ |
特徴 |
・長い期間を要す。長期的なスパンで研究する。 ・調査者はすでにそのコミュニティー内にいなければならない ・より自然でオープンな調査を行う必要がある |
4.2.2 L2ライティングにおけるエスノグラフィー研究
①「何を(テキスト)」ではなく「どうやって・なぜ(文脈)」を調査する。
例)”text-oriented
ethnographic” 研究(Lillis and Curry’s (2010))
・50人のマルチリンガルの学者のライティング経験を収めた。
・テキストデータと複数の下書き、それを元にしたインタビューが収められている。
・長期的な研究デザイン(8年)や学者個人への聞き取り調査も収められていた。
②textography:認知的研究以上エスノグラフィー研究以下
・特定のコミュニティーで産出されたテキストに注目するが、その産出現場やテキストデータを元にしたインタビューも行う。
・構造的な研究または言語分析の分野を広げた。
4.3.1 ケーススタディ研究の概要
※基本的にはエスノグラフィー研究と似ている
目的 |
エスノグラフィー研究とほぼ同様 |
性質 |
研究方法を選択するのではなく、研究対象を選択する。 質的研究と量的研究を兼ね備えている。 |
特徴 |
・時間経過とともに変化する対象の深い研究も可能。 ・特定の個人だけでなく、複数の個人も研究可能。 |
4.3.2 L2ライティングにおけるケーススタディ研究
①よりローカルなL2学習者の社会的または政治的側面を観察できる
例)Yi(2013)
・アメリカの高校の韓国人青年を対象
・どれだけ英語を学問的に習得できているかを調査
②認知的なプロセスよりも社会的なプロセスを重視する
<discussion point>
①実践を記述するという点において、これまでの認知的研究とsocial
turnの違いは何か
②エスノグラフィー研究とケーススタディ研究の棲み分けを行う上で着眼すべき点は何か