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2019年度 応用言語学特講Ⅰa |
【Interviews】
・インタビュー
⇒第二言語の筆記調査で最も広く使用される定性的データ収集方法の一つ
cf. Linguistics and Language Behavior
Abstracts (LLBA) を検索
⇒2000-2013年の主要ジャーナルではインタビューを使用した第二言語に関する記事122も見つかった
・研究内のデータは研究者の観点に加えemic (インサイダー)観点を加え、データの三角測量に寄与
⇒混合法的研究の一部(第5章参照)
ex. 研究結果の深掘りのためデータの定量分析をインタビューで補完
⇔インタビュー(意見・目標・信念・アイデンティティに関する)は被験者の声や視点が中心となるデータの主要/唯一のデータ源である場合が多い
・インタビューの強み
⇒多くの分野での理解がある。
cf. 第二言語研究者⇒インタビューは大規模な定量分析にはない個々の特性や見通しを引き出せることに魅力
(Articles)
⑴Hyland (2013)
・香港の大学、4学科(経営・科学・エンジニア・美術)の20人の教授 (母語:広東語11人・英語9人)
・半構造化したフィードバック付きのインタビューを実施
①学科内の被験者はフィードバックにおいて何に注目するか
②彼らは何を探しているのか
⇒・データ収集と分析過程の情報がほとんどなかった
・各インタビューからの複数の引用で示されている各学科の中の各主題の言及の割合を報告している
⑵Li &
Casanave (2012)
・香港大学の1年生2人(母語:広東語・北京語各1人)と指導者1人(母語:英語)
・同大学生のテキスト、テキストベースのインタビューを分析
①大学のcplagiarismをどう理解しているか
②課題のためにどんな戦略を使っているか
③その戦略と指導者の返答の結果はどうであるか
⇒各生徒に5‐6回、指導者に2回の面接を実施しテキスト分析
⑶Pecorari &
Shaw (2012)
・スウェーデンの大学の8人の指導者(自然科学・エンジニア・薬学分野)
・学生のインタビューと独自のテキストからなるテキストベースのインタビュー
・様々な学科の中の能力がどうテキストに反映されるか
⇒・テキスト選択の細かい記述があったものの分析は少なかった
・インタビューの質問とサンプルテキストが含まれていた
⑷Lo & Hyland
(2007)
・10-11歳の韓国に住む小学生40名を対象
・9名の参加者、思慮深い学生が参加からなるグループ
・新しいライティングプログラムが生徒のモチベーションにどう関連するか
⇒・参加者は異なる熟達度を表すために選出
・広東語での6つのインタビューは従来のプログラム、新しいプログラムを行った後に実行
⑸ Zhou, Busch
& Cumming (2014)
・EAPの学生15名(カナダの大学)
・学生が選んだ筆記課題の半構造型のインタビューとその反応
・ESLの教師の文法習得に向けた目標はどう生徒の目標と一致するか
⇒・2年間のデータ収集
・インタビューの質問を含んでいる
・分析の手続きとコード範疇が明確に示されている
⑹Yayli (2011)
・トルコのEFLの学生を英語教育プログラムで指導し、インタビュー
・被験者は自分の文章についてコメント
①ジャンルを意識した書き方は、そのライティング指導を通してどう影響するのか
②多言語型のポートフォリオはジャンルベースのEFL指導においてどの程度実行可能か
⇒・調査者が指導を行った
・コーディングの過程は簡単にまとめられたが、そのスキームとインタビューの質問は与えられなかった
⑺ Lee (2013)
・ライティング指導教員養成コースの学生4名が香港の大学の面接に参加
・それに関する調査報告
①教師はどのようにしてアイデンティティに影響を及ぼしたのか
②ライティング指導教員養成の過程で何の要素が大きく影響しているのか
⇒・2種類のインタビューを実施
・インタビューの質問を含んでいた
・参加者からの質問に関する共通課題が発見された
⑻Costino &
Hyon (2007)
・アメリカ出身の9名の第二言語学習者を対象
・半構造型のインタビュー
①学生はどうやって多様な言語的アイデンティティを理解するのか
②なぜ学生は話者数の多い、あるいは多言語的な特徴を持つタイプを好むのか
⇒・インタビューの質問とコーディングスキームが含まれていた
・データがコード化されているのかは不明
⑼Li
(2014)
・中国の7つのビジネススクールで北京語による面接
①英語において何が研究者のモチベーションにつながっているのか
②国際的に出版する際どう研究者は協力しているのか
⇒・調査報告にはコーディングスキームが含まれていた
・コーディング範疇に基づいての発見があった
Morton, Storch &
Thompson (2015)
・オーストラリアの大学のEAPの学生13名を対象
・半構造型のインタビューを4-5人にそれぞれ与え、回答してもらう形式
①学術的なライティングを行うこと、年間を通じて変化することに対する学生の理解はどんなものか
②学術的に見て学生自身に認識の変化があったか
③どんな要因がこれらに影響しているのか
⇒・分析手順については最小限の説明のみ
・スキームはコーディングされていない
・調査結果は主にインタビューと作文のタスクから作成
【Purposes for
Using Interviews】
・インタビューが活用された第二言語の筆記研究
⇒フィードバックの統計分析と信念の探求、懲戒的な期待、そして感情的効果へと拡大してきた筆記矯正フィードバックに関する広範な研究
・教授がどうフィードバックを与えるか・第二言語の書き手がどう認識するか
ex. Hyland(2013)の研究
⇒フィードバック実践に関する研究。学生の論文に対する教員のフィードバックの例を用いてインタビューのデータを三角測量。被験者のフィードバック慣行とそれに対する学生の知識または分析スキルについてまとめる
ex2. Li and Casanave(2012)
⇒学生の文章中の借用、orpatchwritingの実例を分析
ex3. Pecorari and Shaw(2012)
⇒盗作とは何か、明確な定義の確立と学生への指導の難しさについての意見を文書化するため様々な学問分野の教員とのインタビューを利用。
指導を書くことに対する学生の態度も分析。
ex4. Lo and Hyland(2007)
⇒香港の学校での新しい授業指導プログラムの研究。学生のやる気と契約に対するプログラムの影響を評価するための、学生へのインタビューが含まれている。
文法指導に対する態度に関する研究:Zhou, Busch and Cumming(2014)
⇒書面による文法の重要性に関するEAPの学生とその講師の態度を比較し、対比するためにインタビューを実施。ジャンル別教育を調査する研究者も第二言語の書き手のインタビューを利用。
ex5. Lee(2013)
⇒香港の学校の教師と協力。は、参加者が自分自身を教師として書くことについてどのように語ったか、およびさまざまな社会的・制度的勢力(例えば香港の英語の場所、執筆カリキュラム)が自己同一性を形成する方法を調べた。
ex6. Costino and Hyon(2007)
⇒Lee(2013)と同様にインタビューを使用し、学部学生が自分自身をどのように識別したか(バイリンガル、ネイティブスピーカーなど)、およびこの自己識別がmultilingual versus mainstream writing coursesの嗜好に影響するかどうかを調査。
ex7. Li(2014)の研究
⇒中国のビジネスアカデミーの出版慣行に関する第二言語のライティング研究。インタビューは、国際的な出版に対する圧力、コミュニティの意識などの問題に関する参加者の声を取り入れている。
【Types of Interviews】
・調査面接は、elicitation method(誘発方法)に基づいて分類可能。
・大部分の定性的調査インタビュー
⇒事前に計画された一連の質問を使用する半構造化フォーマットに準拠(興味深い話題を追求したい場合にはフォーマットを逸脱する可能性も)
⇒対象の話題はある程度の一貫性がありますが、各参加者に尋ねられる具体的な質問は異なる場合がある
≪Discourse-Based (Text-Based) Interviews≫
・談話/テキストベースのインタビュー
⇒被験者は文章を見せられ、特定の機能についてコメント。
・この技術は刺激想起と呼ばれる(例:Zhou et al (2014))が、実際にはthe strict protocols of
stimulated recall(厳密想起のプロトコル)には必ずしも従っていない(第8章参照)
・テキストベースのインタビュー
⇒談話コミュニティの専門家作家の暗黙の知識を活用する手段として提案された(Odell, Goswami and Herrington(1983))
(例)Li and Schmitt (2009)
・中国の修士課程の学生による字句の習得に関するケーススタディ
⇒最初に学生の作文課題の中の字句を識別し、テキストベースのインタビューを行う。
・得られた情報は、研究者によるテキストの分析を補完し、学生の習得プロセスの分析のために使用。
cf. Odell et al (1983)
⇒談話ベースのインタビューの準備における最初のステップは、サンプルテキストと特定のテキスト特徴の選択。時にはこの選択を研究参加者自身がする(Shi(2008), Box 9.1参照)。
・より一般的には、研究者はターゲット現象を例示する様々なテキストを選択。
ex. Pecorari and Shaw(2012)
⇒テキスト借用に対する学生と教員の態度に関する研究
・原文資料を扱うためのさまざまなアプローチを表す学生テキストを選び、インタビュー対象者にそれらについてコメントするよう求めた。
(ディスカッションポイント)
・定性的データとして被験者からインタビューをデータとして利用する際のメリットとデメリットはなにか