筑波大学 人文社会科学研究科                                                現代語・現代文化専攻                                           平井 明代研究室



2019年度  異文化言語教育評価論

 

Chapter 7

ASSESMENT RECORDS:

HOW CAN WE RECORD OUR STUDENTS’ ASSESMENT PERFORMANCE?

 

Introduction

n  教師がclassroom-based assessmentを行う際の手順及び使用するassessment taskは様々であり、生徒を個々に評価する場合もあればペア・グループで評価する場合もある。評価のタイミングについても、単元ごとや学期ごと、年度ごとなど様々である。

n  assessment taskの実施方法も様々であるため、生徒がassessment taskに取り組んだ際のパフォーマンスは、生徒の能力のレベルよりもそのタスク自体の違いによって影響を受けてしまう場合がある。

n  評価の方法についても様々であり、評価者は人間であるため常に一貫した評価を行うことができるとは限らず、また評価者間による違いも生じてしまう。

n  本章ではassessment use argument (AUA) Claim 4に関して、生徒のパフォーマンスに対する評価という観点から論じていく。

 

Assessment development question for Claim 4

n  Claim 4を主張するには、以下の2つの問いに答える必要がある。

1. どんな種類のassessment recordが必要なのか

2. 使用するassessment recordの質はどうなっているか

 

Assessment records

assessment performance: assessment taskに対する生徒の反応のことであり、行動や解答用紙へのマーク、ライティングやスピーキングでの産出、もしくはそれらの組み合わせなどが考えられる。

assessment record: assessment taskに対する生徒のパフォーマンスに対して与えられる評価であり、筆記・口頭での記述や採点が考えられる。

score: assessment recordを採点して報告するものであり、数値での表や段階別の評価考えられる。

 

Identifying the types of assessment records we need

n  assessment recordには筆記・口頭での記述と点数化の2種類が考えられるが、どちらを使用するかはどのような評価を意図しているかによって決定される。

Ø  low-stakesformative decisionにおいて評価を行う場合には、基本的に筆記・口頭での記述のほうが適している。

→生徒に対するフィードバックを含むことができ、それに基づいて生徒がパフォーマンスを向上させることができるため。

Ø  mediumまたはhigh-stakessummative decisionにおいて評価を行う場合には、数値もしくは段階別での採点が適しているとされている。

1. 評価する範囲が広く、適切なフィードバックを与えることが難しいため。

          2. 評価が行われるのが指導期間の終わりであり、生徒がフィードバックを次に活かすことができないため。

          3. 多くの学校では学年の終わりに最終的な評価(進級させるか否か)を決定する際に数値もしくは段階別の採点が必要とされるため。

 

Quality of the assessment records

n  assessment recordをつける教師からは、どの種類のassessment taskを用いた場合でも一貫した評価を行うことができることが望まれている。

 

consistency: 異なる評価方法(assessment task)を用いた場合でも同様のassessment recordを与えることができるという一貫性のこと。

n  どんなに一貫性が保証されている場合においても、完全に一貫したassessment recordは存在しないということを理解しておく必要がある(inconsistency)。

→評価の方法や使用するassessment taskの種類、報告の方法が異なるため。

n  assessment recordの一貫性を保証するためには以下の点に留意する必要がある。

1.使用するassessmentにおいて考えられるinconsistencyの原因を特定すること

2assessment recordinconsistencyの要因の効果を最小化するような方法を特定すること

 

Identifying possible sources of inconsistency

1.         inconsistencyassessmentを行う際の以下の条件によって生じる。

a.異なる時間

b.異なる生徒のグループ

c.異なる教員

2.         inconsistencyassessment taskにおける以下のような違いによっても生じる。

aassessment taskの種類(短文回答、穴埋め、口頭・筆記での応答など)

btaskに解答するために必要とされる情報の違い

   i. 情報の長さ(多さ)

   ii. 言語に関して(文法・語彙・構成など)

   iii. 内容

n  上記のような違いがあるため、単一のassessment taskに基づいて評価を行った場合には一貫性が保証されない可能性がある。

n  生徒のパフォーマンスのサンプルサイズが大きければより一貫した評価が可能となり、小さい場合には一貫性が低くなってしまう。

mediumまたはhigh-stakes decisionでは複数のassessment taskが実施される。

3.         inconsistencyはどのように生徒のパフォーマンスを採点するかにも影響される。

a. 採点の基準(1つの側面を見て他の側面も評価してしまう=ハロー効果)

b. 生徒の反応の数値化

c. 評価者間の違い

 

Minimizing the effects of sources of inconsistency

inconsistencyを完全に排除することは不可能だが、以下の方法によって可能な限りその効果を最小化(minimize)することはできる。

1.         評価を実施する手順を明確にすること。

2.         assessment taskの種類ごとにテンプレートを準備しておくこと。

3.         assessment taskの種類ごとに採点の方法を決定すること。

4.         評価者が採点を行う際、

a. rating scaleを明確にすること。

b. 評価者が複数の場合はrating scaleを使用する練習をすること。

c. 定期的に一貫性をモニタリングすること。

5.         一貫性を保証するのに十分な数のassessment testを実施すること。

 

 

 

Discussion Point

When you assess student’s ability with other raters, how do you eliminate inconsistency of assessment tasks (records)?