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2019年度 異文化言語教育評価論 |
Ch. 1
A NEW APPROACH TO CLASSROOM BASED LANGUAGE ASSESSMENT
n 学生(生徒)の評価を行うとき,様々な問題が出てくる.
Ø いつ,どのくらいの頻度で行うべきか
Ø 言語能力のどの側面を測定するべきか
Ø どのようなタスクや項目を使うべきか
Ø タスクや項目の数はどうするべきか
Ø 採点方法はどうするべきか
Ø テスト結果が一貫したものであることを確証するためにはどうするか
Ø 学生の言語能力に対して有意義な情報を提供しているか
n これらの問題は全て,教師が評価を行うときに直面する問題である.
n また,これらは,読者が生徒の評価を計画するときに対処する必要がある課題を反映しているが,それぞれ異なる評価上の課題と関連している.
n そして,それぞれの問題は独立したものではなく,相互に関係し合っている.
n どのようなタスクを使用するかと言う問いに答えるためには,教師が学生たちに対して言語能力のどのような側面を測定したいと思っているのかを知る必要がある.
n 同様に,いつ,どのくらいの頻度で行うべきかについては,テストで得られた情報で教師が何をしたいかを明確にする必要がある.
n しかし,これらの問題に個別に回答していては,統合的なアプローチにはならず,教師は自信を持てるテストを作成することはできないだろう.
n そこで,本書では,学生を評価する新しい方法を紹介する.
n このアプローチでは,まず,評価をすることによってどのような結果が起こるかと言う疑問を自分 (教師自身) に投げかけることから始まる.
n 例えば,「このタスクを評価で使うことは,私のteachingを向上させるうえでどのように役立つだろうか」や「このタスクを評価で使うことは,学生が勉強をする助けになるだろうか」である.
n このアプローチは,意図した有益な結果を,評価におけるwhat
(対象とする言語的側面)とhow (どのようなタスクや項目を用いるか)につなげることができる.
n つまり,このアプローチは教師の指導の向上と学生の学びの助けの両方につながるものである.
Where
does our approach come from?
n Classroom-based language
assessmentは最新の理論と実践に基づいている.
n 言語評価はこの25年で劇的に発展し,今では,得点を統計的に分析する専門的な活動ではなく,より広義に,社会文化的に埋め込まれたプロセスである.
n また,言語評価は測定機器 (measurement
instrument) ではなく,文化的価値観を反映し,それを実現化させる活動である.
n 言語評価の開発や使用における関心は,測定される能力やそれに対しどのような測定が行われるかではなく,その言語評価を行うことで個人や団体にどのような影響があるかである.
n 言語評価に関する分野は,大人数の受験者に対して大きな決定を行うことに焦点を当てていたが,教師の指導と学生の学習を改善する情報を提供することを含めるために拡張されてきた.
n そして,この分野におけるBackman (1990)やBackman and Palmer (1996, 2010) の貢献は大きく,本書で紹介するアプローチもBackman and Palmer (2010) で紹介されているアプローチに基づいている.
n Backman and Palmer (2010)のアプローチは,大規模なhigh-stakes testの開発や使用に利用されている.
n また,このアプローチは教員養成課程の中で使用されていたり,現職の研修などにも使用される.
n 本書で使用される専門用語や概念,そしてアイデアの多くはBackman
and Palmer (2010) で使用されたものに基づいている.
Why did
we write this book?
n 筆者らは,教師たちと働く中で,教師がテストについて知っているまたは信じていることの多くが彼らの経験に基づいていることがわかった.
n また,テストについての研修や授業を受けた経験のある教師も,大規模テストを開発するための理念やテクニックについて学んだ経験があるだけである.
n 多くの研修や授業で扱うことは,信頼性や妥当性,テストで何をどのように測定するか,そして統計を用いてどのように分析するかについてである.
n このような経験から,筆者らは教室でのニーズに対応した評価のアプローチの必要性を感じた.
n そこで,Backman and Palmer
(2010)のアプローチを教室レベルの評価に応用することを試みたのである.
Who is
this book for?
n 本書で紹介されている活動や例は,言語と文化の違いや教授法に違いを超えて,全ての校種の先生にとって役に立つと筆者らは考えている.
n また,教職を目指す学生も本書から学ぶことは多いだろう.
What is
in this book?
n 本書に含まれている内容は次の6つである.
Discussions
of concepts and procedures
n ディスカッションでは新たなマテリアルを導入し紹介する.
n それぞれのマテリアルは,そのマテリアルが導入されるまでに扱った過去のマテリアルに関連づけて紹介される.
n それに伴い,特定の概念に繰り返し出会うことになる.
Discussions
of Terminology
n 定義については,太字と矢印のビュレットで示す.
Illustrative
examples
n ほとんどの章には,discussionで言及した概念のポイントを解説するための例がある.
Activities
n ほとんどの章には,discussionで言及した概念のポイントを深く理解するための活動がある.
n この活動は,読者の理解を確認するためではなく,discussionで提示される問題に答えるためのものである.
n これらの問題の解答例はAppendix 3にある.
Examples
n Part4では言語評価タスクの例を紹介する.
n これらの例は全ての技能,年齢,能力レベルで利用できるタスクを含んでいる.
n ここであげられる例は,読者が簡単に活用できるテンプレートに使えるだろう.
n また,紹介されるタスクを使用して実際に評価することもできる.
n そのほかのタスク例は www.oup.com/elt/teacher/lact で紹介している.
Other
features
Appendix
1: Classroom-based language assessmentを使用する際のステップをまとめたチェックリスト.
Appendix
2: 評価タスクのテンプレートのまとめ
Appendix
3: 2章と3章内の活動の解答例
より詳しく知りたい人のための推薦図書
What will
you learn from this book?
n 本書を通してClassroom-based
language assessmentを実践するための知識とスキルが身につくと信じている.
n このアプローチを用いることで,生徒や保護者などに対し,根拠と自身を持って評価できるようになるだろう.
Happy reading and happy assessing!
Discussion
Point
Does
meritocracy in language assessment make us fair? |
Meritocracy
-a social system that gives the
greatest power and highest social positions to people with the most
ability.
- a social system, society or organization
in which people get success or power because of theur
abilities, not because of their money or social position
What are the differences between
formative assessment and summative assessment? |