筑波大学 人文社会科学研究科                                                現代語・現代文化専攻                                           平井 明代研究室



2018年度  異文化言語教育評価論


 異文化言語教育評価論IA Vandergrift, L., & Goh, C. C. M. (2012).
Chapter1. Challenges and Opportunities in Listening Instruction (pp. 3?14) Challenges and Opportunities in Listening Instruction

(Discussion Summary) Q1. What are the gaps between teachers’ listening instruction and students’ learning?
指導の焦点と学習に次のようなギャップが指摘されている 1.成果に焦点を当てたテストのような指導になりがち。
・成果とは、聴解問題に正しく答えられたかに焦点当てた指導のこと(e.g., TOEIC やTOEFLなどのテスト形式の練習問題など)
・リーディング指導のような一部の部分に焦点を当てて読む,理解を助けるような質問や指導が少なく,リスニングストラテジーを学ぶ機会が少ない。

2.学習者自身がどのように学び,自分のリスニングの上達を評価すればいいのかという指導が少ない。
・成果を求めるだけで,その際のプロセスやつまずきに焦点が当てられていない。
  →リスニング・プロセスやメタ認知にも焦点を当てるべき。   
 ※近年は,リスニングのテキスト理解のみに焦点を当てるのではなく,コミュニケーション目的のリスニング指導、学習者がどのように聞くかに焦点が当てられるようになってきている。

Q2. What are the differences between three types of listening instruction?
1. Text-Oriented Instruction
・リーディングのような書き言葉のスクリプトを使用し,ボトムアップ的な聞き取り。
・テキストを聞き、聴解問題に答える活動が多く、認知プロセスや言語要素に深く触れない。  
・テキストと学習者という、一方通行になりがち。 2. Communication-Oriented Instruction
・リーディング用テキストのようなものではなく,よりオーセンティックなものを使う。(e.g., songs, movies, recorded conversations for listening) ・コミュニケーション目的であるため,よりスピーキングに焦点が当たってしまいがちで,リスニングによる意味を捉えるプロセスには焦点があてにくい。  
・活動が学習者のパーソナリティにも影響されがちなるのではないか。  

3. Learner-oriented instruction ・学習者がどのように聞くかに焦点を当てる。  
・メタ認知(Metacognition)により焦点を当てる(状況やスピーチによってストラテジーを変えるなど)。  
・学習者自身の気づきやストラテジー(learner strategy),上達のための学習法,心がまえ(self-regulation)を促す。
→より独立した学習者になることを目指す(learner autonomy)。  ・自己の学習に目を向けるため、他人の経験や知識に触れる機会が減る可能性がある。  
・異なるレベルの学習者でストラテジーの指導の難しさが考えられる。