中学三年生の授業におけるスピーキング活動の実践と評価
■本実践の概要
普段の授業の中で行っているコミュニケーション活動の中で生徒の意欲を伸ばすかに焦点をあててペア活動と評価を行い、スピーキング能力の評価基準をあらかじめ生徒に示し目標をクリアにさせてフィードバックに繋げた。
■活動の内容
手順
単語の導入
進出単語の意味を理解し、フラッシュカードを用いて発音練習を行う。
説明
新出単語を使い、会話文を練習させる。
例文の提示
指名された生徒が教師の質問に即興で答える。
ペア活動
誰とペアになってもしっかり活動することを徹底づけ、ローテーションなどを行い次々と違う相手と活動させるようにする。
ライティング
自分の会話内容をそのまま用紙に書かせる。
発表(評価)
班活動
班隊形になり、それぞれの答えを共有しあう。
フィードバック
プリントを集め、良かった意見を全体の場で紹介する。
本文理解
教科書本文に戻り、TFテストや音読練習等を行う。
■活動の留意点
・この実践ではコミュニケーションへの関心。意欲・態度における評価をおこなうため、文法的正確さより意味の通じることを目標とする。
・評価基準として、「1.自分の答えと理由を言える。」「2.自分の答えと理由を、示した例文以外の表現を使って言える。」とし、事前に公表しておく。
・発表内容を書いた紙の中から良かったものを紹介すると同時に、間違いやすい文法項目などの説明も加えると良い。
■効果
今回の活動は「例文に頼らず、工夫して自分の考えを表現すること」を目標とし、評価基準1を満たさないものをC、評価基準1を満たすものをB、評価基準1・2を満たすものをAとした。
対象3年生2クラス64名の評価結果は以下の通り。
A評価となった生徒:32名(49%)
理由でwant toやcan等の提示した例文以外を使って「?したい」や「?できる」と答えた生徒(22名)
上記の文型以外を使って答えた生徒(10名)
B評価となった生徒:30名(46%)
例文をもとに、自分のしているスポーツや楽器をしてほしいと答えた生徒(19名)
例文をもとに、play以外の動詞を使って答えた生徒(11名)
C評価となった生徒:3名(5%)
理由を言うことができなかった生徒(3名)
評価基準をクリアにしておくことでA評価を得た生徒は必ずしも英語上位成績者ではなく、簡単な英語をつかって自分の言いたいことを上手く表現できた生徒だった。つまり、目的を明確化することで、生徒が意欲的に新たな表現を取り入れ活用するように指導することができたと言えよう。
■参考文献
「英語4技能評価の理論と実践」、pp.140~145、実践編B、岡田栄司
■ディスカッション・ポイント
理由を言うことができなかった生徒に対する対応対策をどうするか。
→言えなかった理由を考える。
→どの段階まで考えられたのかをはっきりさせる。
→事前に例を挙げ、生徒が考えやすいように指導する。