英語スピーキング指導ハンドブック

実践編9

 

人文学類3

Y.N.

 

9.3 その他のスピーキング活動の具体例

(1) 即興会話とレポーティング

即興会話などでのスピーキング活動は表現の自由度が高く生徒にスピーキングやリスニングにおいて大いに楽しませることができる。

1.    生徒二人で固定ペアをつくりトピックについて自由に会話する

2.    ペア以外の人と二人でクラスの前にでて同じトピックで会話をする

3.    別の一人の生徒がアナウンサー役になり、発表した生徒の会話内容をクラスに報告する

4.    同じように全員がクラスの前での活動をこなしていく

5.    ペアやクラスでレポートしたことをノートに英語で書かせ、授業後に提出させチェックする

  発表者は声量やスピードアイコンタクトの取り方に注意する

必要に応じクラスがアナウンサーを援助する

→「聞く」「読む」「書く」活動との統合を図りながら系統的にスピーキング活動を進める

 

(2) コミュニケーションカードの活用

授業外に教師と英語で自由に会話をする度にカードにスタンプなどを押す

→リラックスした雰囲気で身につけた英語表現を実際に用いる機会として有効

 

(3) レシテーション

身近な話題を題材とした英文のレシテーションをすることで実際の場面でのコミュニケーションを学び、それを参考にして自己表現を広げやすくなる。

@    キーワードを提示したレシテーション

A    ストーリーやスピーチのレシテーション

B    表現や表情を意識したレシテーション

 


9.4 終わりに

スピーキング活動は、、、

・他人とのコミュニケーションを楽しんだり、自分とは違う意見を聞き見識を深めたりすることで生徒の学習意欲を広げさせ、活動量を増やすことができる

  随時評価と一体化させ、各生徒にフィードバックさせながら進めるために、年間指導計画に基づいた系統的な指導と並行して、授業中の活動状況や発表などによる系統的な評価を行い指導に生かす必要がある。

 

背景情報5

チャンツからスピーキング活動へ

1.    クラスみんなでチャンツを使ってリズムを作ろう

・クラスみんなでリズミカルなチャンツを楽しむことで、生徒の気持ちをほぐし、授業への全員参加とクラス全体のチームワーク作りの態勢を整えることができる。

・音楽等を使っても良いが、生徒の発音やリズム・イントネーションを確認するためにペンで机をたたいて行うのもよい。

(1)  チャンツの目的

  チャンツは日常的な内容の英文をリズムに乗せて表現したもの

  英語のリズムの体得はリスニングやスピーキングに有益である

  楽しみながら語彙、文構造、発音、英語のプロソディを習得するのが目的

(2)  チャンツの効用

  楽しく、クラスの雰囲気を明るくすることができる

  短時間で活動できる

  英語特有のリズム体得につながる

  授業の活動に取り組む前の発声練習になる

  授業の活動で使用する語彙や文構造の使用が可能であり、教科書とは異なる英文も提供できる

  自由会話や自己表現に発展させることができる

(3)  チャンツ指導の手順

@    教師のモデルによりチャンツ全体のリズムを紹介する

A    教師の後について英文の発音を練習する(リズム無し)

B    内容を理解する

C    教師がリズムをつけチャンツを読み、生徒が教師の後について繰り返す

D    強弱のリズムをつけながらペン先を机に打ち、Cを繰り返す

E    慣れてきたら徐々にスピードを上げ、会話で英文を使うときのノーマルスピードに仕上げる

 

2.    チャンツからスピーキング活動へ

・チャンツの指導により、数文からなる応答が徐々に身につく

→チャンツの文が自己表現のモデルとなり、自分が聞きたい質問や答え方をマスターしていく

・「9 スピーチ・レシテーション指導」で紹介したように即興会話とレポーティングの活動に発展させることも可能である

 

 

 

ディスカッションポイント

レシテーション活動がスピーキング能力の向上にどれほど効果があるか。

 

実例1:原稿をチラ見しながらの発表は行っていた

人前で話すことによりスピーキングの度胸がつく。また原稿が飛んだ際にリカバリーをするように意識できる

→要点を押さえておくことにより、スピーキングのストラテジーが身につく

 

実例2:大学の英語の授業でおこなった

人に伝えるという意識があり、聞き手の存在を意識するため、発音等に気を使って活動することができ、スピーキング向上につながると思われる。

 

実例3:中学の授業で物語文の登場役になりきり、グループで暗唱して発表した

教科書の文の暗記のため語彙の獲得につながる。現在でもフレーズを覚えていたりする。

評価点として、発表者の感情表現などを見ていたので、文章理解は前提条件となり、深い学習につながる。