6.教科書を発展させる

一通り教科書の内容理解を終えた後に行うべき活動は教科書の英文を再利用することである。教科書の再利用は以下のようにして実施することができる。

 

Step1

教科書の一部をそのまま再利用する。

教科書の一部を言い換えて利用する。

Step2

対話形式を報告文にする。

教科書の本文を要約する。

教科書の内容をもとに推測する。

教科書にかかれている内容について意見を述べる。

Step3

書かれている視点を変えて編集し直す。

教科書本文の続きを創作する。

書かれていない情報を調べて発表する。

 

 教科書の内容理解の直後に本格的な表現活動を行うことは、英語力が相当高い生徒以外にはハードルが高い。そこで上記の「教科書の再利用」を本格的な表現活動の前段階として実施する。

 

6.1 教科書の一部をそのまま再利用

 教科書本文の内容と同じ状況で生徒自身の意見を尋ねる。ここでは、生徒に教科書と同じ表現を使用するよう指示する。

 

6.2 教科書の一部を言い換えて利用

 「一部を言い換える」というのは、文構造はそのままに単語レベルで教科書の本文を変換していくことである。この際、登場人物や筆者になりきることが効果的である。

 

6.3 ダイアログをモノローグへ変換

 生徒一人一人の発話量を増やすために有効なのが対話文を報告文にする作業である。この作業により内容理解を深めることができ、同時に第三者に報告するという目的が生まれる。

 

6.4 教科書の本文を要約

 他人から聞いた内容や読んだ内容を第三者に伝える際に不可欠である要約という作業を、教科書を用いて行う。要約には以下のような方法がある。

・全体を読んだ後、話題の流れが分かるようにキーワード(と思われる語)を抽出する。

・話題の核となるアイデア(main idea)を理解し、上記のキーワードから最重要語句を絞り込む。

・キーワードを中心に記述し、目的に応じて長さを調整する。

 

6.5 教科書の内容をもとに推測

 推測とは、生徒が教科書の記述に対して意見を述べる際に、本文の記述に基づき主張の論拠を組み立てることである。

 

6.6 教科書に書かれている内容に対する意見

 教科書のないように対して生徒の意見を表明させたい場合には以下の方法で行うとよい。

”You said that~ , but I think so. I have two reasonsのようなフレーズで本文中の記述について述べてから自身の意見を言う。

・教科書の記述に対して教師が反論文を書き、その反論文に生徒が反論する。

 

6.7 書かれている視点を変えて再編集

物語や人物紹介といった内容の場合には、視点の変更(第三者⇔主観)を行うことで生徒の創造力を育成することができる。

 

ディスカッションポイント

◎教科書の再利用を中心に授業を展開した場合、生徒が教科書の内容だけを暗記して文法事項の確認を怠るようになってしまう恐れがあるのではないか。また、生徒がそのような学習法をとらないようにするにはどうしたらよいか。

 

<改善案>

 ・生徒自身の考えを言ってもらうように質問を変化させる(例えば、教科書本文内において’Do you like winter? Why?’といった内容が取り扱われていた場合には、’winter’の部分を’summer’に変えるなどの工夫をして生徒自身に考えさせてみる)

 ・知識の定着を測る際に穴埋め問題をやってもらう

 ・教科書本文における文法の種類を変えてみる(例:過去分詞→過去形など)

 <反対意見>

・暗記の際に必然的に文法事項も定着してると考えられるため、教科書の再利用で十分で     

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