英語スピーキング指導ハンドブック
実践編1 導入活動:中学校
人文学類3年
Y.N.
授業において新出事項を扱う際、生徒の理解を深めるためにどのような手順や方法を用いるか、どのような話題でオーラルインタラクションをすれば効果的なのかを中学校の教科書の実例を用いて考える
1.1オーラルインタラクションの進め方
新出事項や教科書本文の導入
→既習語句や理解しやすい単文を用いて重要語句の内容や紹介を行う
オーラルインタラクションを進める際
→生徒を集中させるため教科書は閉じた状態
1.1.1オーラルインタラクションの進め方の留意点
(1) teacher talkを通して生徒に語りかける態勢
・話すスピードや語彙や英文の難易度は学習にあった適切なものを用いる
・内容理解の助けとなる視聴覚教材や教師の身振り手振り、表情の活用
・生徒が理解できない反応を示した場合
→繰り返し、言い換え、スピードを緩めるなどして即座に対処する
(2) 発問の工夫
良い発問をしたとき生徒はヒントを掴むためテキストを繰り返し読み、文字を解釈する表面的な内容理解から徐々に深みのある理解へと広がっていく。解釈や状況予想などでは人とは違う答えを思いつく生徒もいる。
→「みんなの答えを聞きたい」と生徒や教師が思えるような発問を準備し生徒の学習意欲を高めることが望ましい
(3) 生徒の応答を活用
応答を教師先導の一方的なものではなく、生徒の発言にたいして他の生徒がどう思うかなどを尋ね、「生徒対生徒」の活動へと拡大させる。
→生徒が常に他の発言に注意をして聞き、準備態勢をとるようになる
(4) 生徒の興味や集中力を持続させる工夫
生徒が常に集中状態を保つことは難しい。場面により取り組みかたや雰囲気を変え、興味や集中力を持続させる工夫が必要である。
→各単元や各授業のゴールに向かってスモールステップを踏ませ、生徒にとって無理のない授業展開にすることが大切
1.1.2授業者としてオーラルインタラクションを考える手順
生徒の学習状況を理解した上で、どのようにオーラルインタラクションを行うかについての思考手順
(1)スモールトークの作成
(2)教科書の内容理解
(3)新出構文や語句の確認
(4)題材への動機付け、インプット内容と方法を熟慮
(5)視聴覚補助の活用内容の決定
(6)指導目標の再確認
1.1.4オーラルインタラクションの内容作成と実際
【教科書本文】
Emma: What do you
have in your hand?
Ken: I have a
shamisen pick.
Emma: Shamisen?
Cool. What music do you play?
Ken: I play
traditional Japanese music. but I don’t play it well.
(I do not…とWhat do you…?は前時に学習を終えたものとする)
オーラルインタラクションでどのようなやり取りをするかを決める際、生徒の状況を頭に浮かべると考えやすくなる
ex.)・Emmaはどこの国から来たか生徒は覚えているのだろうか
・生徒たちは実際に三味線をみたことがあるか
・生徒はtraditional Japanese musicをどのようなものだと考えているか
1.2インタラクションに関するQ&A
オーラルインタラクションによって導入した内容に関する質問をすることで生徒の理解度の確認やどのようなフィードバックが必要かなど、授業者としての判断に役立つ
授業過程においては、一つの活動がその次に控える活動へのレディネスとなるようにし、活動を通しての指導が次々に単元目標へと一筋の道のようにすすんでいけるように、全体の指導過程を考慮しなければならない
【ディスカッションポイント】
オーラルインタラクションを用いることでの教師の負担や授業の障害にはどのようなことが考えられるか。
・
視聴覚教材の準備など、事前準備が負担となる
・
生徒の反応によっては授業が計画通りに進まなかったり、授業時間内に収まらなかったりなど、進度に影響を及ぼす。
・
反応が悪い生徒や理解が遅い生徒など、個人差によって授業をスムーズに行えない可能性がある。
・
生徒対生徒の関係を重視する点では、生徒間同志の人間関係の把握などにも気を使う必要があると思われるが、英語だけを担当し、クラスを常に担当するわけではない教師としては難しい問題かもしれない。