語彙+スピーキング+ライティング [大学]
ペア会話による語彙学習と技能統合的活動の実践と評価
1. はじめに
スピーキングタスクのタスク性の高さの度合いを測る項目
・グループワーク
・活動終了の明確な指示
・アウトプットが残る
・実生活との関連
・意見の交換
→コミュニケーションを行って新たな情報を得るために必要な活動である。
◎本稿では語彙学習を目的とした「意見の交換」を重視したペア活動を実践する。
2. 語彙とスピーキングとライティングの技能統合的活動を取り入れた指導
2.1 活動の概要と目標
対象:習熟度別クラスの初級レベルに属する大学1年生
目標:スピーキングとライティングを通した序数の表記方法の確認と星座の語彙の学習
2.2 活動プラン
時間:授業冒頭の15分程度
タスク:スピーキングタスク+ライティングタスク
◎スピーキングタスクでの相手の発話を英文として記述させるライティングタスクを課す。
→コミュニケーションの意義を感じさせる。
2.3 語彙とスピーキングとライティングの技能統合的活動
@事前に発音練習させた12星座の英語をウェブ上に提示
A”When in your birthday?”
→“Who gives you presents on your
birthday?”
→“What is your sign” の順にペア同士で質問・回答
B質問に対する自分と相手の両方の回答を画面に入力
※PC環境がない場合はハンドアウトなどで代用
3. 語彙とスピーキングとライティングの技能統合的活動の評価
3.1 評価方法
アウトプットされた学生の回答を評価対象にする。
3.2 語彙とスピーキングとライティングの技能統合的活動のためのタスクを通しての評価
英文1文3点×6問の18点満点
第1問:”It is”または”It’s”の使用、「月」の表記、「序数」の表記について各1点
第2問:主語の使用に1点、代動詞の使用または動詞+目的語の使用に2点
第3問:つづりミス等は1点減点、星座名がない場合は2点減点
3.3 学生へのフィードバック
個別に間違いを訂正し、点数化して返却。頻度の多かった誤りの例を授業でクラス全体に説明し、誤りを訂正したものを再提出させる。
4.結果と課題
平均点は約12点。(1英文平均2点以上)
相手の回答で人称を変化させない誤りの例が多く見られた。また、序数の表記ミスも頻発していた。
5. まとめ
学生も楽しく活動に取り組めていた。
◎語彙学習だけでなく、スピーキングタスクとしても有効で学習効果も高いといえる。
<ディスカッションポイント>
・中高生を対象とした時にどのような課題が作成できるか。
今回のタスク内容の難易度からしてみると中高生でも十分に対象にできるものであるが、星座はあまり実用的なものではない。
→月や国名などシリーズ化してできるものが題材としてより良いのではないか。
・この活動を継続することにどのような効果があるか、これをもとに応用させるとしたらどのような活動が可能か。
授業のアイスブレイク的に、帯活動として取り入れると良いのではないか。
→15分ではなく5分程度で簡単にできる。
→問題作成などの点からも教師側の負担が大きい。
語彙+リーディング+リスニング+ライティング[大学]
動画鑑賞による語彙学習と技能統合的活動の実践と評価
1. はじめに
NATIONAL
GEOGRAFICシリーズ
…1本3〜8分程度。語彙レベルやジャンルごと(科学、活動など)に分けられている。
◎動画鑑賞は4技能や文法、語彙、音声など実際に学んだ英語力を確認する場となり得る。
2. 語彙学習とリーディングとリスニングとライティングの技能統合的活動を取り入れた指導
2.1 活動の概要と目標
対象:習熟度別クラスの初級レベルに属する大学1年生
目標:リーディングとリスニングとライティングの活動を通した、動画に登場する語彙の学習
2.2 活動プラン
時間:授業最後の約15分間
活動:リーディング(動画の英語字幕を読む)+リスニング(英語音声を聞く)
+ライティング(感想を英語で書く)
2.3 語彙とリーディングとリスニングとライティングの技能統合的活動
NATIONAL
GEOGRAFICシリーズ1000語レベルから”Puffin Rescue!” (約3分) を使用
@動画の内容についての事前知識(あらすじなど)を英語で説明
A動画に登場する語彙(pier, fortunatelyなど)について意味や用例の確認
B音声と同様の英文字幕を提示して動画を流す。
C動画終了後、感想を英語で書く。
(事前に確認した語彙を少なくとも2語以上使用、2文以上書く)
※時間に余裕がある場合はペアで感想を話し合う。
3. 語彙, リーディング, リスニング, ライティングの技能統合的活動の評価
3.1 評価方法
英語で書かれた感想文を対象に、「質」「量」「提示した語彙の適切な使用」を中心に評価
3.2 語彙, リーディング, リスニング, ライティングの技能統合的活動のための動画鑑賞タスクを通しての評価
質:内容・文法・構文・使用語彙を総合的に評価して2点満点で採点
量:2文以上書かれていれば1点
提示語彙の使用:1語使用につき1点で2点満点
3.3 生徒へのフィードバック
個別に間違いを訂正し、点数化して次の授業までに返却。典型的な誤りの例や良い感想の例などを授業中クラス全体に説明して共有する。
4. 結果と課題
3割程度の学生が満点。
動画の英語レベルを学生に合わせて調整できるため難易度も適切。
今後は英語字幕を見せずにどれくらい内容を聞き取り理解できるか等をタスクとする。
5. まとめ
NATIONAL GEOGRAFICシリーズは再生時間、難易度別になっていること、題材の興味深さなどの点からして良い教材である。
◎語彙学習に加え、リーディング、リスニング、ライティング、時間があればスピーキングを統合させた活動とすることができる。
◎事前説明を取り入れることでスキーマの活用の指導にもつながる。
<ディスカッションポイント>
・動画を用いた授業で語彙学習を中心としたものを行ったことがあるか。
あまりない。
・感想を書くというもの(2.3C)に代わる、より効果的なライティングタスクは何か。
学習した新出語彙をできるだけ多く用いる、できるだけ多くの文を書くという課題に変
更すると良いのではないか。
→満点を決めずに評価を加点制にする。
感想だけではなく動画内容の要約もさせる課題にすると良いのではないか。
→時間がかかりすぎてしまう、タスクとして重すぎてしまうのではないか。
→動画視聴後に内容のトランスクリプトを配布するとよいのではないか。
学んだ語彙を用いて全く異なる文脈で使わせて作文させるタスクにする。
→効果的かもしれない。
→教師の採点も負担がかなり大きくなってしまう。
○教師の指導力が大きく関わってくる。
動画を見る時にキーワードの使い方などを注意して見るように指導するなど、より負荷をかけたタスクになるように工夫する。
評価などに関してもペア活動としてできるものはペアでやる。