段階的活動でスピーキングを磨く授業
第3章「スピーキングの評価」ルーブリック評価の活用

1.初めに
今回の章ではスピーキングの評価方法としてルーブリックが取り扱われていた。このルーブリックは評価規準と判断基準を合わせたものであり、今日の英語教育にも徐々に取り入れられている。そこで今回は実際に教育現場で扱われている事例を紹介する。

取り扱い文献
段階的活動でスピーキング力を磨く英語授業 : 中学校2年英語科 Unit 5 A New Language Serviceにおける対戦型スピーチを通して (横山、田中 2014)

2.特徴
本来ルーブリックは元から定められており、それを教師が応用するというものであるが、この論文にある授業では生徒とともにルーブリックを作成している。
取り扱われている学校ではディベートを行っており、各学年に段階的に課題を与え、最終的にディベートを行うシステムである。

3.ルーブリックを取り入れる目的
ルーブリックはスピーキングにおける総合的評価を行う際に必要なものであり、評価規準と判断基準を併せ持つものである。
このルーブリックを導入する目的として学生の取り組みを評価することと学生の課題を仕上げるよう導くことがあげられる。
取り組みの評価については、それぞれの取り組みについて特徴をあらかじめ詳細に知ることができ、教員は学生を評価する際に実際の活動と比較してレベルと一致するかを確認するだけでよいとされている。
また学生の課題の完成については、特定の分野に対する直接的な学生の注目によって学習を促進させるためにルーブリックが使われるとされている。

4.生徒とともにルーブリックを作成
本来は教員が評価を行うため、ルーブリックについても熟知しまた自らの判断基準も考えておかなければならない。しかし、この学校ではルーブリックの計画から生徒自身たちが携わっている。
これには、生徒と教員が共同で作業しながらルーブリックを考えることで、生徒自身に見合ったルーブリックを作成することができるという利点があるとされている。

5.ルーブリックの作成
生徒とルーブリックを作成する場合、初めに教員の方でルーブリックの敲き台のようなものを作成する。これは教員が学ぶ単元で何を身に着けてほしいかを明確にし、教員として観察する生徒の興味関心や実態を鑑みて作成する。
次に生徒に課題(パフォーマンス)を提示し、それに必要な要素を洗い出し、教員が助言しながらルーブリックを作成する。
適宜修正しながら最終案まで作成をしていく。

6.ルーブリック共同作成の効果
ルーブリックを共同で作成することで、生徒自身に沿ったルーブリックを作成することができ、目指すべき姿を意識することが容易にできるようになった。また、必要な要素を考えることで重点を置く個所が部ループごとに異なり、違いが出る発表になった。
しかし、学年を超えての活動になると課題の種類に対応することができるような仕組みを作り、目指すべ姿を示す必要がある。これにより継続的かつ段階的な指導を行うことができるようになる。

7.ディスカッションポイント
学生の実情によってルーブリックを作成することは目標を下げることにつながるのではないか?
└自分の実力を甘く見て評価を引き下げ、高評価を得やすくすることも可能ではないか?

8.参考文献
Articulating Teachers’ Expectations afore: Impact of Rubrics on Chinese EFL Learners’ Self-Assessment and Speaking Ability (Yu, Min 2015)