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2020年度 英語教育学Ⅶ |
Testing grammar and vocabulary
H.K
Why test grammar?
■文法の独立したテストは正当化できるのか。
■文法構造の統制は言語能力の核心と見なされていたため、かつてはテストしないことは考えられなかった。
■しかし、習熟度テストでは言語能力を直接テストすべきであるという考え方に変わってきたため、文法構造のテストの実施は議論の対象である。
■言語能力を直接テストするほうが、波及効果が見られ、文法構造を単独でテストするものよりも好ましいとされる。
■いまもなお習熟度テストに文法項目が含まれている理由は、短時間で評価ができるためである。
■またテストの妥当性も重要である。もしライティングテストを実施する場合、1つのテストでは扱えるトピックや形式は限定されてしまうため、使用するサンプルが、すべての文法項目の可能性を含んでいると言い切れない。
■さらに、習熟度テストの文法テストでも、すべての文法項目・要素が含まれているとは言い切れない。しかし、多くの項目があることが文法の特徴であることは文法テストの利点である。
■現状、習熟度テストで文法構造をテストすることに疑問を感じていても、どの教育機関でも文法構造をテストすることには意義がある。(波及効果のため)
■教育機関では、生徒を目的に応じた最適なクラスに入れるために、生徒の文法能力を知ることが有効な情報であるため、プレースメントテストでは文法項目を入れる余地がある、。
■もし、文法項目にどのようなギャップがあるのかがわかる文法診断テストというものがあれば、教師にも学習者にも便利である。
■そのためには、テストが学習教材とリンクしていることが重要だが、包括的な文法診断テストは存在しない
(第3章より)。
Writing specifications
■教育目標やシラバスに指導すべき文法構造が記載されている達成度テストでは、内容の指定は非常にわかりやすい。
■世界のあらゆる地域で、シラバスなどをCEFRにあわせる傾向が強くなっている。
Sampling
■指定された構造から広く選択することで、テストの内容的妥当性を与えようとする試みが反映される。
■何らかの理由で、もっとも重要な構造であると考えられるものを考慮する必要がある。
■テストがしやすい構造ばかりに焦点をあてるべきではない。
Writing items
■テストを行う際には、アイテムであるテキストが文法的に正しく、自然に書かれていることが重要であるが、実際にはそうではないことがある。
■不自然な語彙・文法の使用を避けるために、コーパスの例文を使用することを推奨する (例
British National Corpus)。
■文法をテストする方法として、空欄補充問題、パラフレーズ問題、本文完成問題、多肢選択式問題の4つのパターンが挙げられる。
■上記4つのうち、多肢選択式問題以外は受験者側による生産的活動であり、多肢選択式問題では受験者は解答を認識することだけが求められる。この差異が手法を選択するときの要因になると考えられる。
空欄補充問題の場合
■空欄補充問題では、上記の問題のように解答は1つに限定されるべきであるが、2つ考えられるような場合は、どちらが使っても意味が同じであれば許容範囲である。
Paraphrase
■パラフレーズでは、与えられた文章と同じ意味の文章を書くことが求められる。
■テストする文法事項を限定するために、パラフレーズの一部分を生徒に与えることは役立つ。
■パラフレーズアイテムの焦点は、文法的・語彙的、あるいはその双方である。
Completion
■様々な構造のテストに使用できる。
■テキスト全体を読み、文を完成させる問題
Multiple Choice
※使用の詳細や注意に関しては第8章を参照してください※
■穴埋め問題では測れない場合に多肢選択式問題を採用する。
■例えば、
They
left at seven. They be home by now.
のような空欄補充問題の場合、答えにいくつかの可能性が考えられる。ここで、正答をcouldにしたい場合は、会話文のようにYes,
but we can't count on it, can we? と続けて、正答を絞ることも1つの手段である。
しかしcouldを確実にテストするためには、多肢選択式の問題が有効である。
READER ACTIVITIES
2. Con
you see anything wrong with the following multiple-choice items taken from
tests written by teachers (use the checklist given as Table 2 in Chapter 7).
a. I said to my friend' be stupid.'
Isn't Aren't
Didn't Don't be
直接話法の知識を問う設問。Don’t be はbeが続くため不適切。そのため正答なし。また、Don’t beを除くと選択肢3つなので、選択肢の数が少ないのではないか。
b. What you
do if your car broke down?
must did shall
What would you do~? が自然であるだと考えた。また、こちらも選択肢の数が不足していると思われる。なお、錯乱肢shallは What shall we do? の表現で用いられるため、効果的かもしれない。
c. You are too thin. You should eat .
many more a few
thinの意味が分からないと解けない問題である想定すると、選択肢にlessを追加してもいいかもしれない。
d.
I'm sorry that the child saw the accident.
- I don't think it matters. He soon it.
is forgetting forgets
will forget will
be forgetting
soonがあることで解答が限定されるため、適切。なお、soonの位置が気になる。
e. People in their reaction to the same stimulus.
replace vary upset
very
錯乱肢としてveryは不適切かと思う。very とvaryを見間違える、もしくは見覚えのある単語だという当て推量が起きる可能性もある。
5. Look at the paraphrase items from the Cambridge
English B2 First Handbook on pages 181 -182. For each item, identify whether it
is testing grammar, vocabulary, or both. Compare with a colleague.
25. Joan was in
favor of visiting the museum. IDEA
Joan thought it would be to the museum.
Joan thought it would be a nice idea to go to
the museum.
in favor ofの意味を理解していないと難しいのではないかと感じたため、語彙をテスティングしている。
26. Arthur has the
talent to become a concert pianist. THAT
Arthur
is so could become a concert pianist.
Arthur
is so talented that he could become a concert pianist.
talentの形容詞を知っていることと、so-that 構文の知識も必要であるため、語彙と文法双方をテスティングしている。
27. “Do you know
when the match starts, Sally?” asked Mary. IF
Mary
asked Sally time the
match started.
Mary
asked Sally if she knew the time the match started.
仮定法の知識が問われているので、文法をテスティングしている。
28. I knocked for
the ages at Ruth’s door but I got no reply. LONG
I knocking at Ruth’s door but I got no reply.
I spent
a long time knocking at Ruth’s door but I got no reply.
For the agesの意味を知っていないと解けないのではないか。語彙をテスティングしていると思われる。
29. Everyone says
that the band is planning to go on a world tour next year. SAID
The band
planning to go on a world tour next year.
The
band is said that they are planning to go on a world tour next year.
saysからsaidの受動態の活用を求められているので、文法をテスティングしている。
30. I’d prefer not
to cancel the meeting. CALL
I’d
rather the meeting.
I’d
rather not to call off the meeting.
callを使用するイディオムの知識が求められるので、語彙をテスティングしている。
Discussion
Questions
1. How do
you devise a grammar test to help students learn to speak English?
文法ができるからといって、その生徒が必ずしも英語を話せるとは限らないと思います。教員になったと想定して、生徒が学んだ文法によって英語を話せるようにするために、文法テストをどのように工夫しますか。
2. The
conversational style found in multiple-choice questions provides learners with
hints. If you were a teacher, how would you devise choices and conversational
phrases so as not to give too many hints?
多肢選択式問題では会話調になっている問題が見られます。解答を1つにするためのヒントとして与えられていると考えられますが、もしあなたが教員なら、ヒントを与えすぎないようにどのように選択肢や会話文を工夫しますか。