1.5単位 2・3年次 秋ABC木2
橋本康二
分析哲学において存在、認識、論理、意味、心、行為などの問題がどのように論じられてきたのかを考察する。
AC31551と同一。
現代哲学I(AC31011)の単位取得者は履修できない。
講義
哲学のテキストの読解力を養い、哲学的に考える方法を身につける。
哲学
分析哲学を学ぶためには論理学の初歩的な知識が必要となるので、最初の数回で論理学の基礎的事項を学ぶ。次に、分析哲学の古典的な論文を取りあげて、そこで論じられている哲学の諸問題を考察する。
第1回 | オリエンテーション:分析哲学とはどういう学問であるのかを概観し、授業の進め方や評価方法などを説明する。 | ||
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第2回 | 伝統的論理学:アリストテレスによって完成された伝統的論理学(三段論法論理学)の基礎を学ぶ。 | ||
第3回 | 現代論理学1:フレーゲによって創始された現代論理学(古典論理学、記号論理学)の基礎である命題論理学を学ぶ。真理関数的結合子とその意味について。 | ||
第4回 | 現代論理学2:命題論理学の続き。真理関数結合子に基づいた妥当な推論について。 | ||
第5回 | 現代論理学3:より進んだ論理である述語論理の基礎を学ぶ。名前と述語と量化子について。 | ||
第6回 | 現代論理学4:述語論理の続き。量化子に基づいた妥当な推論について。 | ||
第7回 | フレーゲの「意義と意味について」:固有名や文は何を意味するのか、また、それを理解するとはどういうことなのかを考える。 | ||
第8回 | ラッセルの「指示について」:確定記述(英語ではtheで始まる単数名詞句)の意味を分析し、存在しないもの(例えば、the present king of France)について語るとはどういうことなのかを考える。 | ||
第9回 | ラッセルの「真理と虚偽」:我々の信念はいかなるときに真(または偽)になるのかを考える。 | ||
第10回 | ラムジーの「事実と命題」:人間の欲求と行動からその信念内容を確定する方法について考える。 | ||
第11回 | ヘンペルの「意味の経験論的基準における問題と変遷」:有意味な文と無意味な文の間に明確な境界線を引くことができるか否かを考える。 | ||
第12回 | シュリックの「事実的ア・プリオリは存在するか」:世界についての必然的な真理は存在するのか否かを考える。 | ||
第13回 | クワインの「経験論のふたつのドグマ」:真理を必然的な真理と偶然的な真理に二分することが可能か否かを考える。 | ||
第14回 | グッドマンの「帰納法の新たな謎」:ヒュームが提起した帰納法に関する古典的な懐疑を概観した後、エメラルドの色は今後も緑色であると果たして言えるのかという帰納法の新たな謎を考える。 | ||
第15回 | サールの「心・脳・プログラム」:人間の心とは計算する機械(コンピューター)にすぎないのかという問題を考える。 |
ほぼ毎回、宿題を課し、その提出状況と内容に基づいて評価する。
1. 神野慧一郎(編)『現代哲学のバックボーン』(勁草書房、1991)
2. 竹尾治一郎『分析哲学入門』(世界思想社、1999)
3. 竹尾治一郎『分析哲学の発展』(法政大学出版局、1997)
4. 大庭健『はじめての分析哲学』(産業図書、1990)
5. 服部裕幸『言語哲学入門』(勁草書房、2003)
6. 野本和幸/山田友幸(編)『言語哲学を学ぶ人のために』(世界思想社、2002)
7. W. G. ライカン『言語哲学』(勁草書房、2005)
8. 飯田隆『言語哲学大全 I』(勁草書房、1987)
9. 飯田隆『言語哲学大全 II』(勁草書房、1989)
10. 野本和幸『現代の論理的意味論』(岩波書店、1988)
11. 内井惣七『科学哲学入門』(世界思想社、1995)
12. 小林道夫『科学哲学』(産業図書、1996)
13. ティム・クレイン『心は機械で作れるか』(勁草書房、2001)
橋本康二 水曜6時〜6時半
人文社会学系棟A819 http://www.u.tsukuba.ac.jp/~hashimoto.kouji.fu/
khashimo■logos.tsukuba.ac.jp(■は@に置き換えて下さい)
(1)7回目以降の授業では、必ず指定された論文を読んでから授業に臨むこと。
(2)スケジュール表の論文の最初の数本が収められている以下の本は教科書売り場で販売される予定なので、各自で必ず購入しておくこと。坂本百大(編)『現代哲学基本論文集 I』(勁草書房、1986)。その他の論文の入手法については、授業中に指示する。