授業科目

現代哲学 I

単 位 数:2

標準履修年次:2〜4

担当教員

橋本康二

実施学期:1

曜 時 限:金5・6

I 主旨
現代哲学の主潮流の一つである分析哲学・科学哲学の古典的な論文を読んで、現代哲学の諸問題を考える。言語、意味、指示、信念、真理、経験、検証、帰納、存在、論理、数学、科学、行為、コミュニケーション、心など様々な事柄について何が問題になっているのかを知ることが、この授業の第一の目的であり、論文を読む力をつけることが第二の目的であり、議論する能力を養うことが第三の目的である。なお、取りあげる論文はすべて日本語訳を使用する。

II 内容
1コマにつき1本(したがって1日で2本)の論文を検討する予定。授業では、最初に受講者全員から疑問や意見を提出してもらい、それをもとにして議論をおこなう。スケジュールは以下の通り。

    4/15 (オリエンテーション)
    4/22 フレーゲ「意義と意味について」、ラッセル「指示について」
    5/6 ストローソン「指示について」、ラムジー「事実と命題」
    5/13 タルスキ「真理の意味論的観点と意味論の基礎」、ヘンペル「意味の経験論的基準における問題と変遷」
    5/20 グッドマン「帰納法の新たな謎」(『事実・虚構・予言』第三章)、クワイン「なにがあるのかについて」
    5/27 クワイン「経験論のふたつのドグマ」、デイヴィドソン「概念枠という考えそのものについて」
    6/3 デイヴィドソン「行為・理由・原因」、デイヴィドソン「行為文の論理形式」
    6/10 オースティン「行為遂行的発言」、グライス「論理と会話」
    6/17 ネーゲル「コウモリであるとはどのようなことか」、サール「心・脳・プログラム」
    6/24 パトナム「水槽の中の脳」(『理性・真理・歴史』第一章)、ダメット「真理」
III 評価方法・基準
論文を読んで考えたこと疑問に思ったことを短くまとめて書き、毎回提出してもらう。この提出状況と、授業中の議論への参加状況をもとにして評価を行う。毎回、欠かさず提出し、問題点を鋭く指摘し、興味深い意見を述べれば A が与えられる。

IV 参考文献
飯田隆『言語哲学大全 I』(勁草書房、1987) 内井惣七『科学哲学入門』(世界思想社、1995)
大庭健『はじめての分析哲学』(産業図書、1990) 神野慧一郎(編)『現代哲学のバックボーン』(勁草書房、1991)
ティム・クレイン『心は機械で作れるか』(勁草書房、2001) 小林道夫『科学哲学』(産業図書、1996)
竹尾治一郎『分析哲学の発展』(法政大学出版局、1997) 竹尾治一郎『分析哲学入門』(世界思想社、1999)
野本和幸『現代の論理的意味論』(岩波書店、1988) 服部裕幸『言語哲学入門』(勁草書房、2003)
野本和幸/山田友幸(編)『言語哲学を学ぶ人のために』(世界思想社、2002)

V 履修上の注意
(1)授業前にあらかじめ論文を読んで、考えたことや疑問に思ったことを短くまとめて書き、受講生分のコピーを作り、毎回の授業で配布しなければならない。
(2)上記論文の最初の数本が収められている以下の本は教科書売り場で販売される予定なので、各自で必ず購入しておくこと。坂本百大(編)『現代哲学基本論文集 I、II』(勁草書房、1986、1987)。その他の論文については、授業中に指示する。
(3)初回の授業には必ず出席すること。