ICR seminar

第20回ICRセミナー: 「視点」が関わる言語表現をめぐって

趣旨:

Potts (2005) は、「慣習的含意」 (conventional implicature; CI) の概念に現代的な再定義を与え、その投射性を分析する新たな枠組みを提案した。この研究は、これまで形式意味論であまり分析の対象とされてこなかった類の言語現象に対する形式的アプローチの可能性を提示した点で画期的なものである。一方で、その後多くの研究者によって多様な言語表現がCIとして分類され (Sawada 2010, McCready 2010など)、その形式的な分析が試みられた結果、Pottsが提案したmultidimensionalな枠組みの問題点が色々と明らかになってきている。特に、CIには、文脈依存性を示す性質が顕著に認められ (Amaral et al. 2007など)、このことが、「コンテクストを排除した語用論の理論」という本質的な矛盾をあえて利点として前面に出し、結果として広く使われるようになったPotts (2005) の枠組みの根源的な限界を示しているように思われる。このことをふまえ、意味論と語用論のインターフェイスの設計を改めて一から考え直すことが必要であろう。

今回のセミナーでは、広義でのCIに含まれる現象の中で、特に文脈依存性の一つの現れである「視点」の概念が関わると考えられるものに焦点を絞って、具体的な言語現象の振る舞いを注意深く検討し、その理論的な意味合いを考察する。


場所: 筑波大学東京キャンパス (最寄り駅: 丸ノ内線 茗荷谷) 134号室

日時: 11/14 (土) 13:00 - 17:20


企画・司会: 窪田悠介 (筑波大学・オハイオ州立大学)

講師: 大島義和 (名古屋大学)、澤田治 (三重大学)


13:00-13:20 窪田悠介 (筑波大学・オハイオ州立大学) セミナーの趣旨の説明、研究背景の概観

13:20 - 15:00 大島義和 (名古屋大学) 視点動詞の指標的意味とその投射パターン

15:00-15:20 休憩

15:20 - 17:00 澤田治 (三重大学) 語用論的スケール表現の投射的振る舞いについて:モダリティ表現の関与の可能性を考える

17:00-17:20 まとめ


主催: 筑波大学 人文社会国際比較研究機構 (ICR)

問い合わせ先: 窪田悠介 (kubota.yusuke.fn@u.tsukuba.ac.jp)