筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

本城研究室

International Institute for Integrative Sleep Medicine (WPI-IIIS)

University of Tsukuba

Honjoh Laboratory

研究内容

私達は覚醒時、環境を認識し、外部からの情報と内在する記憶・感情・思考を統合し、その結果をまた記憶として脳に蓄えます。この脳の可塑性は神経細胞間の情報伝達効率の変化によって達成されます。それでは、睡眠時に脳は何をしているのでしょうか。

睡眠の特徴は

・身体活動の低下(生物種によって特徴的な姿勢を取る。イルカなどは泳ぎながら寝る)

・感覚入力を認識する閾値が高くなる(起きている時は聞こえる音が聞こえなくなる。ある程度以上大きな音によって覚醒が促される)

・睡眠の「量」は恒常的に制御されている(長時間起き続ければ起き続けるほど、眠気が強くなり、その後の睡眠は深くなる)

・哺乳類の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠があり、それぞれ全く違う脳波を示す

などがあります。

しかし、私達はなぜ眠るのか、眠気の実体は何であるのか、なぜ私達は眠っている間に周囲を認識しないのか、様々な疑問が未だ答えられていません。

これまでの研究

これまで、私達は主に視床・大脳皮質が睡眠・覚醒制御について果たす役割について、マウスを用いて研究を行って来ました。視床は末梢からの感覚情報を大脳皮質へと伝達します。情報を受け取った大脳皮質は高次情報処理を担うと考えられています。

視床の神経細胞は大きく二種類に分ける事が出来ます(コア細胞、マトリックス細胞)。コア細胞は末梢からの感覚刺激を受け取り、例えば視覚情報ならば一次視覚野へと伝達します。一方、マトリックス細胞の特徴は大脳皮質にとても広く、非特異的に投射している事で、その機能は知られていませんでした。私達は神経活動の測定、光遺伝学による神経活動操作を通じ、マトリックス細胞の活性化が覚醒状態を促進するという事を明らかにしました。

 また、ノンレム睡眠中にマトリックス細胞の発火頻度は非常に低くなります。しかし、「発火頻度が低い=何もしていない」ではなく、その低頻度の活動がノンレム睡眠に大事なのではないかと考えています。現在は、ノンレム睡眠特有の脳波に必要な神経回路を解析しています。

このように、これまで睡眠・覚醒を作り出す神経回路の解析・同定という、「脳→睡眠」の研究を行ってきました。今後はそれに加え、睡眠が実際に脳に及ぼす影響は何であるのか、「睡眠→脳」という研究も行って行きたいと思っています。

 

実験手法

・神経活動を記録する ―― 細胞外記録、二光子顕微鏡

・神経回路の解析 ―― 遺伝子改変マウス、ウィルス

・神経活動を操る ―― 光・薬理遺伝学

・神経細胞内で何が起きているか?―― 遺伝子発現解析

・遺伝子発現変化が神経の活動に与える影響は? ―― 神経細胞の形態、活動

本城研究室では、大学院生を募集しています。

睡眠研究に興味のある方は、お気軽にご連絡ください。

本城研究室

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)

〒305-8575

茨城県つくば市天王台1−1−1

睡眠医科学研究棟 3F

TEL  029-853-7460